売主が居住中の物件は、売主様に直接確認できる絶好の機会と言えます。
私、エージェントの中田です。中古物件の売却において、売主様がそのまま居住しているケースは非常に一般的です。こうした物件は、売主様が長い年月をかけて愛着を持ち、心を込めて過ごした場所です。そのため、その物件についての知識や情報は、売主様が一番詳しいと言えるでしょう。
ですから、私は買主様の代わりに売主様に対してさまざまな質問を行います。皆様も気になることがあれば、どんどん質問してみましょう。
私の経験から言えることは、売主様が物件について虚偽の情報を提供しようとすることはほとんどないということです。しかし、売主様の返答は、その物件についての主観が強いことがあります。
たとえば、
「このマンションは、少し経年劣化していますが、大手〇〇建設が手掛けた建物なので、まったく騒音がないんですよ。隣の住人が小さな子供を持っているのに、その音さえ聞こえないほどです。上階からの音も気になりません。間違いなく〇〇建設の優れたマンションです。」と、売主様は誇らしげに語ります。おそらく、売主様は嘘をつこうとしているわけではないでしょうが、〇〇建設による建築ならば安心だという信念が強いのです。昭和のマンションとはいえ、周囲の騒音がまったく気にならないと主張することもあります。
私はこう尋ねます。「実際、ご主人様が駅まで歩いて何分ほどかかりますか?」
売主様は答えます。「駅のホームまで約8分です。」おそらく、売主様は嘘をつこうとしているつもりはないでしょうが、実際には徒歩で約11分かかり、途中での登坂があるため、それがかなりの距離であることには疑問を感じるかもしれません。「それでも歩いていけますよ」と売主様は言います。
また、こう尋ねます。「廊下側のお部屋は結露が発生しませんか?」
売主様は答えます。「冬でも十分に換気を行っているので、結露の心配はありません。」しかし、廊下側の窓枠を見れば、結構なシミがあることや、結露の痕跡が確認できることがあります。
売主様は自分の主観に基づいて次のような回答を提供することが多いです。
・「このマンションに住んでいる子供たちは皆挨拶が良く、信頼できる人々ばかりです。」
・「風通しが良いので、夏でもエアコンはほとんど使わないです。」
・「冬でも暖房をほとんど使用しないで過ごします。〇〇不動産の建物は気密性が高いため、快適です。」
これらの回答は、売主様が悪意を持って提供しているわけではなく、単に彼らの個人的な視点に基づいています。これは購入希望者にとってはそれほど重要ではないかもしれません。
当然、売主様は物件に愛着を持っており、それは理解できます。ただし、質問をする際には、売主様の回答をある程度疑念を抱きながら受け入れ、自分自身で判断することが大切です。
多くの方々はすでにそのようなアプローチを取っているかもしれませんが、売主様が知っている情報は非常に貴重です。売主様が居住中の物件であれば、それを知る絶好の機会です。ですので、疑念を抱きつつも、気になることがあればぜひ売主様に質問してみましょう。
以上、中田でした。