不動産取引ガイド

法改正で変わる中古住宅の新常識― 価値が下がる「買ってはいけない家」、価値が上がる家の見極め方 ―

■価値が下がる買ってはいけない家の特徴

・図面や検査済証がない家
構造の安全性を客観的に証明できず、大規模リフォームや住宅ローンの利用が困難になる可能性があります。

・独自工法の家
建築したメーカー以外では構造計算や改修が難しく、将来のリフォームや売却時の柔軟性が低くなりがちです。

・表面だけきれいなリフォーム済み物件
内装は新しく見えても、構造や断熱性能の問題が隠れているケースがあり、結果的に割高な買い物になるリスクがあります。

価値が上がる家の特徴

・書類が揃った在来工法の家
第三者が性能を検証しやすく、将来的なリノベーションの自由度も高いのが特徴です。
・内装は古くても構造がしっかりした家
改修費用を耐震や断熱といった性能向上に集中でき、コストパフォーマンスに優れています。
・適切な補強設計が立てられる家
たとえ旧耐震基準の建物でも、適切な改修により、新築住宅を上回る性能を実現できる可能性があります。

2025年施行の建築基準法改正が中古住宅市場に与える影響

2025年に施行される建築基準法(※1)の改正により、これまで「グレーゾーン」とされてきた多くの木造中古住宅が、明確に「基準未達」と判断される時代に入ります。

(※1)建築基準法とは、国民の生命・健康・財産を守るため、建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めた法律です。

法改正の2つの柱

① 4号特例の縮小

2025年以降、4号特例は大幅に縮小され、多くの木造住宅で構造計算および図面提出が義務化されます。

※ 4号特例とは、建築基準法第6条第1項第4号に該当する小規模木造建築物について、建築確認申請時の審査を一部省略できる特例措置です。

② 省エネ基準への適合義務化

これまで努力義務に留まっていた省エネ基準(※2)が、原則としてすべての新築住宅で義務化されます。

新築が対象ではありますが、住宅に求められる価値基準が
「省エネ性能があって当たり前」
へと大きく転換することを意味します。

その結果、中古住宅市場でも、断熱性・気密性といった“住宅の燃費性能”が、価格を左右する重要な指標になっていくでしょう。

※ 省エネ基準とは、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づき定められた、断熱性能やエネルギー消費効率に関する基準です。す。

これからの中古住宅選びで本当に問われること

この2つの法改正により、これまで曖昧に扱われてきた
「耐震性能」と「断熱性能」
という住宅の本質的な価値が、誰の目にも分かる形で可視化され、資産価値として厳格に評価される時代が到来します。

「築年数が浅いから」
「大手ハウスメーカーだから」

といった従来の安心材料は、もはや十分な判断基準とは言えません。

問われるのはただ一つ。
「この家は、法が求める性能基準をクリアできるポテンシャルを持っているか」
という点です。

■リフォームができない中古戸建てに要注意

・4号特例縮小により、2025年4月以降のリフォームでは「確認申請」が必要となるケースが増加
・検査済証がない場合、法適合性を証明できず、大規模リフォームや確認申請が困難になることがあります

※ 築20年以上の建物で見られやすい傾きや地盤沈下などの致命的な不具合は、リフォーム難易度が極めて高くなります。

■「リフォーム済=安心」とは限らない

・壁紙やキッチンなど“見える部分”のみを更新している物件も多く、給排水管や床下は旧仕様のままというケースもあります。
・外見に惑わされず、施工品質とどこまで交換・改修されているかを必ず確認しましょう。

■「耐震等級◯相当」は公式な評価ではない

「耐震等級◯相当」とは、
第三者機関による正式な認定は受けていないものの、設計上・性能上は同等レベルの耐震性があると、建築会社が判断している状態を指します。

性能自体は高い場合もありますが、公的証明がないため、
・地震保険の割引
・住宅ローンの金利優遇

といった制度上のメリットは受けられません。

中古住宅購入時に欠かせない「インスペクション」

中古住宅を購入する際、『インスペクション(建物状況調査・ホームインスペクション)』は、建物の劣化や欠陥を専門家が調査し、将来のリスクを「見える化」する重要なプロセスです。
売買契約前に行うことで、安心して購入判断ができます。

■ インスペクションの目的とメリット

・リスクの把握
ひび割れ、雨漏りの兆候、設備不良など、目視では分からない問題を確認。

・購入判断の材料
購入の可否、価格交渉、リフォーム計画の立案に活用可能。

・トラブル防止
売主・買主双方の契約不適合リスクを軽減。

・安心感
第三者専門家による中立的な診断。

■ 調査の概要

・担当者:建築士などの資格を持つホームインスペクター
・調査内容:基礎、外壁、屋根、床下、天井裏、室内等の非破壊調査
・所要時間:約2~3時間
・報告:後日、詳細な書面報告書を提出

■ 費用と種類

※費用は戸建て・マンション、調査範囲により異なります。

【建物状況調査(インスペクション)】
国土交通省ガイドラインに基づく標準的な調査

【ホームインスペクション(住宅診断)】
一般的に流通しているサービス名称

【既存住宅瑕疵保険】
インスペクションと併用することで補償が付く保険(別途費用・手続きが必要)

■ 依頼時のポイント

・タイミング:売買契約前が理想
・状態:家財撤去後の方が詳細な確認が可能
・仲介業者との連携:説明義務があるため、早めに相談し日程調整を行いましょう

中古住宅購入を検討する際は、必ず専門家によるインスペクションを行い、建物の本当の価値を見極めることが重要です。

リニュアル仲介
渡辺でした。

住宅ローン滞納時の任意売却について知っておくべきこと前のページ

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