近年、日本全国で空き家問題が深刻化する中、相続や転居などの理由で空き家を所有し、その売却を検討される方が増えています。
しかし、空き家の売却は一般的な居住中の不動産売却とは異なる特有の注意点があり、事前の準備と正しい知識がなければ、思わぬトラブルや損失を招く可能性があります。
本解説記事では、空き家売却をスムーズに、そして後悔なく進めるための重要なポイントを詳しく解説します。
■売却前の準備が成功の鍵となる?!
空き家売却を始める前に、いくつかの重要な確認事項と手続きを済ませておく必要があります。
まず最も重要なのが『名義変更』です。特に相続した空き家の場合、所有者が亡くなっている状態では売却できませんので、相続登記を行い、名義を売主本人のものにする必要があります。
2023年4月からは相続した不動産の名義変更が義務化されており、これを怠ると過料が科される可能性もありますので、早めの対応が求められます。
また、共有名義の場合も、売却には全員の同意が必要となるため、事前に関係者間で協議しておくことが重要です。
次に、土地の境界の確認も欠かせません。
特に古い物件では境界があいまいなケースが多く、隣地所有者とのトラブルの原因となります。
必要に応じて測量を行い、境界を明確にしておくことで、売却後のトラブルを防ぐことができます。
さらに、住宅ローンが残っている場合や、過去に完済していても抵当権が登記上残っている場合は、抵当権抹消登記が必要です。
抵当権が付いたままでは買主が安心して購入できませんので、金融機関と連絡を取り、必要な手続きを進めましょう。
その他、登記簿謄本、固定資産税納税通知書、建築確認済証、地積測量図など、売却に必要な書類をあらかれば集めておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
■リフォームや解体は慎重な判断が求められる!
空き家を売却する際、「きれいにリフォームすれば高く売れるのではないか」「古い建物は解体して更地にした方が売れやすいのではないか」と考える方も多いでしょう。
しかし、これらの判断には慎重さが求められます。自己判断でリフォームや解体を行ったからといって、必ず売れる保証はありません。
それどころか、投資した費用を回収できず、結果的に赤字になる可能性もあります。
特に注意が必要なのが、建物を解体して更地にするケースです。
建物が建っている土地には住宅用地の特例が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されていますが、更地にするとこの特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることがあります。
売却までに時間がかかる場合、この税負担は大きな出費となります。
リフォームや解体を検討する際は、必ず不動産会社や買取業者に相談し、費用対効果を総合的に判断しましょう。
老朽化が著しい空き家の場合は、そのままの状態で買取業者に売却するという選択肢も有効です。
買取業者であれば、リフォームや解体の必要なく、現状のまま買い取ってもらえることが多いため、手間と費用を大幅に削減できます。
■売却にかかる費用と税金について理解する!
空き家売却には様々な費用がかかります。まず、不動産会社に売却を依頼する場合、物件の売却価格に応じて仲介手数料が発生します。
一般的には「(物件価格×3%+6万円)+消費税」で計算されることが多く、例えば2000万円で売却した場合、約72万円の手数料がかかります。
また、売買契約書には印紙税がかかります。
売却価格によって税額は異なりますが、一般的な空き家売却では1万円から3万円程度が目安となります。
WEB契約の場合は、印紙税が掛かりません。
さらに、所有権移転登記や抵当権抹消登記などの登記費用も必要です。
司法書士に依頼する場合は、その報酬も別途発生します。
税金面では、売却益が出た場合に譲渡所得税が課税されます。
ただし、相続した空き家の場合、一定の要件を満たせば3000万円の特別控除が適用され、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
この特例を利用するには、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要がありますので、期限を意識して計画的に進めることが重要です。
また、相続税を納付した場合は、その一部を売却時の取得費に加算できる特例もありますので、税理士に相談することをお勧めします。
■売却後の責任も忘れずに
空き家を売却した後も、売主としての責任が残る場合があります。それが契約不適合責任です。
これは、売却した空き家に契約内容と異なる不具合や問題が見つかった場合、売主が修繕費用などを負担する責任のことです。
例えば、雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが後から発覚した場合、買主から損害賠償を請求される可能性があります。
このようなトラブルを避けるためには、売買契約書の内容をよく確認し、建物の状態を事前に調べておくことが重要です。
インスペクション(建物状況調査)を実施して、建物の状態を明確にしておくことも有効です。
勿論、個人の売主の場合、特約で免責とするケースが多いです。
なお、不動産買取業者に売却する場合は、この契約不適合責任が免責されることが多いため、不安がある場合は買取という選択肢も検討する価値があります。
■計画的なスケジュールと適切な業者選び
空き家の売却は、通常の不動産売却とは異なる点が多いため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
相続登記や境界確認、必要書類の準備など、事前に時間がかかる手続きも多いため、少なくとも半年から1年程度の期間を見込んでおくと安心です。
また、適正な売却価格を知るためにも、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討しましょう。
会社によって査定額が大きく異なることもありますので、一社だけで判断せず、複数の意見を聞くことが重要です。
その際、査定額だけでなく、空き家売却の実績や対応の丁寧さなども考慮に入れ、経験豊富で信頼できる不動産会社を見つけることが、成功の鍵となります。
空き家売却は複雑な手続きが多く、専門知識も必要となりますが、適切な準備と信頼できるパートナーを得ることで、スムーズに進めることができます。
本記事内で紹介したポイントを参考に、後悔のない売却をご検討いただければ幸いです。
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕












