不動産取引ガイド

不動産の4つの価格 その1「公示価格」

●同じ条件の不動産って2つとない―むずかしい値付け

モノの「価値」と聞いて、最初にイメージするのは、お金を支払って購入する商品の値段です。
土地や建物といった不動産も売買されるので、売主と買主が契約する時に価格が設定されます。不動産の場合は、目的に応じて4つの「価格」があることを覚えておくとよいと思います。
5,000万円程度と判断される住宅を、売主が強気で7,000万円で売りに出しても、高すぎて買手はつかず取引が成立しません。売主の希望する値段は適正価格とは言えないわけです。
土地や建物の価格もスーパーやコンビニで売られている商品と同様に競合との兼ね合い
需要と供給のマーケットメカニズムなどによって価格が決まるのです。
不動産の一般商品と異なるのは、同じ物件が2つとないという独自性にあります。同じ商品がたくさんあれば同じ値段を付けられますが、まったく同じ条件の不動産(特に土地の場合)はないので、適正な値段が一般の商品よりむずかしいのです。
そのために国土交通省が発表する取引の基準となる公示価格や国税庁が発表する税金算定のため路線価格などの基準価格があります。

不動産の価格は妥当なのか、何か基準となるものがなければ不安になると思いますので、まずは、地域的な相場感を把握するためにも、毎年発表される公示価格を参考にしてみるといいと思います。ということで、今回は、「公示価格」についてお伝えします。

 

●公示価格は土地取引の「指標」

不動産の価格が適正かどうかを判断する上で、必ず理解しておきたいのが「地価公示法」による「公示価格」です。公示価格は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地の評価として3月中旬頃に発表します。今年もそろそろですね。
不動産取引の場合、売主の希望価格が相場と比較して高額であっても、購入したい人が1人でもいれば取引が成立します。
逆に安く買いたい人がいて、売主が安い価格でも売ってくれたら取引は成立します。不動
産の場合、いくらで取引するかは当事者が自由に決めることができ、これを「契約自由の原則」といいます。
しかし、当事者が適正価格を知らずに取引してしまった場合、どちらかが大きな損害を受けたり、後々、トラブルに発展することもあります。
また、地価の高騰や下落を招き、実際に自ら使用することを目的とした実需でなく、転売目的の取引も増加するでしょう。
公示価格は、安くても売りたい、高くても買いたいなどの特殊な状況がない場合の基準となる土地の価格です。

公共用地のための算定基準にもなります
公示価格は、国や地方公共団体が公共事業(道路、上下水道整備)で土地を所有者から買い取るとき、土地収容で補償するときの算定基準にもなります。
地価公示は、国が一般の土地取引の「指標」(目安)となる価格を公示することによって、適正な地価を形成することを目的とした法律です。
この指標となる土地の価格を公表することによって適正な地価を形成すること
を目的とした法律です。
この価格となる土地の価格を公示価格といい、土地取引を行う者は、公示価格を指標とするよう努めなければならないとされています。

≪POINNT≫公示価格の役割
① 一般の土地取引における売買価格の指標とする
② 土地取引に対する補償金、公共用地の取得価格の算定基準とする

●公示価格が決定し公示されるまでの流れ

①土地鑑定委員会での「標準地」の選定基準
地価公示法に基づいて3万数千地点の標準地を選定する土地鑑定委員会は、鑑定評価や審査を行う国土交通省の機関です。
標準地は、近隣の土地を評価するための指標となる土地です。近隣の土地の価格を決めるための代表的な土地であり、標準地の設定区域で県境や利用状況などが同じ土地でなければなりません。したがって不整形地などは対象外となります。

②標準値の鑑定評価・審査
土地鑑定委員会より選ばれた不動産鑑定士などの鑑定評価員(1地点で2名以上)が標準地の鑑定を行い、鑑定結果を土地鑑定委員会が審査します。

③正常価格の判定・公示
土地鑑定委員会による審査結果、毎年1月1日時点での1㎡あたりの正常価格として「公示価格」が判定され官報に公示されます。
正常価格とは、債務整理や相続による売り急ぎなどの特別な事情がなく、通常に成立すると考えられる適正な価格です。

≪POINNT≫公示価格の特徴
① 地域的な相場観を把握するのに適している。
② 建物の存在や利用状況、売却理由など特別な事情は反映されていない

公示価格は、告訴交通省の「標準地・基準地地検システム」で閲覧することができます。
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0

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