不動産取引ガイド

マンションに豪華な共用施設は必要なのか?

新築マンションの新聞折り込みなどに「豪華な共用施設でお客様をお出迎え」というようなフレーズを良く見かけます。また、ホテル並みのロビーやゲストルーム、シアタールーム、噴水や、プールなどといった、リゾートマンションをイメージさせるような写真がちりばめられていたりします。

では、なぜ販売業者側はそんなものを作ってマンションの売りにするのでしょうか?

答えは簡単で、共用施設を作ることによりコスト全体は上がりますが、その分を補って余りあるほどマンションが高く売れるケースが多いからです。

あるいは、平凡な住戸配置と「田の字型」の間取りのままでは売りづらいため、派手な共用施設で差別化を図ろうとしているケースもあります。つまり、こうした豪華な共用施設を利用し、お客様の興味と購買意欲を掻き立てるわけですね。まさに「客寄せパンダ」というわけです。

こういった共用施設の中でもいずれ使われなくなりやすい共用施設は、AVルーム、キッズルームです。

AVルームはプロジェクター、ブルーレイ、DVDプレーヤー、オーディオ機器、スピーカーなど機材だけで数百万円かかり、さらに工事費を入れれば1000万円をこえると言われています。中古マンションの案内の際に見に行っても、AVルームはほとんど使われていないマンションが多いです。

キッズルームも新築当初は子育て世代の所有者が多いので、当初はよく使われますが、10年もすれば、ほとんど使われなくなるケースが多いと言います。一番の理由は子供達が大きくなっていくから当然利用者も減ってくるということです。

その他、エントランス周りの「噴水」や「滝」も注意が必要です。見かけは豪華ですが、水垢などが溜まりやすく、当然定期的な清掃が必要になります。水道代やポンプの電気代、定期清掃などのコストがずっとかかり続けます。

「プール」、「ジャグジー」等も維持管理費などのコストがかなりかかるため、居住者にとってのメリットが見合わないとなりがちです。

大規模マンションでよく見かけるショップやコンシェルジュサービスは通常、施設の維持管理費だけでなく、サービス提供するスタッフの人件費も当然管理組合が負担しているわけです。コンビニと違って、品揃えやサービスのメニューも中途半端であることが多いため、わざわざ人件費などのコストを負担してまで営業していく必要があるのかが問題になるケースもあるようです。マンションのすぐ近くにコンビニなどがある環境であれば、もはやショップは不要なところが多いといえそうです。

そう考えていくと、分譲マンションの共用施設で最低限必要なものは、管理組合の役員が打合せしたりする集会室、自宅にまで招き入れたくない方との打合せができるロビーの応接コーナーぐらいといえそうです。

マンションにホテルのフロント並みの高級感あふれるロビーがあると、確かに格好いいですよね。人としては、知人や友人を呼びたくなります。

共用施設があるからこそ、同マンション内の住民とコミュニケーションが図れる機会があったりします。ですから全ての共用施設が無駄であるという事ではありません。

ただ、私たちが実際に生活をしていく上では、豪華な共用施設は宝の持ち腐れになる可能性が高い場合もあるので、物件を見にいった際には共用施設の利用頻度を確認してみたり、自分の家族に本当に必要かどうかを今一度考える必要があります。

少なくとも共用施設が豪華だからこのマンションに決めるというようなことがないよう、皆様お気を付けください。

以上、バイヤーズエージェント中田でした。

離婚による財産分与と不動産の話前のページ

インスペクションの誤った見方次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入は不安でいっぱい
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 土地価格の相場を知る方法
  4. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. お金・ローン・税金

    家を買う時に必要な費用と税金

    マイホームを購入する時には購入価格のほかにさまざまな費用がかかります。…

  2. 不動産取引ガイド

    登記を信じてはいけない!? 登記の公信力とは

    不動産取引を行うと、代金の支払いや鍵の引渡しと同日に「登記」の手続きを…

  3. お金・ローン・税金

    【フラット35】2018年は7月8月が一番金利が低かった

    リニュアル仲介ではフラット35の取次業務を行っています。その関係から、…

  4. 不動産取引ガイド

    素人DIYでやるべきではないことTOP3

    インターネットで調べれば簡単に情報を得ることができるようになったので、…

  5. 不動産取引ガイド

    公簿売買と実測売買の違い

    土地の売買における売買対象面積は、売買代金を決定する上で、重要な意味を…

  6. 不動産取引ガイド

    地域の生活コスト「見える化」システム

    経済産業省が3月31日にリリースしたシステムです。...http:…

  1. 不動産取引ガイド

    ビルトインガレージとは!
  2. 不動産取引ガイド

    木造でビルが建つ!?
  3. 戸建

    エアコンで家の耐震性能が低下!?
  4. 不動産取引ガイド

    不動産を「差押え」られてしまったら?
  5. 不動産取引ガイド

    不動産総合データベース 横浜市で試行運用開始
PAGE TOP