不動産取引ガイド

検査済証がない物件ってどうなの?

中古物件を見ていると、「検査済証がない」といった物件に、ほんとうに沢山遭遇します建物を建てるときには、「建築確認申請→許可→工事着工・完工→完了検査→検査済」

という流れで進むのですが、工事完了後に、「建築確認どおりに建物ができている」ということが、検査によって確認された建物は、「検査済証あり」ということになります。

住宅関係のお仕事以外の人からすれば、「そんなもの、あって当たり前じゃないか」というのが普通の感覚だと思うのですが、実は、当たり前ではありません。費用や手間の関係で、一昔前までは、戸建て住宅の場合、ほとんど検査済証が取られていませんでした2005年の耐震偽装事件を機に、取得率が急速に上昇したそうですが、2000年頃は40%以下、それよりも更に前は20%程度と言われています。建築確認申請が通らないと、そもそも工事に着工できないので、

昔は、確認申請は法律に則った設計で通しておいて、その後の工事で、法律で規定された上限の広さよりも大きくしたりすることが、よく行われていました(完了検査を受けなければ、発覚しないので。)。工務店も、よくないことだとは思いつつも、お金を払う施主から頼まれれば断ることができず、大きなものを作ってしまう、というような構図です。

売り物件でよく目にする「建ぺい率・容積率超過」というのは、そのような事情で建てられていることが多いです。上述のような状況ですから、売りに出ている中古「戸建」物件の築年が、2005年よりも前であれば、検査済証がない方が多いといえるでしょう。ちなみに、マンションのような大型なものは、古いものでも検査済証をとっているのが普通です。

検査済証がない物件は、全て購入の検討候補から外すというふうに、自分なりの選定基準を決める方法も考えられますが、かなり選択肢が狭まってしまいます。検査済証がない物件の場合は、「建築確認申請書」や「建築計画概要書」記載の床面積と、謄本の面積に大きなズレがないか?とか、実際に物件を見てみて、数字と実際の大きさに違和感がないかとか、そのあたりを確認して、「完了検査は受けていないが、確認申請通りにできている可能性の方が高そうだ。」というような判断をしていくことになります。

以上、リニュアル仲介本部パイロット店 エージェント石川でした。

住宅関連ニュースも鵜呑みにしてはいけません前のページ

不動産の「シキエン」って何?!次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 住宅購入は不安でいっぱい

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    建設工事の式典(上棟式)

    前回に引き続き今回は上棟式です。上棟式にについて地鎮祭…

  2. 不動産取引ガイド

    床面積に隠された陰謀? 課税は多めに、減税は少なめに

    不動産にまつわる税金に関係して、大きなポイントとなるのが「床面積」です…

  3. 不動産取引ガイド

    あぶないブロック塀のチェックポイント!

    大阪北部地震でおきたブロック塀の倒壊、いまだに余震とおもわれる地震が続…

  4. 不動産取引ガイド

    日本のマンションの防火対策は安全?

    今年に入ってから都内のタワーマンションの火事がありましたが火元の部屋の…

  5. 不動産取引ガイド

    狭い道路では家が建たない 狭あい道路と有効宅地

    新規に建物を建築しようとした場合、前面道路が狭い道路ですと、そのままで…

  6. 不動産取引ガイド

    実家というお金がかかる幻想

    実家という言葉の定義を考える時に、皆さんはどのようにイメージされるでし…

  1. 不動産取引ガイド

    マンション名から時代を読み解く?!
  2. 不動産取引ガイド

    売却しようと思った時に困る事のないように「売れないマンション」には要注意!
  3. 不動産取引ガイド

    住まいの「広さ」と「理想の家具・荷物の量」
  4. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 17 【ローン正式審査~決済編 6/6】
  5. 不動産取引ガイド

    避難訓練がお勧めです
PAGE TOP