不動産取引ガイド

フェンスが倒れたら!?

12日午後、埼玉県で民家のフェンスが倒れる事故があり、小学生の男の子が頭の骨を折る重傷を負ったのニュースがありましたがこの場合はその責任は所有者に課せられます。
他人事では済まされないお話です。
毎年、地震や台風が原因で起こる事もあるからです。

建築物の所有者には、もれなく工作物責任が課せられているためです。
工作物責任とは、工作物の瑕疵によって他人に被害を与えた場合に、工作物の占有者・所有者が負う賠償責任のことです。
中古建物を購入したり相続したりして所有者となった場合でも、この責任は変わりません。
ここでいう「瑕疵」とは「自ら手抜き工事を依頼した」でも「危険と知っていて放置した」でもなく、危険な工作物を所有していることそのものを指します。

民法第717条
1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

土地の工作物とは

土地に接着して人工的作業を加えることによって成立する物などとされています。
具体的な例としては、道路、橋、プール、ため池・貯水池、トンネル、建物、擁壁・石垣・塀、電柱などが挙げられます。

建築時の建築基準法を満たしていても違法となりえます

建築基準法は、過去には遡及しないので、所有している工作物が現在の建築基準法を満たしていなくても、建築当時の基準を満たしていたのであれば、所有すること自体は違法ではありません。
しかし、その工作物のために被害を出してしまったら、民事上は被害者に補償しなければなりません。
なぜなら、新築物件・中古物件・賃貸物件の土地の工作物の所有者には、それを適切に維持・管理する「注意義務」が課せられているためです。
故意や過失がなくても責任を負うことを、無過失責任と言います。

このような事に合わない為にも家をお探しの際は間取りや立地、価格は細かく確認するだけではなくフェンスなどの工作物まで確認して頂きたいと思います。
プロと家を探すということは将来の危機回避も含めて家探しをお願いする事だと思います。
また、台風や地震で地盤が緩むなどの危険性も考えてお探し頂ければと思います。
弊社ではエージェントがお客様のご希望をお聞きしながら一緒に物件探しをお手伝いしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

リニュアル仲介、渡辺でした。

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