不動産取引ガイド

不動産購入前に気に掛けたい3つのこと <Part(3)>

前回、前々回と「不動産購入前に気に掛けたい3つのこと <Part(1)>」「不動産購入前に気に掛けたい3つのこと<Part(2)>」とお話しをさせていただきました。「不動産購入前に気に掛けたい3つのこと <Part(1)>」では『周辺環境』、『資金計画』、『災害リスク』について、「不動産購入前に気に掛けたい3つのこと <Part(2)>」では『駅間距離』、『周辺状況(データ)』、『日照条件』を解説をさせていただきました。今回は新たに3つの不動産購入前に気に掛けていただきたい事について解説させていただきます。コロナ禍で、不動産と向き合う方が増え、自宅での時間の過ごし方にも大きな変化がありました。その内容を踏まえて、続きとして<Part(3)>を解説させていただきたいと思います。

■不動産購入前に気に掛けたい『間取り』

こだわる人が多い一方で、意外に誤算も目立つのが部屋などをどのように配置するかという間取りの問題が挙げられます。内見時には同じような㎡数の住宅なのに、やたらと広く感じ、購入後に収納スペースの少なさを嘆くようなシーンも時々見受けられます。選び方を間違えてしまうとストレスを感じながらの生活となる為、注意が必要です。また住んだ後に、子どもの成長・独立などによる家族構成の変化によっても最適な間取りは変わってくる為、将来を見据えた不動産選択は非常に重要です。

特に多層階型の住宅を検討する場合、日常生活を送るうえで、家の中をどのように動くのか、線でつないで考える「生活動線」の視点も大切です。知人は朝から夜まで、同じ動線をなるべく通らないようにして生活しているような方も居ます。例えば、戸建て住宅を(3階建て)を検討されているような方は『洗濯物動線』を確認しておくといいようです。洗濯は1階で行って、物干しするのは3階まで上がって行うといった形は最悪だといえます。また、2階リビングで水回りを設置する場合には階段スペースが狭いと冷蔵庫等の大物家電の配送はクレーンを使ったりと通常より配送コストが掛かってしまう事も把握する必要があります。

■不動産購入前に気に掛けたい『省エネ性能』

2025年度にはすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務付けられることになりました。その為、2025年以降に建築をする際には、それ相応の住宅にしなければ建築が出来ない為、建築コストも上がる事が懸念されています。勿論、メリットもあり、断熱性が高い家なら夏に涼しく、冬に暖かい快適な暮らしを期待でき、環境への配慮にもなりますが、国際的なエネルギー価格の先行きが不透明ななか、光熱費の節約で家計に恩恵があります。

勿論、義務付け前に建築・購入する場合も、安易に低い省エネ性で妥協しない方が長い目で見ると得するのかもしれません。例えば将来売却する可能性がある場合は数年後には一定の基準に適合した家が標準になる為、これより劣る古い性能の家は将来的には資産評価の点でマイナスになってしまう事も考えられます。これから不動産購入をされる方は、『省エネ性能』の確認もお忘れなく。

■不動産購入前に気に掛けたい『耐震性能』

自分の家がどれだけの地震に耐えられるか、大規模地震の懸念が高まるなか、その重要性は一段と高まっています。まず、建物の耐震性については、建築基準法という大きな地震後に改正がされる事が多い法律の確認は重要です。また、家の耐震性を考えるうえで参考になるのは国が定めている「耐震等級」というものもあり、最も低い「等級1」は法律が求める最低基準で、最高の「等級3」は「1」に比べて1.5倍の揺れの地震に耐えられるとされています。

最近は強い余震が連続するケースもみられるだけに等級が高いほど、複数回の地震に耐える確率が上がります。新築戸建てでは最高等級をとる住宅が増えていますが、すべてではなく、自分と家族の命と財産を守る基礎的な項目として、しっかり確認しておく必要があります。

コロナ禍に続きロシアのウクライナ侵攻に伴う国際的な生産・物流の混乱は住宅の資材や部品などにも及んでいます。とりわけ影響が大きいのは、戸建ての注文住宅と言われており、工事に取りかかった後に木材などが値上がりしたり、トイレなど部品の納入が遅れたために、引き渡しが遅れたりすることが懸念されています。なるべく購入後の後悔を減らす為、様々な情報収集は欠かせません。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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