現在、物価高騰の影響により、不動産の見直しを検討する方が増えているようにかんじます。その際に、多くの方が悩む事として住宅の売却は初めてで、「どうやって売却するのか?」という事だと思います。その際の情報収集の一助になればと思い、今回は不動産売却時の事業者の選定方法について、解説をしたいと思います。
■不動産売却が最も動く時期・売却の流れをご存じですか?
自宅や、相続した実家など、住宅の売却を考えている人は少なくありません。それも2月から3月は人の移動の時期(転勤等を含む)と重なる為、新生活のスタートに合わせて家探しをする人も多く、中古住宅の流通が活発になる時期となります。また、大手仲介会社の決算のタイミングと重なり、事業者の営業にも力が入る時期となります。そこで売却時に注意すべき点を解説したいと思います。
不動産の売却では一般的に、不動産仲介会社に売却を依頼します。まず売却物件がいくらぐらいで売れるか、仲介会社に査定をしてもらう必要があります。その査定額を基本に売り出し価格を決め、仲介会社と契約を結ぶと、仲介会社は買い主を探すといった流れに入っていきます。また、売却物件の情報は、国土交通相指定の不動産流通機構が運営する「レインズ(不動産流通標準情報システム)」に仲介会社が登録し、他の仲介会社がその情報を検索できるようにするほか、広告を出したり、ネットの物件情報サイト(SUUMO、LIFULL HOME’S、アットホームなど)などにも情報を登録したりします。
買い主側も仲介会社を通じて購入候補となる物件を探し、物件を実際に見る「内見」などを経て価格交渉し、まとまれば成約という流れになります。売り主と買い主はそれぞれ仲介会社に仲介手数料を支払うのが基本となります。その手数料の基本となるのが「物件金額(売却・購入)の3%+6万円」に消費税をプラスした金額となります。
■売却希望者は仲介会社をどのようにして選べばよいか?!
売却時の仲介会社選定として重要な事は、売却物件があるエリアの状況に詳しく、地域密着型で長年にわたって営業している仲介会社がおすすめです。全国展開している大手仲介会社の支店も選択肢になりますが、特定の地域に強い地場の仲介会社が頼りになることも多く、長年営業しているかどうかは、宅地建物取引業(宅建業)の免許証番号をみればある程度は判断できます。例えば東京都内で営業する業者なら「東京都知事(5)第123……号」といった免許証番号が広告などに記載され、カッコ内の数字は免許の更新回数(現在は5年ごとに更新)を示す。興味のある方は下記の国土交通省のホームページに宅建事業者の検索ができるHPがありますので、参考にしてみてください。
※この業者が神奈川県にも営業所を開設すると「東京都知事」免許から「国土交通大臣」免許に切り替わり、更新回数も「(1)」に戻る点には注意が必要です。
不動産の仲介取引は、売り主側の仲介会社と買い主側の仲介会社が別々の場合と、同一の仲介会社が媒介する場合の2通りがあります。売り主側と買い主側の仲介会社が同じ場合を「両手取引」といい、海外では両手取引が禁止の国もあります。高く売りたい売り主側と、安く買いたい買い主側の間で「利益相反」が生じるのが理由です。しかし、地域で有名・人気がある不動産事業者には売りたい方、買いたい方が多く集まる傾向がある為、両手取引が悪いものではないことをご理解いただく必要があります。その為、日本の宅地建物取引業法では両手取引も合法になっています。仲介会社は売り主と買い主の双方の希望の折り合いを付け、できるだけ取引を成立させようと努力するので、両手取引だから利益相反が生じるとは限りません。
■2025年1月より、不動産取引の取引状況の確認が出来るようになりました!
一方で利益相反とは別に、両手取引は売り主と買い主の両方から仲介手数料を得られるため、売却物件を自社で囲い込み、ほかの仲介会社に扱わせないようにすることがある、という問題も指摘されることが多くあります。国交省は本年2025年1月から、レインズの物件情報で「購入申し込みあり」など取引状況の登録を義務化し、売り主が登録情報を自分で簡単に確認できるようにするなど囲い込み防止策を強化しています。
■売却を任せる不動産事業者が決まった際には媒介契約を結ぶ!
売却を依頼する仲介会社を決めて契約を結ぶときは「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類から選ぶことになります。一般媒介は複数の会社と契約できるが、専任媒介と専属専任媒介は1社としか契約できません。また、売り主が自分で買い主を見つけた場合(自己発見取引)、一般媒介と専任媒介なら別の会社に仲介してもらうこともできるが、専属専任媒介ではその仲介会社を利用する必要があります。都心にあって築年数が浅いなど人気が高そうな物件の売却は、複数業者に頼める一般媒介のメリットが大きい反面、立地がよくなかったり築年数が古かったりすれば、専属専任のほうが熱心に営業してくれる可能性が高くなります。
売れにくい物件をできるだけすぐに現金化したい場合は、買い取り業者に買い取ってもらう選択肢もある為、買い取り業者に直接依頼するほか、仲介会社を通じて買い取り業者に査定を依頼する方法もあります。ただし、買い取りの査定額は一般的に仲介よりもかなり低くなりがちなので、時間を掛け、高値で売却をしたい方には買取はお勧めできません。いずれにせよ、不動産売却をされる際には信頼のおける不動産事業者の選定は重要です。今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕