2024年4月1日より、住宅・建築物を販売・賃貸する事業者には『省エネ性能ラベル』の表示が努力義務となりました。改正建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号))に基づき、2024年4月に「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」が強化されています。不動産の仲介のシーンでは本表示の努力義務が課されているわけではありませんので、省エネ等の説明に苦手意識を持っている事業者も多いかと思います。そもそもこのような制度が設けられた背景として、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことの宣言に由来しています。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
※ここでの温室効果ガスの「排出量」「吸収量」とは、いずれも人為的なものを指します。
カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があり、多くの排出がある住宅建築において、このような制度が設けられました。
■建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度の目的について
販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者等が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度です。
住まいやオフィス等の買い手・借り手の省エネ性能への関心を高めることで、省エネ性能が高い住宅・建築物の供給が促進される市場づくりを目的としています。
■本表示制度の対象となる建築物について
表示対象となるのは、2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築建築物、及びその物件が、同時期以降に再販売・再賃貸される場合の建築物です。
確認申請を要しない建築物においては、2024年4月1日以降に着工したものです。表示制度に基づき発行されるものは「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」の2種類です。
対象住宅は「分譲一戸建て」「分譲マンション」 「賃貸住宅」「買取再販住宅」などであり、非住宅では、「貸し事務所ビル」「貸テナントビル」などとなります。
対象外住宅 :「注文住宅」「自社ビル」などです。
本制度が対象となる事業者 ※この制度の省エネ性能表示は努力義務です。国土交通大臣は、販売・賃貸事業者が告示に従って表示していないと認めるときは、勧告・公表・命令をすることができます。なお、これらの措置については、制度の施行後当面は、事業者の取組状況による社会的な影響が大きい場合を対象に運用することとしています。
今回の新しい表示ラベルを見ると、星と家のマークが並んでいます。省エネの表示を表す星マークの数は原則、国が定めた省エネ基準に対し、削減率が10%高まるごとに1つ増えていきます。また、家マークは建物の断熱性能の高さを示し、マークの数が多いほど「冬暖かく、夏涼しい住宅」となります。
対象となる事業者は、建築物の販売・賃貸事業者です。注文住宅は請負により建築され、新築の時点では販売対象にならないため表示の努力義務の対象にはなりませんが、性能値が確定したらラベル・評価書を発行することが望ましいです。
なお、その住宅が将来的に買取・販売される際には、買取再販事業者には表示の努力義務が課せられます。
■これから不動産購入の検討をされている方へ 省エネ表示の確認もお忘れなく!
不動産購入を検討している際には必ず、インターネット広告、新聞、雑誌広告、折込チラシ、パンフレットなどをご覧になられると思います。その際に省エネ性能ラベルの有無により、今後の不動産取引に影響が出てきます。ぜひ、このような制度がスタートしていますので、積極的に表示の有無の確認をお忘れなく。
「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」(国土交通省)
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕