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戸建て住宅の外壁塗装の時期は外壁材によって変わります!

住宅の美観と資産価値を維持するために欠かせない外壁塗装。外壁材の種類によって劣化の進行が異なるため、適切な塗装時期を把握することが重要です。中古住宅の購入を検討されている方や、築年数が経過したマイホームをお持ちの方のために、外壁材別の塗装時期の目安と劣化のサインについて詳しく解説します。

■なぜ外壁塗装が必要なのか?!

外壁塗装は見た目の美しさを保つだけでなく、建物を雨風や紫外線から保護する重要な役割を果たしています。おおよそ10年に一度の塗り直しをおすすめしますとされていますが、実際には外壁材の種類や立地環境によって適切な塗装周期は変わります。適切な時期に塗装を行うことで、建物の耐久性を向上させ、長期的な維持コストを抑えることができます。一方で、塗装時期を逃すと、外壁材そのものの交換が必要になるケースもあり、費用が大幅に増加する可能性があります。

■外壁材別の塗装時期と劣化症状

(1)金属サイディングボード(塗装の目安:10~15年)

金属系サイディングは耐久性に優れた外壁材ですが、錆びやすいという特性があります。特に沿岸部では塩害の影響で劣化が早まる傾向があります。
注意すべき症状:外壁面からの赤サビの発生、表面の塗膜の剥がれ、チョーキング(白い粉状の劣化現象)、金属部分の腐食

(2)窯業系サイディングボード(塗装の目安:7~8年)

日本にある住宅外壁の約80%に使用され、現在圧倒的な人気を誇っているのが「窯業系サイディング外壁」です。デザインの豊富さと施工性の良さが特徴ですが、他の外壁材と比較して塗装周期が短いことに注意が必要です。
注意すべき症状:サイディングを繋ぐシール(コーキング剤)の剥がれ、表面の色褪せや変色、目地部分のひび割れ、表面のチョーキング現象

(3)モルタル外壁(塗装の目安:10~15年)

モルタルは職人の手作業で仕上げられるため、意匠性に優れ味わい深い仕上がりになる特徴があります。継ぎ目がないためコーキングの補修が不要な反面、ひび割れが発生しやすい性質があります。
注意すべき症状:モルタルの剥離やひび割れ、カビ・コケの発生、表面の汚れの蓄積、塗膜の膨れや剥がれ

(4)ALCボード(塗装の目安:10~15年)

ALCは高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートのことをいいます。ALCパネルは吸水性の高い素材のため、耐候性が低いデメリットがありますため、防水性を高める塗装が特に重要です。
注意すべき症状:チョーキング現象、紫外線による褪色、表面の微細なひび割れ、目地シールの劣化

(5)コンクリート壁(塗装の目安:10~15年)

RC造などで使用されるコンクリート壁は、構造体としての耐久性は高いものの、表面の保護のために定期的な塗装が必要です。
注意すべき症状:クラック(ひび割れ)の発生、鉄筋爆裂(内部鉄筋の錆による外壁の破損)、エフロレッセンス(白華現象)、表面の劣化や汚れの蓄積

(6)トタン張り(塗装の目安:7~8年)

トタン外壁は比較的安価な外壁材ですが、錆びやすく定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
注意すべき症状:トタンの反りや変形、白サビの発生、塗膜の剥がれ、穴あきや腐食

(7)羽目板張り(塗装の目安:10~15年)

木質系の外壁材である羽目板は、自然な風合いが魅力ですが、湿度や紫外線の影響を受けやすい特性があります。
注意すべき症状:木材の変色、腐食や虫害の発生、表面の毛羽立ちやささくれ、塗膜の剥がれや色褪せ

■外壁塗装に適した季節とタイミングについて

大多数の方々が3~7月の春から夏前に、外壁塗装をするための行動を起こしています。ただし、塗装工事の品質を考慮すると、湿度が低く気温が安定している春(3~5月)と秋(9~11月)が最適な時期とされています。梅雨時期や真夏、真冬は塗料の乾燥に支障をきたす可能性があるため、工期が延びるリスクがあります。また、ご家庭の生活に合った時期を選ぶことも重要です。外壁の劣化は段階的に進行します。初期段階での発見と適切な対応により、大規模な修繕を避けることができます。

■外壁塗装のまとめ

外壁塗装の適切な時期は、外壁材の種類と使用環境によって大きく変わります。劣化のサインを見逃さず、適切なタイミングで塗装を実施することで、住宅の価値を長期間維持することができます。特に中古住宅を購入される際は、前回の塗装時期と外壁材の種類を確認し、将来のメンテナンス計画を立てることが重要です。可能な範囲で、不動産の内見時に外壁を直接触らせてもらい、チョーキング現象が発生していないかの確認をおススメします。症状が現れた場合は早めに専門業者に相談し、適切な診断を受けることをお勧めします。外壁塗装は住宅の「健康診断」とも言える重要なメンテナンスです。定期的な点検と適切な時期での塗装により、快適で安全な住環境を長く維持していきましょう。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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