不動産取引ガイド

現役世代が地方移住?!不動産高騰や競争疲れで大都市脱出!

大都市圏から地方への移住に関心が高まっています。
かつては定年まで勤め上げた会社員が老後をのんびり暮らすためといったイメージでしたが、今は若者や子育て世帯など現役世代が目を向けるようになっています。
背景にあるのは都会の生きづらさや価値観の多様化が背景にあります。
全国の自治体の担当者を置いて移住相談を受ける「ふるさと回帰支援センター」(東京)への相談件数はコロナ禍の一時期を除き増え続けています。
2024年は年間約6万2000件に達し、2025年は7万件を超えているようです。
実際の移住者も増えており、全国的な統計はないものの、例えば人気移住地である長野県は移住者を「県外から新たな生活の場所を求め、自らの意思により県内に転入した者」と定義し独自に集計されています。
それによると、2024年度の移住者は3747人。
5年前から6割増えました。
移住を考える人の年齢層も変わっており、ふるさと回帰支援センターへの相談者を年代別に見ると、2008年には50歳代以上が7割でしたが、その後現役世代が増え続け、2024年には40歳代以下が約7割を占めるようになりました。
仕事に追われ、競争に疲れる都会を出て、心引かれる場所で納得できる暮らしをしたいと考える人が多くなっています。
リモートワークが普及したことも移住に追い風となり、東京の不動産価格の高騰はこの流れに拍車をかける可能性もあります。
東京へのアクセスがよい北関東などに移住する例も増えており、豊かな自然が自慢の群馬県藤岡市鬼石地区では2024年度の移住者が前年度の倍の14人になったとそうです。

■不動産価格高騰が、移住を後押しする「働き方の変革」

現役世代の地方移住を加速させた最大の要因の一つが、コロナ禍を経て定着したリモートワークの普及です。
かつては「仕事があるから都市を離れられない」という制約が移住の最大の壁でしたが、今やパソコン一台とネット環境さえあれば、山里や海辺でも都市部と変わらない仕事ができる時代となりました。
IT系や広告・メディア系を中心に、フルリモートを認める企業も増えています。
こうした環境変化が「どこで働くか」より「どう生きるか」を優先する価値観を後押しし、地方移住への心理的ハードルを大きく下げました。
子育て中の親が「子どもに広い庭や豊かな自然の中で育ってほしい」と願いながら実現できなかった夢が、リモートワークによって現実の選択肢となりつつあります。
一方で、完全リモートではなく週に数日だけ出社が必要な「ハイブリッド勤務」の場合は、移住先の選択に制約が生じます。
そのため、新幹線や特急で東京まで1〜2時間以内でアクセスできる地域が特に人気を集めています。
長野県の上田市や佐久市、静岡県の熱海市や三島市、栃木県の那須塩原市などは、こうした「通勤圏内の移住」として注目度が高まっています。

■不動産価格高騰で移住者を受け入れる地域側の課題と変化

移住の受け入れ側である地方自治体や地域コミュニティも、変化を迫られています。
かつての地方移住では、長年培われた地域のしきたりや人間関係の密度に移住者が戸惑い、「思っていたのと違った」と数年で都市へ戻るケースも少なくありません。
いわゆる「Uターン移住の失敗」です。
こうした経験を踏まえ、近年は移住者と地域住民の橋渡し役となる「地域おこし協力隊」の活動が全国で広がっています。
総務省によると、2023年度の協力隊員数は過去最多の7200人超に達しました。
任期終了後もその地域に定住する隊員も多く、移住の定着化に貢献しています。
また、移住者同士のコミュニティ形成も重要な支援策になってきました。
SNSやオンラインコミュニティを通じて移住経験者がリアルな情報を発信し、移住検討者の不安を和らげるケースが増えています。
「移住してよかったこと・大変だったこと」を率直に語り合える場が、移住の成功率を高めているといわれます。

■不動産価格高騰により、移住が常に成功するわけではない

もちろん、移住が常に成功するわけではありません。
よく課題とされるのが地域のコミュニティとの関係です。
移住者には地域に溶け込む努力も求められます。
家族のこと、将来のことなど十分考えて決断したいです。

■不動産価格高騰により、都会への人口集中はなくなった?

地方移住熱は高まっても大都市部への人口集中は相変わらずです。
住民基本台帳に基づく2025年人口移動報告(総務省)によると、転入超過は7都府県だけで、そのほとんどが大都市を抱えています。
特に東京都は差し引き約6万5千人の増加で突出しています。前年より増加幅は小さくなりましたが、「東京一極集中」は続いています。
地方移住の流れが今後さらに加速するためには、移住者個人の努力だけでなく、地域社会の受け入れ体制の整備や、企業のリモートワーク推進、交通インフラの維持・充実など、社会全体の仕組みづくりが欠かせません。
人口減少が進む地方にとって、移住者の受け入れは地域の活力を保つための重要な鍵でもあります。
ふるさと回帰支援センターが移住を成功させるためのポイントとしてまず挙げるのは、「誰と」「どこで」「何をして」暮らすのかなど移住後の生活を具体的にイメージすることです。
移住セミナーに参加したり、現地を訪れたり、お試し移住をしてみたりと段階を踏んだ準備が効果的と指摘します。
自分や家族の5年先、10年先の姿も考えておくべきです。
自治体によって、現地訪問のための費用や引っ越し費用を補助したり、お試し移住のための住居を用意したりするなど様々な支援策があります。
東京圏からの移住の場合は国がつくった移住支援金や起業支援金制度もある。
自治体ごとの要件を満たせば移住支援金で最大100万円が支給されます。
移住先の自治体についての情報はしっかり集めたい。
移住は一大決断だが、情報収集と段階的な準備を積み重ねれば、リスクは大幅に軽減できます。
「いつかは地方で暮らしたい」という漠然とした願望を、現実の一歩へとつなげるための環境は、今がかつてないほど整いつつあります。
移住する際の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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