不動産取引ガイド

東京23区のアパートは空き家だらけ

日本経済新聞の報道によれば、不動産調査会社が発表した2016年3月の賃貸住宅の空室率は東京23区で33.68%、神奈川県では35.54%、千葉県では34.12%、埼玉県では30.90%となりました(23区以外の都内は31.44%)。実に1/3が空室であることがわかりました。

首都圏でアパートの空室率が急速に悪化したのは2015年の夏ごろからだそうです。2015年から相続増税が始まり、その対策としてアパートの建設が進み、需給バランスが崩れたことから、空室率が急速に上昇したという構図です。

相続税を圧縮したいという所有者側の都合と、貸出を伸ばしたいという金融機関側の都合、請負件数を増やしたい業者側の意向の合致による経済合理性からかけ離れた投資は、収益を生まないだけでなく、将来の資産価値も引下げるものだという認識も必要ではないかと思います。

不動産の価値は「立地」です。人口減・家余り時代で高齢化が問題を複雑化させています。今起きているのは壮大な「ババ抜き合戦」です。収益性の悪い立地は「ババ」です。幸いにもまだ日本には「ババ」を引いてくれるだけの人口の余力があります。今考えなければならないのは相続問題を言い訳に問題を先送りすることではなく、所有する不動産を客観的に評価し、適切な判断を行うことです。

今問題が顕在化しているのは賃貸市場、つまりある程度資産を持っている方なのですが、相続増税が問題の引き金だとすると、遅かれ早かれ居住している不動産も問題になります。この記事を読んでいる方の多くは子供世代(50代未満)だと思いますが、ご実家のことが問題になるのです。
皆さんのご実家は、介護や相続でご実家の資金化が求められたときに、借り手や買い手がすぐに見つかる「立地」でしょうか。ご自身の家探しも重要ですが、ご両親の今後の居住環境を考えることもまた重要だと思います。

リニュアル仲介の稲瀬でした。

———————————————–

「資産となる不動産を真剣に考えるセミナー」

・マーケットを知る
・資産性とは何か
・リスクを考える
・減税・補助金
・私達ができること

↓ 詳細はコチラ ↓
http://www.rchukai.jp/semi/

———————————————–

売主の瑕疵(かし)担保責任の範囲と「瑕疵保険」の対象範囲の差≪中古住宅の保証 その1≫前のページ

シェアビジネスの中に見る不動産の『所有』と『シェア』の違いについて?!次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 立地適正化計画をご存知ですか?
  4. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    人口動態及び世帯数レポート(2)人口が増えている街で行われていること

    引き続き総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数…

  2. 不動産取引ガイド

    スルガ銀行のシェアハウス問題から学ぶ住宅ローンの考え方

    スルガ銀行のシェアハウス問題を巡る投資トラブルが長期化しつつあります。…

  3. 不動産取引ガイド

    立地適正化計画 浸水想定域に住宅誘導?!立地適正化計画 浸水想定域に住宅誘導?!

    2018年9月2日の日本経済新聞の朝刊に『浸水想定域に住宅誘導 まち集…

  4. 不動産取引ガイド

    窓を工夫して、光と風を取り入れる

    採光の大切さやポイント,役割を調べました。日差しが入るということは…

  5. 不動産取引ガイド

    土地所有者の特定が円滑になる!?

    昨今話題になっている、空地・空き家問題を解消するための方策として、「地…

  6. 不動産取引ガイド

    タワーマンションの「2つの老い」を巡る課題について

    建物の老朽化と住民の高齢化という「2つの老い」がタワーマンションに忍び…

  1. 不動産取引ガイド

    マンションも防犯対策が必要な時代!オートロックへの過信は禁物!
  2. 不動産取引ガイド

    二世帯住宅は建て方で、節税も出来る??
  3. 不動産取引ガイド

    不動産購入の際に注意すべき担保評価の落とし穴
  4. 不動産取引ガイド

    マンション区分所有者が「所在不明」?!不動産購入前には要チェック!
  5. 不動産取引ガイド

    売る時に資産価値が下がりやすい物件とは(大規模すぎるマンション)
PAGE TOP