不動産取引ガイド

年末年始は耐震をテーマに実家のこれからの話をしましょう

年末年始で実家に帰省する人も多いと思います。お正月は家族が集まる貴重な機会。このタイミングで実家のこれからの話をしませんか?

テーマは自宅の耐震性と資産性です。耐震性は家を建てた年月で判断できます。
まずは出口です。選択肢は「住み継ぐ」「売る」「貸す」「放置」の4択です。幸いにして「住み継ぐ」選択肢を選べる場合は、耐震性と資産性の話は少し先延ばしでも大丈夫です。
多くの方は「住み継ぐ」という選択肢が選べないと思います。そうなると「売る」「貸す」を具体的に検討する必要があります。そうしないと結局「放置」され空き家になるだけです。

それでは視点を変えます。今の実家の状態で果たして売ることができるでしょうか?貸すことができるでしょうか?
人口は減り続け、価格を下げれば買い手や借り手が見つかる時代が終わろうとしています。戸建ての場合の「最悪土地で取引すればいいや」も通用しなくなります。
最低限の判断基準は耐震性です。まず1981年5月以前の「旧耐震」の家は早急な対策が必要です。1981年6月以降の「新耐震」でも安心できません。築20年以上の戸建て、築25年以上のマンションは売買にあたって耐震基準適合証明書が必要になるからです。
つまり耐震基準適合証明書が発行できる状態にすることが必要で、発行できない場合は売るにも貸すにもかなり不利になります。

戸建ての場合は旧耐震だろうと新耐震だろうと必要な改修工事を行えば性能が確保できます。耐震改修は壁の工事なので、今実施しても、10年後に実施しても耐震性能は余り変わりありません。
耐震基準適合証明書が得られない分、値下げを余儀なくされるくらいなら、少なくとも住んでいる期間地震リスクが軽減できると言う意味でも予め耐震改修やっておいた方が良いと判断できますね。
問題は「いつやるのか」です。これは可能な限り早い方が良いです。リフォームを実施するのは想像以上に体力が必要なので、後期高齢期に差し掛かると体力面で現実的ではなくなります。また資力面でも高齢になればなるほど不利になります。
高齢期のリフォームは行き当たりばったりではいけません。若年期以上に計画が必要なのです。だから家族が集まる貴重な機会に話をする必要があるのです。
親はまだ元気だから、と話を先延ばしにすればするほど高齢期の家とお金の問題は深刻化します。正常に判断できる時に計画を立てておく必要があるのです。

マンションは少し事情が異なります。自己都合で耐震改修ができないからです。駅近など立地が良い場合はいいのですが、立地が余り良くないマンションは、売れるうちに売ってしまうのが現実的な選択です。
もうすでに不動産のババ抜き合戦スタートしています。売れない戸建ても悲惨ですが、売れないマンションは更に悲惨な将来が待っています。
今のマンションを売って、少し狭くなっても今より良い立地へ資産の付け替えをすることが重要です。
時期は早い方が良いです。5年後、10年後より今の方が売りやすいからです。何より後期高齢者になった時に、家族の想い出が詰まった家を離れるのは心理的に難しい選択になってしまいます。まだ元気なうちに移住して新しい想い出を積み上げるのも将来に対する備えです。
「旧耐震」のマンションは更に深刻です。もはや買い手には数多くある選択肢の中から敢えて「旧耐震」を選択する動機が余りないからです。幸い現状では「旧耐震」マンションも流通していますので、売れる時期に売り抜いた方が良いと思います。(旧耐震マンションは投資の面ではかなり上級者向けの物件になります)

実家の扱いが問題になるのは、家を建てた時、買った時より関係者が増えていることです。両親の都合だけで判断できません。だからなるべく早く計画を立てて、関係者の合意を得ておく必要があるのです。

リニュアル仲介の稲瀬でした。

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