不動産取引ガイド

土地の権利とは

賃貸マンションの家賃が2.5倍というショッキングなニュースを耳にしました。
取り下げるお話もあるようですが一般的には賃貸マンションの家賃値上げは、原則として、大家さんの一方的な判断ではなく、入居者との合意が必要です。
値上げには、法律で認められた正当な理由が必要で、単に収入を増やしたいという理由では値上げできません。
値上げの通知を受けた際は、その理由や相場を確認し、必要であれば交渉することも可能です。

これは賃貸物件だけのお話ではありません。
家の購入の際、土地付き住宅や土地のみの購入の際、販売図面の土地の権利部分を確認してみてください。
土地にも賃借権があるからです。

■土地の権利の種類

【所有権】

土地を自由に利用・処分できる権利で、販売図面には特に記載されることはありません。

【地上権】

土地の所有権者以外の者が、土地の上や地下に建物や構造物を設置し、利用できる権利で、販売図面には地上権を設定されている旨が記載されます。

【永小作権】

土地の所有権者以外の者が、土地を小作し、農業や漁業などの目的で利用できる権利で、販売図面には永小作権を設定されている旨が記載されます。

【地役権】

自分の土地を、他の人の土地を通ったり、他の人の土地に水を引いたりするなどの目的で利用できる権利で、販売図面には地役権を設定されている旨が記載されます。

【賃借権】

土地の所有権者以外の者が、土地を賃借し、目的物を所有して利用できる権利で、販売図面には賃借権を設定されている旨が記載されます。

【抵当権】

土地に抵当権を設定した場合、債権者が債務の弁済を受けられなかった場合に、土地を競売にかけ、その売却代金から債権を弁済してもらうことができる権利で、販売図面には抵当権を設定されている旨が記載されます。

これらの権利は、土地の利用状況や制限を理解するために、販売図面に記載されます。
購入者は、販売図面をよく確認し、土地の権利関係を理解することが大切です。

土地建物の権利関係と不動産登記

土地建物を購入する場合には、まずどのような構造・規模の建物であるのか、建物の所有者が誰であり、建物に抵当権など所有権を制限する権利が設定されていないかどうか等を確認することが必要です。
こうした権利関係を調査する場合の最も基本的な情報は不動産登記から得ることができます。

例えば、建物登記を確認すれば、表示登記の欄には当該建物の構造や床面積などが記載されているほか、甲区の欄には現在の所有者が誰であるか、前所有者や前々所有者が誰であるかなど過去の所有権の移転の経緯も公示されています。

乙区の欄には所有権以外の権利について公示され、建物に抵当権が設定されているか否かもすぐに分かります。
土地建物の購入を計画する場合は、当該建物の登記の記載事項を閲覧し、表示登記や甲区、乙区の欄を確認して、当該建物の所有者が誰であるかなどの権利関係を調査することができます。

 

登記からは分からない権利関係

不動産登記にはすべての権利関係が公示されているわけではありません。
例えば建物に借家人がいる場合は、借家権は不動産登記簿に公示されていなくとも、新所有者に対抗し得るとされているため、登記されていない権利を主張される恐れがあるわけです。
したがって、不動産の調査は登記簿の調査だけではなく、必ず現地を確認することが必要です。

不動産登記の甲区の欄に所有者として登記された者以外の者から当該不動産を購入すべきではないということです。
映画にもなりましたが地面師詐欺など騙されるケースもありますので必ず専門の方を通してご契約いただくことをお勧めいたします。
私の息子夫婦も賃貸更新のたびに値上げするので持ち家を検討を始めました。
マイホーム購入を検討されている方の参考になれば幸いです。

リニュアル仲介、渡辺でした。

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