不動産取引ガイド

2種類以上の用途地域にまたがる場合もあります。

リニュアル仲介の渡辺です。 今回は用途地域のお話をしたいと思います。

前回12種類の用途地域の説明をしましたが、購入した土地が一種類だけとは限りません。

2種類以上の用途地域にまたがる場合もあります。

たとえば第一種低層住居専用地域といっても決して住宅「専用」の地域ではありません。建築物の用途がある程度かぎられるとはいえ、住宅以外のものも建つのですから、いずれにせよ周辺の状況をよく確認することが大切です。

ちょうど用途地域の境目で、ひとつの敷地が2種類以上の用途地域にまたがる場合には、敷地に占める面積の割合が大きいほうの用途地域の内容が、その敷地全体に対して適用されることになっています。

また、このようなときには売買契約締結前に宅地建物取引主任者が行なう重要事項説明で、敷地にかかる用途地域のすべてが説明されます。

住宅を建てる目的の敷地であれば、結果的に「どちらの用途地域でも建つ」ということで済む場合もあると思いますが、店舗や事務所など住宅以外の建築物を建てる目的のときには、売買契約を締結する前に明確な結論を出させるようにしなければなりません。

たとえば、現在はサラリーマンの方が、退職後自宅をリフォームして趣味を生かしお店や個人事務所をつくったりしようと考えるケースもあると思います。このようなとき、第一種低層住居専用地域だと難しいことも多いので注意が必要です。

第一種低層住居専用地域内の自宅を改装して、店舗や事務所との兼用住宅にしようとする場合、店舗や事務所部分は延べ床面積の2分の1未満、かつ、50平方メートル以下のものしか認められないことになっています。

つまり、延べ床面積が100平方メートル以上の住宅であれば店舗や事務所部分は50平方メートルまで、仮に延べ床面積が60平方メートルであれば30平方メートルまでの店舗や事務所しかできないことになります。

もちろん、建物のすべてを店舗や事務所にすることもできません。

第二種低層住居専用地域であれば(業種によりますが)150平方メートルまでの独立店舗などが認められるほか、他の用途地域ならそれ以上のものも可能です。

優れた住環境のつもりで第一種低層住居専用地域内の住宅を購入しても、道路をはさんで向かい側には、一晩中ネオンが輝き続けるお店が出来ることだってあり得る話です。

住宅を購入する前には、できるかぎり自分の目で都市計画図などをみて、周辺の用途地域も確かめるようにすれば、住み始めてから分かる問題が少なくなると思います。

難易度高。「減税」と「助成金」併用の勘所!前のページ

手付金のアレコレ次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    売れ残りの土地には手を出さない!

    家を買うなら新築がいい!そうお考えの方も少なくないと思います。新築…

  2. マンション

    資産価値にも影響を及ぼす、マンション管理組合が機能不全?!

    マンションの建物や敷地、エレベーターなどの共用施設は、マンションの区分…

  3. 不動産取引ガイド

    表記間取りでわかる仕切り壁の位置!

    リニュアル仲介の渡辺です。 今回、間取りの話をしたいと思います。…

  4. 不動産取引ガイド

    戸建・マンションで気になる音。騒音には2種類ありますが、軽減させる方法はただ一つ!

    住宅で問題になる騒音は、大きくわけて空気音と固体音の2つがあります。…

  5. 不動産取引ガイド

    知らないと損 不動産取得税のかかるタイミングと対策

    不動産を購入または贈与で受け取る際には、多くの方が「税金」に関して不安…

  6. 不動産取引ガイド

    マンション購入時に共用部の地震保険の加入状況を確認していますか?

    マンションも戸建てと同じように地震保険がかけられますので、入ることをお…

  1. 不動産取引ガイド

    「子育て大国」で「新築マンション」
  2. 不動産取引ガイド

    「木造瓦葺」と「木造かわらぶき」の違い
  3. 不動産取引ガイド

    水回りトラブルを解消!住宅購入の際に絶対知っておきたいポイント
  4. 不動産取引ガイド

    人口動態及び世帯数レポート(1)生産年齢人口の減少と老年人口の増加・外国人人口の…
  5. マンション

    “通勤”徒歩10分最寄りは都内屈指の超主要駅
PAGE TOP