東京の都心を歩いていても、地形に凸凹があります。
地形とは、簡単に言えば、地面に出来た凸凹(起伏)のことです。
地面に起伏を作り出す主な要因は、地盤の隆起と自然の作用による浸食の2つによるものと考えられます。隆起は地殻変動によって、浸食は主に水の流れによって起こります。
水は高いところから低いところに流れ、川は山から流れてくるのが普通です。
荒川も多摩川も、関東山地の奥から流域の水を集めて東京湾へと流れています。しかし、神田川や石神井川、善福寺川といった山の手台地を流れる中小河川の水源は、山の手台地の上にあります!
練馬区から杉並区、武蔵野市、三鷹市にかけての地域に見られる多くの池。
三宝寺池、石神井池、富士見池、善福寺池、井の頭池など、実はこれらの池には「共通点」があります。
白い点線は標高50メートルの等高線です。
東京の地形に凸凹を作ってきた石神井川や神田川の水源が、
ちょうどこの辺りに集中していることが分かります。
陰影図にあるように、
・いずれも武蔵野台地上で標高50m前後の場所に位置していること
・谷頭型の湧き水であること
・そして山の手台地を刻む中小河川の源泉になっていること
の3点です。
なぜこの標高50メートルあたりに湧水が多いのでしょうか?
もともと、武蔵野台地(主として中西部)は水に乏しい土地でした。これは、地下水の水位が低く、流れも速いため、水が地上へと湧き出しにくい条件がそろっているためです。
地下水位が低いのは、表面を覆っている関東ローム層や段丘礫層が水を通しやすく地層が厚いため、しみ込んだ雨水が地中深くへと伝わってしまうからです。
この武蔵野台地の勾配が緩くなるのが標高50m付近です。
地下水面の勾配もこの辺りで緩くなるので、水が地上に湧き出しやすくなります。その為、この付近で谷頭に湧水が現れ、前出のような池をたたえ、流れとなって台地を潤します。
また、この標高50メートルラインを過ぎると、谷頭ばかりでなく谷壁の下部からの湧水も多く見られるようになり、同じ武蔵野台地でも一転して水に恵まれた土地柄に替わります。
谷頭の泉から流れ出した川は、崖下の湧水を集めて台地に谷を刻み山の手台地に凸凹を作ります。
東京の足元には、こんなに大きな水の営みがあったようです。
あなたの暮らす街の地形はいかがでしょうか・・・。
普段何気なく、見過ごしている東京の地形も自然の作り出したそのルーツをたどっていくと面白いかもしれません。
以上、エージェント中田でした。