リニュアル仲介通信

平成27年5月 修繕積立金の目安

資産価値が下がりにくい住宅購入において、戸建てに比べ流動性の高いとされるマンションは有力な選択肢になります。マンションは共有物の区分所有になるので、建物全体の維持管理を無視できません。良い立地でも管理が杜撰では資産価値が維持されないからです。今回は国土交通省が提示するガイドラインから修繕積立金の目安の計算方法をご紹介します。

修繕積立金は安ければ良いというものではありません
マンションを検討する上で気になるのが「管理費」と「修繕積立金」。毎月の支払いとなる.ので負担は少ない方が良いと思いがちですが、「修繕積立金」は少なければ良いというものではありません。
新築時の販売会社の思惑もあり、当初の修繕積立金を安く設定しておき、時期を見て段階的に引き上げる「段階増額積立方式」が採られる場合が多いです。悪質なケースだと長期修繕計画の期間を短く設定することで修繕コストを安く見せかけているマンションもあります。マンションを検討する際は今の修繕積立金ではなく、将来的にどれくらいの修繕積立金が必要になるのかを予測しなけれなりません。
国土交通省がマンションの修繕積立金に関するガイドラインを提示しています。目安となる修繕積立金は下表の通り。今検討しているマンションの修繕積立金がこの目安から著しく低い場合は、将来的な引き上げが必要になると予測するのが現実的です。

 

2015.5月01

2015.5月02

 

2015.05月03
住人の高齢化に伴い管理不全リスクが顕在化する

ある地方都市の話です。たった1万円で売りに出されている中古マンションがあります。すでにマンションの管理は崩壊し、共用部は荒れ果て、エレベーターさえも動いていません。生活がままならなくなりほとんど空き家です。さらに購入すると前住人が滞納した管理費・修繕積立金の支払いが必要となるため1万円でも誰も買い手がつきません。このマンションはバブル期に建てられたリゾートマンションです。人が集まらなくなった街に建つマンションはスラム化が余儀なくされます。
日本は極端な少子高齢社会を迎えます。「段階増額積立方式」と言ってもない袖は振れません。マンション住人の高齢化に伴い管理費・修繕積立金の滞納問題が顕在化します。

2015.5月04

 

 

平成25年度マンション総合調査(国土交通省)によると、世帯主の年齢が60歳以上を超える割合が50%を超え、高齢化が着実に進んでいることが伺えます。また、管理費の滞納問題が発生しているマンションは37%にも及びます。リゾートマンションの事例は対岸の火事ではありません。
また、不動産は要らなくなったからといっても引き受け手がいなければ棄てることもできません。スラム化して生活ができなくなったマンションでも、管理費・修繕積立金・固定資産税は払い続けなければなりません。この状況を「ババ抜き」と表現されます。最後まで持っていたら負け、気がつけばプレーヤー(買い手)が誰もいないという状況です。

 

「将来的にも人が集まりやすい立地選び」が重要

中古マンションを検討する場合、将来的に人が集まる立地選びこそがマンション選びで最も重要なことです。人が集まらない立地のマンションは、まさに”ババ抜きのババ”です。流動性が高いのがマンションのメリットのはずなのに、人が集まらないということは流動しないマンションとなります。これでは資産価値がゼロどころか管理不全でマイナスになる恐れもあります。人口減少に起因するこの問題は、地方に限った話ではなく首都圏でも起こりうるのです。
リニュアル仲介では資産価値が下がりにくい住宅購入のために、将来的な管理リスクなどのマイナス情報を含め徹底した情報開示を行います。お気軽にご相談ください。


 

PDFファイルダウンロード

 


『中古住宅購入の秘訣? 早めに見に行っておこう!ショールーム』前のページ

建物インスペクションで性能を確認劣化・構造ともに問題のない好物件と出会えました次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 住宅購入と 生涯の資金計画
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 土地価格の相場を知る方法
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. リニュアル仲介通信

    団体信用生命保険と収入保障保険

    住宅ローンを組む際に死亡・高度障害状態などの万が一の事態が起こった場合…

  2. リニュアル仲介通信

    SelFin戸建て版を リリースしました

    マンション版で好評いただいているSelFinの戸建て版をリリースしまし…

  3. リニュアル仲介通信

    建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?

    改修費用の把握が安全な中古取引の鍵です中古住宅を安心して購入するた…

  4. リニュアル仲介通信

    平成26年12月 過去の取引事例から不動産の「価値」を見定めましょう。

    住宅購入を検討する際に気になるのが物件の相場観。何も知らずに物件探しを…

  5. リニュアル仲介通信

    将来に渡って 人が集まり続ける街選び

    日本はこれから人口減少時代を迎えるとともに、先進国でも類を見ない極端な…

  6. リニュアル仲介通信

    不動産購入の豆知識手付金のアレコレ

    不動産購入の売買契約を結ぶ際に、買主は売主に対して「手付金」というもの…

  1. お金・ローン・税金

    非正規雇用契約労働者のローン申込みについて…
  2. 不動産取引ガイド

    家探しがますます便利になります!大手不動産情報サイトが中古住宅の性能・品質に関す…
  3. 不動産取引ガイド

    自然災害に強い路線とは…?!
  4. 不動産取引ガイド

    ヴィンテージ住宅の条件
  5. 不動産取引ガイド

    公簿売買と実測売買の違い
PAGE TOP