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マンション購入検討者は『EV充電』可能の有無を確認する?!

東京都は電気自動車(EV)の普及を促すため、分譲マンションへの充電設備の設置に本腰を入れるようです。2030年までに都内の新車販売の半数を二酸化炭素(CO2)を排出しないEVなどゼロエミッション車(ZEV)に切り替える目標を掲げており、2020年度時点で2%強にとどまっています。2025年度から新築マンションへの充電器設置を義務化するほか、2023年3月には設置業者と管理組合の相談会を開いて既存マンションへの設置も後押しする予定です。これからマンション購入を検討している方は、このようなEV充電の有無や、無い場合は今後の予定を確認してみてはいかがでしょうか?

■EV充電の必要性がこれから増える?!

EV充電のシーンは下記の3つのシーンに大別されます。

1. 自宅や事業所での「基礎充電」
2. 高速道路など移動途中の「経路充電」
3. ホテルや商業施設などの「目的地充電」

車は自宅や事業所などで停車している時間が約9割程度とされ、住宅や事業所などに充電器を設置して「基礎充電」の機会を増やすことがEV普及のカギを握っています。特に人口密集地の都内では住宅戸数の7割を占めるマンション(集合住宅)の充電設備の充実が欠かせません。勿論、マンション(集合住宅)住人でEVを持っている方とそうでない方で充電の必要性が異なり、合意形成が難しいケースも多いようです。

東京都は既存マンションへの充電器設置が必要と判断し、2018年度から補助事業を実施しています。国の補助と合わせると自己負担なしで設置することも可能となり、申請は右肩上がりで伸びていますが、2021年度までの4年間で計471基にとどまっています。2018年時点で約484万戸もある集合住宅と比較すると、かなり少ない設置台数となります。

■自動車メーカーが力を入れるEVと充電器設置の必要性について

EVの販売台数そのものは、自動車メーカー各社がEVのバリエーションを増やしたこともあり普及スピードは高まっています。2022年8月の全国のEV販売台数(プラグインハイブリッド車含む乗用車、軽自動車含む)は約9100台と前年同月比2.5倍で、新車販売台数に占める比率も3.9%と前年同月から2.5ポイント上昇しています。ガソリン高騰の影響も大きいと思われます。今後のEV普及を見据え、マンションへの充電器設置を手がける事業者も、大手からスタートアップまで幅広く増えてきました。東京都はこうした機運をとらえ、2022年9月上旬に設置業者や自動車メーカー、マンションの業界団体などと充電設備の普及に向けた連携協議会を設立しました。

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/vehicle/sgw/promotion/200500a20220722161421303.html

アンケート調査で充電器設置に前向きな管理組合を抽出し、2023年3月に設置業者との相談会を開催する予定を計画しています。東京都の目論見としては、多様な設置サービスの存在を知ってもらい、マンション管理組合内の合意形成に役立ててほしいと期待しています。

■東京都は2025年度から駐車場へのEV充電器の設置を義務付ける?!

東京都は新築マンションについては2025年度から駐車場へのEV充電器の設置を義務付ける方針を発表しております。例えば、50台分の区画がある場合、10台分の充電器に加え、15台分の配電工事を求める計画です。将来、EV利用者が増えた際にスムーズに充電器が設置できるようにする狙いがあります。現在はEVの品ぞろえの充実で関心を示す人は増えています。しかし、自宅マンションに充電器がないことを理由に購入をためらっている人も多くいると判断されており、この改善をきっかけにEV充電できるマンションも増えて欲しいと思います。

これからマンション購入をされる方は、EV充電の有無や、無い場合は今後の予定を確認してみていただければ幸いです。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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