不動産取引ガイド

不動産の4つの価格 その3「路線価」

前回は、不動産の四大価格指標の一つである「固定資産税評価額」について詳しくご紹介しました。
その貴重な情報はこちらからご覧いただけます。
不動産の4つの価格 その2 「固定資産税評価額」

今回は、不動産価格の理解を深める第三弾として「路線価」にスポットを当てます。この価格は、不動産取引はもちろん、相続税や贈与税の計算においても欠かせない要素です。しかし、多くの人にとって路線価はなじみの薄い概念かもしれません。そこで、この記事では路線価の基本から、その計算方法、活用のポイントまで、包括的に解説します。

路線価とは何か?

路線価とは、国税庁が定める道路に面した宅地1㎡あたりの価格のことです。具体的には、公示価格の約80%程度で算出され、毎年1月1日の価格を基準に公表されます。この価格は、相続税や贈与税の計算の基準として用いられるため、不動産を扱う専門家だけでなく、一般の不動産所有者にとっても重要な情報源となります。

路線価は、毎年1月1日時点の価格を、国税庁のサイト財産評価基準書路線価図・評価倍率表で確認できます。 →国税庁HPより

路線価の活用方法

路線価は、不動産の評価を行う際の基準となりますが、そのままの価格を用いるわけではありません。土地の実情に応じて、いくつかの補正が必要になるのです。これは、土地の形状や位置、利用の有効性を考慮に入れるためです。

補正率の適用

路線価の計算には、主に以下の四つの補正率が用いられます。
奥行価格補正率:これは、土地が深いほど適用され、奥行が深い土地の価値を現実に即して調整します。
奥行長大補正率:土地の奥行きが間口の二倍以上ある場合に適用され、長い土地の価値を適正化します。
間口狭小補正率:土地の間口が狭い場合、つまり道路へのアクセスが限られている場合に価値を下げるために用いられます。
不整形地補正率:土地の形状が正方形や長方形から大きく外れている場合に適用され、形状による価値の低下を反映させます。
これらの補正率は、土地の特性に応じて併用されることもあります。例えば、奥行きが長く間口が狭い土地では、奥行長大補正率と間口狭小補正率の両方が適用される可能性があります。

実例による解説

具体的な例を挙げて解説しましょう。例えば、路線価が200万円/㎡で、土地の面積が180㎡、奥行きが25mの普通の住宅地であった場合、その土地の価値を計算する際には、まず基本の路線価に面積を乗じて基本的な土地の価格を出します。つまり、200万円 × 180㎡ = 3600万円となります。しかし、これは補正前の価格です。

次に、この土地が特定の補正率を必要とする条件を満たしているかを検討します。例えば、もし奥行きが間口の2倍以上で、形状が不整形であれば、奥行長大補正率と不整形地補正率を適用する必要があります。これらの補正率は、例えばそれぞれ0.9と0.85であったとします。この場合、土地の評価価格は 3600万円 × 0.9 × 0.85 = 2754万円となり、実際の土地の価値をより正確に反映します。

※(参考資料)各補正率は国税庁の「補正率表」で確認できます。

路線価の重要性とは?

路線価は、不動産取引や税務上の計算において重要な役割を果たします。特に、相続や贈与における不動産の評価には欠かせません。正確な路線価の把握と適切な補正の適用は、不動産の公正な価値を算出する上で必要不可欠です。

まとめ

不動産を取引する際には、路線価を始めとする様々な価格指標を理解することが重要です。これらの価格指標は、不動産の価値を決定する上で基礎となるものです。次回は、不動産取引において別の重要な指標である「実勢価格」に焦点を当て、その計算方法と市場での影響力について詳しく解説します。以上、エージェント中田でした。

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