不動産取引ガイド

持ち家のメンテナンス

■戸建の寿命はメンテナンスで大きく変わる

戸建住宅は、定期的にメンテナンスを行うことで寿命が大きく変わります。
メンテナンスを怠ると、経年劣化によって家の耐久性が低下し、住み続けることが難しくなることもあります。
安全で快適に暮らすためには、計画的な点検と補修が欠かせません。

■戸建の「寿命」と「耐用年数」は違う?

よく似た言葉に「耐用年数」がありますが、寿命と耐用年数は意味が異なります。

・寿命:実際に居住可能な状態でいられる期間
・耐用年数:税制上の減価償却のために設定された目安年数

つまり、耐用年数が残っていても、メンテナンス不足によって実際の寿命が短くなることもあります。
日頃の手入れが、家を長持ちさせる一番のポイントです。

■主なメンテナンス箇所5選

【外壁】

外壁は、風雨や紫外線の影響を最も受けやすい部分です。
年月の経過とともに、ひび割れや塗膜の剥がれ、色あせなどが見られるようになります。
そのため、10年ごとの点検と塗り替えが基本です。

外壁材ごとの目安

・サイディング:約10〜15年
・ALC:約10年
・モルタル:約10年
・ガルバリウム鋼板:約20〜25年
・タイル:ほぼメンテナンス不要

劣化サイン

・チョーキング(外壁を触ると白い粉が付く)
・ひび割れ
・色あせ・変色
・カビや苔の発生
・塗膜の剥がれ・膨れ

【屋根】

屋根も素材によってメンテナンス時期が異なります。
雨漏りやサビを防ぐため、定期的な点検と清掃を心がけましょう。

屋根材ごとの目安

・スレート・セメント瓦:10〜15年ごとの塗装
・和瓦(釉薬瓦など):40〜50年持つが、15〜30年ごとに漆喰や防水紙の点検
・ガルバリウム鋼板:10年ごとの点検と補修

ポイント

・台風や地震の後は必ず点検
・雨どいの詰まりや屋根材のズレも確認

【クロス(壁紙)】

経年により剥がれや浮きが発生します。
湿気の多い部屋では特に傷みやすいため、剥がれを見つけたら早めの張り替えがおすすめです。

【水回り(キッチン・浴室・トイレ)】

使用頻度が高いため劣化も早く、サビや腐食による水漏れの原因になります。
定期的にパッキンや配管の状態を確認し、15年程度を目安に交換を検討しましょう。

【床・床下】

見た目がきれいでも、床下で劣化やシロアリ被害が進んでいることがあります。
定期的に専門業者による点検を行い、必要に応じて防蟻処理を実施しましょう。

■築年数別のメンテナンス目安

【築10〜15年頃】

・外壁の塗装
・水回り設備の交換
・畳の表替え
・給湯器の交換

【築15〜20年頃】

・雨どいの交換
・フローリングの張り替え

【築20〜30年頃】

・畳の交換
・玄関ドア・窓の交換
・給水・排水設備の交換

■メンテナンスの注意点

・日頃から劣化サインを観察しておく
・定期的に内装・水回りを手入れする
・突発的な修繕に備えて費用を積み立てておく

■まとめ

戸建を長持ちさせる最大のポイントは、「早めの気づきと対応」です。
上記の時期はあくまで目安ですが、小さな劣化を放置しないことが、結果的に修繕コストを抑えることにつながります。

安心して長く暮らせる家を維持するために、定期的な点検とメンテナンスを習慣にしましょう。

リニュアル仲介 渡辺でした。

判断能力を失う前に知っておきたい成年後見制度と不動産取引前のページ

日本の住宅購入で最も重要な「ハザードマップ」の活用法次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    災害に備える!

    9月1日は「防災の日」です。「防災の日」は関東大震災をきっかけに制…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産の持分はどこへ?

    相続にまつわる、気を付けたい事例のご紹介です。Aさんは、お父様…

  3. 不動産取引ガイド

    ペット付きマンション。そろそろペット付き戸建も登場か…

    最近猫付きマンション賃貸が人気が出ているのを耳にしますが、どのようにし…

  4. 不動産取引ガイド

    自宅の建替えには開発許可が必要!?

    これは我が家の話です。物件を探す際に販売図面の都市計画の欄に「市街…

  5. 不動産取引ガイド

    太陽光パネルが義務化!?

    新聞やテレビで太陽光パネルの設置が義務化されるニュースをみました。…

  6. 不動産取引ガイド

    限られた予算でも理想の住まいを! 妥協せず購入するポイントと戦略

    会社員として生計を立てながら、限られた予算での住宅購入は大きな挑戦とな…

  1. 不動産取引ガイド

    今夏をめどに不動産仲介事業に参入するタマホーム
  2. 不動産取引ガイド

    人気路線ほど要注意?!沿線探しの盲点を徹底解説
  3. 不動産取引ガイド

    ポピュレーションステレオタイプ(習慣・伝統による動作の特性)を考慮して!
  4. お金・ローン・税金

    史上空前の低金利で“もはや逆ザヤ状態”住宅ローンは借りた方が得!?
  5. 不動産取引ガイド

    インスペクションは意味がないのか?
PAGE TOP