不動産取引ガイド

マンションの建て替え

築50年のマンションの建て替えについて問題視されている記事を目にします。
では実際に建て替えとするにはどういった手順が必要なのでしょうか。
今回はマンションの建て替えについてお話したいと思います。

一般的にマンションの建替えには合意形成が必要と言われていますが、具体的にどの規模の合意形成が必要なのでしょうか?

民法では、不動産を処分する場合には、共有者全員の合意が必要とされていますが、マンションの場合には「特別法」が制定されています。
それが、「建物の区分所有等に関する法律(=区分所有法)」です。

この区分所有法によると、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、建て替えの決議をすることができると定められています。
8割強の合意があれば建て替えが可能ということです。

この決議に賛成した区分所有者は、反対した方に対して売渡請求をすることができることになっています。

手続き上は、このように8割の同意があれば、マンションの建替えができるとはなっていますが、実際にはどうでしょうか。

そもそもマンション解体費用や再建築費用、反対者の買取り費用など、多額の資金が必要になります。
敷地の容積率に余裕があり、建て替えた場合に販売できる住戸が新たに作られる場合には、ディベロッパー等の協力も得られるかもしれませんが、容積率がいっぱい・駅アクセスも悪い、といったマンションの場合には、資金的に難しいかもしれません。

また、合意形成で問題になるのが、居住者の高齢化・相続人行方不明問題です。
居住者が認知症などで意思表示ができないケースや、いわゆる「空き家」状態になってしまい、相続人の連絡先がわからない等、「反対多数」ではなく「賛成不足」という事態も想定されます。

耐震性不足のマンションや、立地に難のあるマンションについては、リフォームの見た目に左右されず、慎重に検討するようにしましょう。

これから住宅購入を検討される方で、価格が安く室内がとても綺麗だから良しという判断ではなく、マンションの管理や総会などの議事録なども確認する事をおすすめします。
決して古いマンションが悪いというわけではありません。
購入を検討しているマンションの1室だけでなく、マンションの住人の方やマンション自体をチェックしておきましょう。

ご不明な点はエージェントにご相談いただけましたら、一緒に詳細を確認していきますのでお気軽にご相談ください。

 

火災保険加入と同時で無くても地震保険は「後付け」できる?!前のページ

身近にできる地球温暖化対策とは?次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 住宅購入は不安でいっぱい

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    都心のマンションは今買い時か?

    マイナス金利によって、市場最低金利水準となっている住宅ローン。…

  2. 不動産取引ガイド

    二世帯住宅は建て方で、節税も出来る??

    親の家を二世帯住宅に建て替える場合には、土地は親の名義のままにしておい…

  3. 不動産取引ガイド

    希少性が価値を生む?!ハイクラス住宅と言われる億超えマンションの特徴とは?!

    最近は都筑区の杭問題から、マンションの安全性が問われていますが・・・。…

  4. 不動産取引ガイド

    備えあれば憂いなし!先日の地震は危険信号?

    先日の5月30日に小笠原諸島西方沖を震源とした地震が発生しました。その…

  5. 不動産取引ガイド

    国立西洋美術館が世界文化遺産になりそうです。

    台東区にあります国立西洋美術館がユネスコの諮問機関イコモスが世界文化遺…

  6. 不動産取引ガイド

    マンション希望者比率が過去最低!

    このような記事を見つけましたのでご紹介いたします。株式会社リクルー…

  1. 不動産取引ガイド

    不動産の所有者が認知症になってしまったら?
  2. 不動産取引ガイド

    能登地方の最大震度6弱の地震から学ぶ ~ 住宅購入のポイント ~
  3. お金・ローン・税金

    不動産屋の言うことを鵜呑みにしてはいけません~住宅ローン減税編~
  4. 不動産取引ガイド

    部屋のイメージで色選びは異なります!
  5. 不動産取引ガイド

    2021年 今年の不動産市況を振り返ってみて
PAGE TOP