中古マンション購入時には、固定資産税をはじめとする諸費用の精算が必要となります。例えば5月末の購入予定の場合、具体的な精算方法と注意点について詳しく解説いたします。
■把握したい固定資産税・都市計画税の精算について
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に対してその年度分が課税されます。年の途中で売買が行われる場合、売主が年度分を一括納付済みであることが多いため、引渡し日を基準として日割り精算を行います。
1.固定資産税・都市計画税の精算の起算日
一般的に以下の2つの方法があります。5月末の購入の場合、1月1日起算なら約5ヶ月分、4月1日起算なら約2ヶ月分を売主に支払うことになります。どちらの方式を採用するかは地域の慣習や契約内容によって決定されます。
・1月1日起算:関東地方でよく用いられる方法
・4月1日起算:関西地方でよく用いられる方法
2.固定資産税・都市計画税の計算例(1月1日起算の場合)
年間固定資産税が120,000円、5月31日引渡しの場合
・売主負担期間:1月1日〜5月30日(149日)
・買主負担期間:5月31日〜12月31日(216日)
・買主精算額:120,000円 × 216日 ÷ 365日 ≒ 71,013円
■把握しておきたいマンション管理費・修繕積立金の精算について
管理費は通常、毎月前払いで徴収されます。売主が引渡し月の管理費を既に支払っている場合、引渡し日から月末までの日割り分を買主が売主に支払います。修繕積立金も管理費と同様に前払いが一般的です。ただし、積立金残高の承継については以下の点に注意が必要です。
・積立金残高は原則として新所有者に承継される
・特別な精算は通常発生しない
・近日中に大規模修繕が予定されている場合は、一時金の負担について事前確認が重要
■その他の精算項目について
1.水道光熱費
電気・ガス・水道の基本料金や使用料は、検針日を基準として精算されることが一般的です。売主が月途中まで使用した分については、日割り計算で精算します。
2.町内会費・自治会費
年会費として一括納付済みの場合は、引渡し日から年度末までの期間に応じて精算します。月払いの場合は、引渡し月から買主が負担することが多いです。
■精算時期と支払方法
1.精算のタイミング
これらの精算は通常、売買契約締結時の重要事項説明で概算額が示され、引渡し時(決済時)に正確な金額で精算されます。
2.精算金の支払方法
精算金は売買代金とは別に現金で授受されることが一般的です。精算明細書を作成し、双方で内容を確認してから支払いを行います。
3.注意すべきポイント
4.管理組合の財政状況確認
購入前に管理組合の財政状況を確認することが重要です。特に以下の点をチェックしましょう。
・修繕積立金の残高と修繕計画
・滞納者の有無
・今後の管理費・修繕積立金値上げ予定
5.特別徴収の有無
大規模修繕工事等で特別徴収が予定されている場合、その負担割合について売主と事前に協議しておく必要があります。
6.領収書・明細の保管
固定資産税の納税通知書や管理費等の明細書は、精算の根拠となる重要な書類です。売主から必ず受け取り、適切に保管してください。
■固定資産税・管理費等精算ガイドのまとめ
5月末の購入では、固定資産税については年度前半の約5ヶ月分(1月起算の場合)、管理費については5月の日割り分が主な精算対象となります。精算金額は物件や地域によって異なりますが、通常は数万円から十数万円程度となることが多いです。不明な点については、不動産仲介業者や司法書士に確認し、精算内容を十分理解してから契約を進めることをお勧めします。
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕