「家は早く買ったほうが得」。そのような空気が、いま20代の間に広がっているようです。
実際、データを見ても20代の持ち家率は過去最高を更新しました。
しかし、その裏では「超長期ローン」や「ペアローン」といった、将来に大きな負担を残しかねない借り方が増えていることも分かってきました。
今回は、20代の住宅購入ブームの実態と、そこに潜むリスクをわかりやすく整理します。
■マイホーム購入、20代の持ち家率が過去最高になっている?!
総務省が行っている家計に関する調査によると、2025年、世帯主が29歳以下である「2人以上の世帯」の持ち家率は40.7%となり、2000年以降で最も高い水準となりました。
前の年と比べて1ポイント上昇しており、2000年当時と比べるとおよそ2倍の水準です。
数字だけ見ると、30代(68.7%)や40代(78.9%)のほうがまだ高いのですが、注目すべきはその「勢い」です。
30代・40代では持ち家率が前年より下がっているのに対し、20代だけが上昇を続けています。
これは、住宅価格が上がり続けるなかで「今のうちに買っておかないと、将来もっと手が届かなくなる」という焦りに近い心理が、若い世代に広がっていることの表れだと専門家は指摘します。
ある調査会社の研究員は、家計調査の対象となる20代以下の「2人以上世帯」は、すでに結婚していて、かつ比較的安定した収入のある層が中心だと説明しています。
つまり、もともと住宅購入に積極的になりやすい層だという見方です。
一方で、単身者も含めた別の統計では、20代の持ち家率はここ数年、横ばいから緩やかな下落傾向にあり、結婚している人とそうでない人との差が広がっている可能性も指摘されています。
■なぜ今、マイホーム購入をする20代が動いているのか?
背景には大きく2つの要因があるようです。
1つ目は、住宅ローン比較サービスを運営する企業の担当者が指摘するように、「早く買わないとマイホームを持てなくなるかもしれない」という一種の不安感です。
住宅価格の高騰が続いているため、購入を先延ばしにするほど不利になるという心理が働いているとみられます。
2つ目は、若い世代の所得環境の変化です。
シンクタンクのエコノミストは、最近の20代は「お金を使わない世代」というイメージとは裏腹に、賃上げの恩恵を受けやすく、共働きも一般的になっていると分析します。
実際、厚生労働省の賃金統計でも、20代の年収の伸び率は30代・40代・50代を上回って推移しているというデータがあります。
早めに家を買うことが、むしろ合理的な選択になりつつあるという見方です。
■現在のマイホーム購入は「ペアローン」と「超長期ローン」?!
20代の住宅購入を後押ししているのが、住宅ローンの新しい形です。
共働き世帯が増えたことで、夫婦それぞれが別々に住宅ローンを組む「ペアローン」や、夫婦が連帯して返済責任を負う「連帯債務」を利用するケースが広がっています。
これらを使うと、1人の収入だけで審査を受けるよりも借入可能額を増やしやすくなります。
さらに、返済期間そのものも長くなっています。
これまで主流だった35年返済に加えて、最長50年という超長期の住宅ローンを扱う金融機関も増加中です。
住宅金融支援機構の調査では、2025年6月時点で回答した金融機関のうち57.5%が、変動金利型で最長50年の商品を用意していると回答しており、この割合はわずか1年で約24ポイントも上昇しました。
また別の調査では、東京都内で住宅購入を検討している20代のうち、「ペアローン・連帯債務」と「35年を超える超長期返済」を組み合わせたいと考える人の割合が、2026年3月時点で同世代全体の約23%に達し、前年からほぼ倍増したことも分かっています。
返済期間を延ばすメリットは、月々の負担を抑えられる点です。
たとえば1億円を金利年1%で借りた場合、35年返済なら毎月の返済額はおよそ28万円ですが、50年返済にするとおよそ21万円まで下がります。
総支払額(利息込み)は増えるものの、目先の家計負担を軽くできることが、若い世代にとって魅力的に映っているようです。
■借金は増加傾向、マイホーム購入による家計の危うさ?!
便利に見えるこれらの仕組みですが、専門家は手放しでは喜べないと警鐘を鳴らします。
家計調査によると、29歳以下の世帯が抱える住宅・土地関連の負債は、季節要因を調整した直近のデータで見ても、比較可能な期間のなかで最も高い水準まで膨らんでいます。
■マイホーム購入、リスクとして指摘されるポイントは主に3つです。
収入の不安定さ:賃上げが進んでいるとはいえ、20代の年収は上の世代に比べると絶対額では低いことが多く、共働きであっても収入が不安定になりやすい時期です。
出産・育児による減収:20代で住宅を購入した夫婦は、その後に出産・育児の時期を迎える可能性が高く、夫婦2人分の収入を前提に組んだローンが、片方の収入減によって急に重荷になるケースも少なくありません。
オーバーローンのリスク:超長期ローンは返済初期に元本がなかなか減らない特徴があります。
万が一、収入減などで住宅を手放すことになった場合、売却額よりもローン残高のほうが大きい「オーバーローン」状態に陥る恐れもあります。
実際、2026年に入り、東京都心の中古マンション価格が前の月より下落する月も出てきており、値上がりを前提とした計画には不透明さも出始めています。
シンクタンクのエコノミストは、最終的に売却益が出る可能性はあるとしても、借入額が大きく返済期間も長いと、家計のお金の流れが常にギリギリの状態になり、日々の生活満足度がかえって下がってしまう懸念もあると指摘しています。
■マイホーム購入は焦らず、将来を見据えた判断をするべき!
20代での住宅購入には、「資産形成を早く始められる」「住宅価格の上昇前に手を打てる」といったメリットがある一方、長期にわたって家計を圧迫するリスクも伴います。
専門家は、自分たちの収入の見通しやライフプランに照らして、購入する住宅の価格や借入額が本当に妥当なのかを冷静に検証することが欠かせないと話します。
20代はまだ転職・出産・働き方の変化など、今後のライフスタイルが大きく変わる可能性を秘めた時期でもあります。
そうした変化も視野に入れたうえで、住宅購入や借入の計画を立てることが大切です。
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕











