不動産は立地選びと言っても過言ではありません。将来のリセールバリューもハザードリスクも、とどのつまり、最も重要な要素は立地です。徳川家康が東京湾に注いでいた利根川を東遷したことによって、江戸城以南、以東の海抜0メートル地帯がようやく使えるようになったものの、その直後は、雨が降れば直ぐにぬかるむような湿地だったことでしょう。今となっては、このようなところにも建物が林立していていますが、実行が今よりも圧倒的に少なかった当時、わざわざこのようなところに人が住む理由もありません。逆を言えば、昔から人が住んでいる場所は、今でも住みやすい場所である可能性が高いということでしょう。これから人口・世帯共に減少していく日本においては、街が拡大していったのとは逆の流れで街が無くなっていくことも有り得ます(東京はいまだに流入の方が多いようですが)。
そんなことを楽しみながら想像する為のツールとして、歌川広重の「名所江戸百景」をお勧め致します。浮世絵と聞くと、私はなんとなくフィクションの構図を絵にしたように感じてしまっていましたが、この名所江戸百景の絵と、現在のその場所を見比べると、ぴったりと一致することにとても驚きました。写真が無い当時としては、写真の役割も果たしていたということなのでしょう。下記アプリは、自分の位置を地図上で認識しながら、近くにある広重が書いた場所までの方位と距離を表示してくれる優れものです。さらに近くに行って専用のカメラを起動すると、半透明の広重の絵が映し出されます。現実の風景と重なる瞬間がちょっと快感です。休みの日のお散歩や、仕事の時の徒歩移動をしながら、名所を巡ってみてはいかがでしょうか。
◆『芝愛宕山』(歌川広重 名所江戸百景)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fa/100_views_edo_021.jpg
男坂を登り切った場面を神社側から描写した風景でしょう。昔は愛宕神社に登ると海が一望できたですね。ちなみに愛宕山は、23内の自然地形の山の中では、一番高いそうです。
◆謎解き!江戸のススメ広重ARマップ 【おすすめアプリ】
http://www.bs-tbs.co.jp/edo/banner.html
スマホ用アプリ。都内散歩のお供に最適です。東京を散歩しながら、現在の風景と広重が書いた風景の変化を見ることができます。自分の位置から何メートルとアプリで表示されて、方向を示してくれるので、仕事での移動のついででも名所めぐりができてしまいます。
◆名所江戸百景マップ
http://apps.esrij.com/edo100/index.html
名所江戸百景で描かれた場所が、地図上にプロットされています。