不動産取引ガイド

販売図面に記載の注意書きには注意

戸建て住宅の場合、販売図面に記載されている文言は必ず確認していると思います。

今回はやっと見つけた理想の物件、駅からのアクセスも良く、室内も簡単なリフォームで住むことができそうです。
築年数は経っていましたが、保険に加入することで住宅ローン控除も使えそうです。

ところが、1点気になるのが、販売チラシにある「計画道路あり」の記載です。
これは、購入に向けて手続きを進めて良い物件なのでしょうか?

まず、計画道路には、2段階の状態があります。
道路を通すことが決まった「計画決定」の状況と、実際に計画に予算がついて事業が動き出した「事業決定」の状況です。

まず、「事業決定」の状況では、該当エリアの収用や、立ち退き作業が始まっているので、新しい建物を建築することができません。
購入したとしても、立ち退きの話が出てきますので、長期的な住まいには向きません。

一方で、「計画決定」の場合はどうでしょうか。
計画道路が「計画決定」段階の場合には、役所の許可を得る必要がありますが通常の木造住宅であれば建築することができます。
すぐに事業決定になるようでなければ、そのまま住み続けることも可能です。

では、「計画決定」から「事業決定」になるまでは、どれくらい時間がかかるのでしょうか?
これは、一概には判断できませんが、多くの計画道路は、昭和30年から昭和40年くらいにかけて計画されたまま、事業開始に至っていない状態です。

例えば、一部報道で「マッカーサー道路」とも呼ばれた環状第2号線なども、計画から約70年を経て、やっと開通に至りました。

各市区町村では、計画道路の中でも「優先整備道路」という指定をしています。
「優先整備道路」になっている場合には、まだ計画決定の段階であっても、事業決定の段階へ進むのもそう先ではなさそうですね。

事業決定がされ、実際に立ち退きをしなければならない場合には、行政による買い取りや代替地の用意などがされます。

購入を検討する物件が「計画道路」にかかっている場合には、敷地のどの程度が計画道路にかかっているのか、近隣の状況を見て、実際に計画がスタートするまでにどれくらい時間がかかりそうか(どれくらい住み続けられるのか)等を検討しましょう。

事業決定がされた場合の行政による買取額は「時価」とされています。
事業決定された時点で、不動産価格が値下がりしてしまっていては、大きな損となってしまいます。
しっかりと資産価値を調査したうえで、近隣の状況と複合的に判断するようにしましょう。

道路に関してはチェックする点としては重要となります。
計画道路も勿論ですが、接道の状況なども重要で、公道か私道かによっても気にしなければならない点が異なってきます。
全てご自身で調べる必要はないので、ご不明な点はエージェントにご相談ください。

良い家 悪い家前のページ

実家の相続名義人は?次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    インフラが悲鳴を上げている

    「いよいよか」というのが正直な感想です。修繕必要な橋やトンネル…

  2. 不動産取引ガイド

    欄間(ランマ、らんま)!?

    欄間(ランマ、らんま)は内法鴨居から天井との間(通常壁になっている部分…

  3. 不動産取引ガイド

    昨年の台風19号の影響から注目される『立地適正化計画』?!

    昨年の台風19号が通過した後はJR武蔵小杉駅周辺(川崎市)の道路は軒並…

  4. 不動産取引ガイド

    炎は癒し効果!!

    炎には癒し効果があるのをご存知ですか?大阪ガスのエネルギー技術研究…

  5. 不動産取引ガイド

    相続空き家、売るなら早く 、4月からは3000万円まで控除される?!

    最近は親から実家を相続したものの生活拠点の違いなどから放置し、空き家に…

  6. 不動産取引ガイド

    不動産購入前に知っておきたい『離婚』後の不動産について

    3組に1組の夫婦が離婚するといわれています。個人的にはそんなに離婚が多…

  1. 不動産取引ガイド

    マンションの選び方
  2. 不動産取引ガイド

    日本家屋に適した木材
  3. お金

    老後問題は「未来」の話ではなく「対岸の火事」でもありません
  4. 不動産取引ガイド

    今後益々発展していく、渋谷区桜丘町エリア!今後どのような変革を遂げるのか?!
  5. 不動産取引ガイド

    2017 年10月度の不動産相場
PAGE TOP