住宅の資産性

冬場の電力供給不足から考える不動産取引への影響

先日、経済産業省は有識者会議で、今年度の冬の電力需給についての見通しを公表しました。

仮に10年に1度という厳しい寒さを想定した場合、需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が東京電力管内で「ぎりぎりになる」という試算です。

全国7エリアで3%台となり、「過去10年間で最も厳しい」と指摘したとのことです。

電力不足と住宅の関係

「電力不足」という言葉から簡単に想定されるのは、「エアコンなどの暖房が使いにくくなるな」とか、「スマホやPCの使い過ぎに注意だ」といった印象ではないでしょうか。

ただ、実際にはもう少し大きな影響が出るかもしれません。

例えば中国では、大規模な電力不足が深刻な問題となり、一部の工場等で操業停止措置などを受けているところもあるようです。

多くの部品や資材を中国に依存している現状では、この工場停止が大きなインパクトを与える可能性があります。

コロナ感染症が猛威を奮っていた状況下でも、工場がストップし、トイレや金具が入ってこない、といった事態が発生しました。

同じような状況が今後発生するかもしれません。

建築部材やリフォーム資材の不足と価格の高騰の可能性

こうした工場ストップで部材や製品の供給不足が発生すれば、物件価格の高騰を招く可能性もあります。

中古物件を購入してリフォームを検討していたけれども、予想以上にコストがかかってしまうといった事態や、製品や部品が届かないため引越しが遅れてしまうという影響も考えられます。

引越しまでの時間が長引いてしまうことは、ローンや家賃の二重払い、または金利上昇の可能性など、諸々のリスクを検討しなければならないことになります。

不動産取引の現場でも、完成済み・リフォーム済み物件や、あまり手を入れなくて良い築浅物件などのニーズが高まるかもしれません。

こうした、あるカテゴリーの物件に人気が集中すれば、それは物件価格の上昇圧力ともなり得ます。

いまの時点でも、物件価格は高くなっている印象ですが、今後の動向については注意が必要です。

現時点がピークで、これから落ち着いてくるという見方もあれば、今回の電力不足や経済動向も影響して、更なる価格上昇もないとは言えません。

お住まい探しにおいては、住みやすそう・環境や雰囲気が良い、という印象も大事ですが、やはり資産価値という視点にも配慮していただきたいと思います。

もしご興味ある物件がありましたら、買主の立場に寄り添ったバイヤーズ・エージェントまでご相談ください。

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