不動産取引ガイド

問題です!!~連帯債務について~

【問題】

A・B・Cはお金を1人400万円ずつ負担して、Kから伊豆の別荘を買うことにしました。契約では、売主は買主のうち誰に対しても全額請求できるという特約がついていました。債権者Kは、誰に対していくら請求できるでしょうか?

契約書は隅から隅まで理解するのは大変ですが、知らないで契約してしまうともっと大変なことになってしまう場合もあります。

上記の場合は、何も特約がなければKはAに全額支払えとは言えず、A・B・C各自に400万円ずつ請求するのが原則となります。

上記の問題は要するに連帯債務にしますという特約が付いている事になります。

連帯債務にするという特約があれば、KはA・B・Cの1人に対し、同時もしくは順次に全員に対して1,200万円の全部または一部の支払を求めることが可能となります。

また、誰か1人が1,200万円支払った場合には、3人全てがKに対してお金を支払う義務がなくなります。

もちろん全員に1,200万円の支払いを求めたとしても、Kが受け取ることができる金額は1,200万円とはなりますが、支払を求める側としては3人の中の誰かに支払ってもらえれば良いので、よりお金の回収がスムーズに出来るようになるという利点があります。

通常の住宅ローンを組む場合は複雑な特約をつける事はないと思います。

ですが、ペアローンなのか、連帯債務なのか、連帯保証なのか、それぞれのご家庭の事情で契約内容は異なってくるので、ご自身がどういう契約をされたのかは把握しておく必要があります。

【問題】

Kが息子のAとその友人B・Cに伊豆の別荘を売却し、代金1,200万円については連帯債務としました。代金支払い前にKが死亡し、Aは単独で当該別荘を相続しました。この場合、B・Cは債務を負う事になるのでしょうか?

連帯債務の場合の相続編です。

こうなるとAは相続により連帯債務者の1人でありながら債権者という立場に立つことになります。そのためAの負っている債務は消滅し、他の連帯債務者B・Cもこの債務について免れることとなります

もちろんAはB・Cに対してそれぞれの負担分は請求することは可能ですが、Kとの契約においては民法では免れたとこになります。

上記のようなケースではなくとも相続というのが今後発生してくる事もあるかと思います。

不動産は、購入時だけが不動産を取得するわけではなく、相続という形でもご自身が将来考えなくてはならない資産となってくるかと思います。

相続するその時に考えるのではなく、今想定できることは事前にお調べしておく事をお勧めします。

リニュアル仲介、前田でした。

公簿売買と実測売買の違い前のページ

地震保険の仕組み次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 住宅購入と 生涯の資金計画
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    土地・建物には細かな制限があります。

    一見なにげなく建っている家にはさまざまな制限の中,建てられています。…

  2. 不動産取引ガイド

    東京の地下鉄は網目模様

    先日テレビで東京の地下鉄を各路線別に透明のチューブで再現して、その…

  3. 不動産取引ガイド

    修繕はどのくらいで行うのが良いのでしょうか?

    以前に戸建ての修繕の目安をお伝えした事がありますが、今回はマンションに…

  4. 不動産取引ガイド

    東京都 旧耐震建築建替え促進!市場への影響は?

    先日の日経新聞一面に、東京都が分譲マンションの建て替えを促進するために…

  5. 不動産取引ガイド

    土地を捨てる方法とは

    メディアでも話題になっている全国の空き地問題について、新たに「相続等に…

  6. 不動産取引ガイド

    空き家率ランキング・空き家数ランキングを予測してみて下さい!意外な結果が・・・

    ■総務省の住宅・土地統計調査のデータで空き家率をランキングすると・・・…

  1. 不動産取引ガイド

    二回目のマイホームを購入を考える時期
  2. 不動産取引ガイド

    限られた予算でも理想の住まいを! 妥協せず購入するポイントと戦略
  3. 不動産取引ガイド

    日本の将来に影響を及ぼす老朽化するインフラ 不動産購入前に把握をしておいて欲しい…
  4. 不動産取引ガイド

    不動産購入前に注意したい!水没危険地域の実態!
  5. リニュアル仲介通信

    性能を維持・保全しやすい住宅の工法とは?
PAGE TOP