不動産取引ガイド

相続財産の評価基準、「路線価」否定判決に波紋が広がっている?!~節税対策での不動産購入に警鐘~

先日、日本経済新聞の朝刊を見ていて、ビックリするような記事が出ていましたので、ご紹介させていただきます。

■地裁判断結果、路線価での財産評価は『不適切』?!

その内容は「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げているといった記事でした。その記事を見てみますと、国税庁は路線価などを相続税の算定基準としているが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたとのことです。路線価は取引価格のおおよそ8割程度の価格となる為、前々より節税効果が高い方法として節税を目的とした不動産購入をする人も多くいます。しかし、今回の記事を見ていますと、相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要との事でした。

2019年8月末の判決で東京地裁が路線価に基づく相続財産の評価を「不適切」としたのは、2012年6月に94歳で亡くなった男性が購入していた東京都内と川崎市内のマンション計2棟との事でした。

購入から2年半~3年半で男性が死亡し、子らの相続人は路線価などから2棟の財産を「約3億3千万円」と評価。銀行などからの借り入れもあったため、相続税額を「ゼロ」として国税側に申告した。だが男性が購入した価格は2棟で計13億8700万円で、路線価の約4倍だった。国税当局の不動産鑑定でも2棟の評価は約12億7300万円で、路線価とはかけ離れていました。

このため国税側は「路線価による評価は適当ではない」と判断。不動産鑑定の価格を基に「相続税の申告漏れにあたる」と指摘し、相続人全体に計約3億円の追徴課税処分を行ったが、相続人らは取り消しを求めて提訴していた。

土地や家などの相続財産は「時価」で評価すると法律で決められている。ただ、国税庁は「納税者が時価を把握することは容易ではない」として主要道路に面する土地について「路線価」を毎年発表し、相続税や贈与税の算定基準としています。路線価は土地取引の目安となる公示地価の8割。このため現金よりも不動産を購入して相続した方が税金が安くなる傾向があり、”節税”目的での不動産取得は広く行われている。

今回の判決では「特別の事情がある場合には路線価以外の合理的な方法で評価することが許される」と指摘。今回は「近い将来に発生することが予想される相続で、相続税の負担を減らしたり、免れさせたりする取引であることを期待して実行した」と認定し、国税の主張する不動産鑑定の価格が妥当としたケースのようです。

■相続時の評価は法律では「時価」、国税庁は「路線価」?!

今回、国税当局は国税庁長官の指示で財産の評価を見直すことができる通達の規定(財産評価基本通達の6項)を適用して価格を見直している。相続税の算定基準を路線価とする根拠でもある通達との事です。

通達は国税当局の判断で財産の評価を変えられるため「国税の伝家の宝刀」とも呼ばれているようです。しかし、どのようなケースで宝刀が抜かれるのか明確な基準はないようです。判決に困惑する税理士も少なくないとのことでした。

原告の相続人らは不服として控訴しているようですが、相続税の算定基準を変える事にもなる為、今後の動向に注目していきたいと思います。

相続税の課税対象は2014年は4.4%にとどまっていましたが、2015年1月から対象が拡大され、2017年に亡くなった人では8.3%とほぼ倍増しているようです。都内に住んでいる方・もしくはこれから購入をしようと思われている方は、相続税の事も視野に入れた生活が求められます。今後の相続財産の評価動向に注目していただければ幸いです。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

米住宅ローン残高が過去最高を更新!!前のページ

どんなインテリアスタイルをお探しですか!?次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    赤ちゃんがいるリビング

    家の購入を考えるきっかけとして家族が増えたときなどがあると思います。…

  2. 不動産取引ガイド

    修繕積立金の金額は何で決まる?

    マンションを購入する際に必ず確認する管理費と修繕積立金ですが、マンショ…

  3. 不動産取引ガイド

    賃貸のままでいいや 本当に大丈夫ですか?

    金利上昇のニュースを見て、これから住宅購入を検討される方は少し不安に思…

  4. 不動産取引ガイド

    東京都ソーラーパネル義務化

    先日、ニュースで2025年4月以降、東京都の新築戸建て住宅の販売価格が…

  5. 不動産取引ガイド

    「管理費」は総戸数が多くても少なくても高くなる!?

    マンションを購入すると、管理費・修繕積立金等のランニングコストがかかっ…

  6. 不動産取引ガイド

    まだまだ減らない「おとり広告」

    ネットに掲載されている物件にお問い合わせをしたところ、「こちらの物件は…

  1. 不動産取引ガイド

    中古+リフォームの夢のある一戸建て購入
  2. 不動産取引ガイド

    高気密・高断熱の注意点
  3. 不動産取引ガイド

    良いマンションに出会う確率を高める“ちょっとしたコツ”
  4. 不動産取引ガイド

    道路の不思議 地面に埋まったボタンのようなもの
  5. 不動産取引ガイド

    土地価格の相場を知る方法
PAGE TOP