不動産取引ガイド

水害に遭わない土地を買うためのポイント

この世界に「絶対に安全」と言い切れる土地は存在しません。
しかし、いくつかのポイントを押さえて土地を選ぶことで、水害のリスクを大幅に軽減することは可能です。

1.ハザードマップを見る

自治体が提供するハザードマップでは、災害時の被害予測を確認できます。
自治体のホームページや情報提供サービス、不動産会社などを通じて入手できるので、必ず目を通しましょう。

確認すべきマップの例

・洪水ハザードマップ
・内水ハザードマップ
・高潮ハザードマップ
・津波ハザードマップ
・液状化マップ

これらを網羅的にチェックするのがおすすめです。

2.土地の過去を調べる

購入を検討している土地が、過去にどのような場所だったのかを知ることはとても重要です。
「今昔マップ」や「Googleマップ」、自治体の公開情報などで調査できます。

特に、池・沼・田んぼ・川・海といった“水に関わる場所”だった土地は、
水はけが悪かったり、液状化リスクが高かったりする可能性があります。
ハザードマップと合わせて確認しておくと安心です。

3.土地の高さを確認する

以下のような点をチェックしましょう

・近くの海や川の水面より高い位置にあるか
・周囲の道路より土地が高くなっているか
・隣近所より土地が高くなっているか

標高や海抜は「マピオン」などの地図情報サービスで確認できます。
土地が周囲より低い場合、水が流れ込むリスクがあります。
広い範囲と狭い範囲、どちらの視点からも高さを比較しましょう。

■水害の被害を小さくするための8つのポイント

1.床を高くする

水害で最も恐ろしいのは、建物が「浸水」してしまうことです。
以下の方法で床を高くする対策が有効です

・敷地全体を盛り土してかさ上げする
・基礎を鉄筋コンクリート造で高く設計する
・1階部分をピロティ構造にして空間を設ける

2.敷地を高い塀で囲う

敷地を鉄筋コンクリート造などの防水性の高い構造物で囲みましょう。
開口部には止水板や防水性のある門扉を設置することで、敷地内への水の侵入を防げます。

3.防水性の高い外壁材を選ぶ

浸水による被害を抑えるために、防水性に優れた外壁材を使用しましょう。
おすすめは以下のとおりです

・金属系サイディング
・タイル(深目地以外)

また、フッ素塗料など防水性の高い塗料を施すのも効果的です。

4.1階に掃き出し窓をつくらない

1階の掃き出し窓は、水の侵入リスクが高い箇所です。
ガラスは水圧に弱く、破損する恐れもあります。

とはいえ、掃き出し窓は日常生活で便利です。
止水板などで水の侵入を防ぐ方法もあるため、利便性とのバランスを見て検討しましょう。

5.電気設備を高い位置に設置する

エアコンの室外機、給湯器、外部コンセント、室内コンセントなどは、
想定される浸水レベルよりも高い位置に設置しましょう。

また、1階と2階でブレーカーを分けておくことで、1階がショートしても2階の電気を守ることができます。

6.透水性のある舗装材を使う

外構工事の際には、水を通しやすい舗装材を選びましょう。
水溜まりの改善にも役立ちます。

例:透水性のあるコンクリート、レンガ、平板など

ただし、レンガや平板はしっかりと固定しないと、
浸水時に流されて家を傷つけるリスクがあるため、施工には注意が必要です。

7.逆流防止設備を設置する

集中豪雨時には、下水管から水や汚水が逆流することがあります。
敷地内の排水管には、逆流防止弁の設置をおすすめします。
前面道路より低い土地では、特に必要な対策です。

8.圧力解放蓋を設置する

排水管が満水状態になると、トイレや浴室から汚水が噴き出すことがあります。
排水桝の蓋を「圧力解放蓋」にしておけば、内部の空気圧を外に逃がし、逆流を防ぐことができます。

終わりに

近年は、毎年のように集中豪雨による災害が各地で発生しています。
「うちは大丈夫」と思わず、できることから対策を始めることが大切です。
安心して暮らせる家づくりのために、ぜひ参考にしてみてください。

リニュアル仲介 渡辺でした。

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