不動産取引ガイド

住宅購入後は防犯対策もお忘れなく!

高齢者の住居を狙う強盗事件が相次いでいます。窃盗罪と強盗罪は、いずれも他人の財産を奪ったときに成立する犯罪ですが、両者の違いは、暴行や脅迫を用いているか否かにあります。暴行や脅迫を手段として財産を奪う強盗罪は、より悪質で刑罰が重くなります。さて、核家族化が進み、老親と離れて住む世帯が増えるなかで、どのように親の身の安全を守ったらいいのか、また住宅購入後に、どう防犯対策を取ったらいいのか、注意点、対策費用を含めながら解説をしたいと思います。

■防犯対策費用はどれくらい掛かるのか?

防犯対策として、一番重要な点は、「どこから侵入する可能性が高いか?」という点だと思います。結論から言うと、「侵入経路をブロックする」という事であり、窓や玄関ドアの対策という事です。窓を守る面格子や防犯カメラを設置したり、強盗被害を少しでも防げる対策が必要です。1階の窓には外部の侵入を防ぐための面格子を取り付け、監視カメラを玄関周りなどに設置する場合、商品や材料代で合計十数万円になり、それに設置を業者に依頼すれば、その費用が掛かります。警察庁の「刑法犯に関する統計資料(2023年)」によると、住宅強盗の認知件数は2021年まで減少傾向にありましたが、2023年は2年連続で増加しているようです。侵入強盗の発生場所は、マンションなどの共同住宅と比べて、戸建て住宅が多い傾向にある為、戸建て住宅を購入された方は、ぜひ、購入後に防犯対策をお忘れなく。

■戸建て住宅を購入された方の防犯対策について

戸建て住宅の防犯対策はどのようにしたらいいかついては「侵入を諦めさせるための対策」が重要だと言われています。大きな音を発する装置など、異変を周囲に知らせるものを取り付ける事で、いざ犯罪者が侵入を回避するバロメーターになります。家の周りに赤外線センサーを張り巡らせ、外部からの侵入があると即時に大きな音で周囲に知らせる設備が現時点ではベストな防犯対策となります。金額は自宅の大きさなどで異なりますが、数百万円掛かる対策となります。

そこまでのお金を掛けられないという人は、資金面で可能な範囲で、できる限り強盗犯の侵入を遅らせるための対策を講じていただければ幸いです。ホームセンターでは、住宅に設置する防犯商品が購入できるほか、窓などのリフォームを申し込めます。ホームセンター最大手のカインズでは2024年10月以降、防犯に関するリフォーム工事の依頼が前年比2~3倍に増えているようです。

例えば、窓ガラスが複層になっていて侵入を防ぎやすいタイプだと、幅78センチ×高さ70センチ、同160×110、同160×200の3窓の合計で約22万円となります。商品によっては、防犯に加えて省エネ効果もあるため、工事に国の『住宅省エネ』の補助金が出ることもあるそうです。

現状の住居設備を維持しつつ、防犯機能を高めたい場合は、ドアや窓が一定程度開かれると警報音を発するアラームなどが選択肢になります。性能によって価格は異なるが、手ごろな価格帯のものだと1000円前後で入手可能となります。このほか、センサー式防犯カメラは6000円程度、カメラ付きの玄関インターホンは3500円程度で入手可能となります。

■住宅購入後はホームセキュリティも検討する?!

何かあったときの備えとして、自宅に警備員が駆けつけてくれるサービスは、警備会社などが提供しています。異常があると、いつでも駆けつけてくれるのが特徴であり、住宅侵入後の備えとしても重要です。代表的なのが、セコムの一般住宅用の「ホームセキュリティ」となります。セコムは全国に約2600の拠点があり、警備業法で定められている通り、異常を受信してから25分以内に現場到着できる体制を整備しています。2024年10月のホームセキュリティについての新規問い合わせ件数は前年同月比で5倍に増えており、昨今の犯罪が増えている事に起因しています。

ホームセキュリティは、設置する機器はレンタルか買い取りかを選択でき、機器をレンタルする場合、異変を感知するための防犯センサーを8個設置し、非常通報サービスを付けるといったプランの月額料金は7920円となります。工事費6万3800円と保証金2万円が別途かかります。買い取りの場合の月額料金は5060円で、機器料金は取り付け工事費用が含まれ約41万円となります。いずれも設置するセンサーの種類や個数などで料金は変わる為、設置する際の見積もり金額でご検討いただければと思います。

不在時でも在宅しているように見せる工夫も重要です。空き巣はちょっとした対策で被害に遭う確率を下げられ、指定したタイミングで室内の照明器具を点灯させるタイマー器具は1500円程度で販売されています。

こうした防犯対策を施しても強盗犯に侵入された場合、命を守ることを優先し、犯人に立ち向かうなどはしないほうがいいと言われています。万が一の際にどのように行動するか、普段からイメージトレーニングをしておくことが肝心となり、住宅購入後は防犯対策も検討していただければ幸いです。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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