悪質リフォーム会社に関する報道を久しぶりに見かけたので記事にしました。
こういった報道は定期的に表に出てくるのですが、たまたまSNSで悪質リフォーム会社を見分ける方法みたいな投稿があったので、こういったトラブルを未然に防ぐ方法についてご説明いたします。
■第3者に絡んでもらうのが安心です
今回の記事はこれから家を買う方を想定します。(既に住んでいる家のリフォームや売却時のリフォームは少し判断が異なります)
これから住宅購入を行う人には、ほとんどの場合で、不動産仲介会社が関与しています。ですので、取引に携わる不動産会社も巻き込んでリフォームの進め方がおかしくないかチェックしてもらうのが最も簡単な対策です。
ニュースなどで出てくる典型的な悪質リフォーム会社は、見積りがいい加減だったり、きちんとした契約書を用意しなかったり、しつこく営業したり、わかりやすい「いい加減さ」が見られます。
リフォーム会社と消費者で1対1の関係だと、どのような手続きが一般的なのか判断しにくいかもしれないので、第3者の関与があると安心です。
ニュースで出るような事例はほとんど犯罪なので、そこまで極端なトラブルは稀だと思いますが、完成したものがイメージと異なると言ったようなトラブルが良く発生すると言われているのがリフォーム業界です。
違法行為は行っていないし、他の消費者とは大きなトラブルのないリフォーム会社だとしても、自分が頼んだリフォームでそのようなトラブルが発生しないという保証はありません。地震で絶対に倒壊しないと約束された建物が日本に存在しないように、絶対にクレームトラブルが発生しないリフォーム会社もまた存在しません。
リフォームトラブルの多くは依頼者と事業者とのコミュニケーション不全が原因と言われます。消費者と事業者では基礎となる情報量に差があるので、事業者が気をつかわないとトラブルが発生するのは容易に想像できます。
第3者の関与があるという認識だけで、リフォーム事業者に緊張感を持って対応してもらえますし、「ここは確認しておいた方がいいですよ」など自分では気が付かなかった点についてアドバイスがもらえることも期待できます。
打ち合わせに同席してもらえると安心ですが、そこまで仲介会社に求めるのも本筋ではありませんので、まずはリフォームの進捗状況を仲介会社の担当者と共有する程度で打ち合わせを進めるのがお勧めです。
■完全なる第3者を求めるのは容易ではありません
仲介会社とリフォーム会社が全く関係のない企業であれば、完全なる第3者として期待できますが、例えば仲介会社とリフォーム会社が他の案件で仕事をしたことがある仲であったり、グループ会社とまではいかなくてもお互いに顧客を紹介し合うような関係だと第3者とは言えなくなります。
むしろ仲介会社とリフォーム会社が共謀して説得にかかることも考えられるので、そんな状況になるくらいならいない方がましと言えるでしょう。
仲介会社がリフォーム工事を提供する場合も同じです。
こういったケースの場合、仲介会社とリフォーム会社以外で、第3者に関与してもらうのは簡単ではありません。
そこでお勧めなのが国の制度を利用することです。
瑕疵保険という制度があります。(不動産売買時の瑕疵保険とリフォーム時の瑕疵保険もあります)
本来瑕疵保険は、保険法人が定めた基準をクリアする住宅もしくはリフォーム工事に対して保証が付くもので、制度の仕組みから保険法人が必ず関与します。
例えば中古住宅購入時に利用できる既存住宅売買瑕疵保険では、単純に建築士がインスペクションを行うだけではなく、瑕疵保険法人もその検査内容をチェックする仕組みです。
瑕疵保険の手続きで一定のチェック機能が期待できるので、例に挙げたような完全なる第3者が期待できない場合には、瑕疵保険を利用するのがお勧めです。
■建設業許可ではなく建築士事務所登録を確認しましょう
先日SNSで悪質リフォーム会社が見分ける方法として、建設業許可を確認するというのが紹介されていました。
建設業許可がない事業者に比べれば許可があった方がマシという程度で、建設業許可のある事業者が悪質リフォーム会社ではないという保証はありません。
こういった観点でお勧めなのが建築士事務所登録です。
実は一般の方が思うよりも建築士が在籍していないリフォーム会社・工務店が多いのが実情です。
テーマが異なるので詳細は割愛しますが、建築士事務所として登録すると、建築士を抱えるコストが増えるだけでなく、建築士事務所としての責任も発生するので、建築士事務所登録のあるリフォーム会社は、登録のない会社に比べてしっかりしていると判断できるくらいの安心感があります。(もちろん建築士事務所登録のあるリフォーム会社がトラブルを起こさない保証はありません)
今回の記事のテーマは「中古住宅購入時のリフォームは建築士事務所登録のあるリフォーム会社へ任せましょう」ですが、これには理由があって、先ほどご紹介した既存住宅売買瑕疵保険もそうですが、国が中古住宅取得支援として用意した各種制度を利用する条件として、建物の性能を調査したり、現行の耐震基準を満たしていることを証明しなければならないものが多いため、制度を利用したいから慌てて建築士事務所を探すのではなく、最初から建築士事務所登録のあるリフォーム会社を選択すれば、トラブル防止策としても有効なので、非常にお勧めです。
反対に建築士事務所登録のないリフォーム会社で打ち合わせを進めてしまうと、いざ制度を利用したいとなった時に、そのリフォーム会社が要件を満たさないために制度が利用できないという事態も考えられます。
別の記事でもご説明いたしましたが、中古住宅は、状態の良いものを見つけてラッキーではなく、中古だから何かしら不具合があることを前提に、悪いところを見つけて購入時のリフォームと合わせて修繕するというのがあるべき考え方になります。
ここで言う悪いところを見つけるのが建築士の役割になりますので、そういった意味でも中古住宅購入時にリフォームも合わせて検討したい場合は、まずは建築士事務所登録のあるリフォーム会社を見つけることから始めるのが良いと思います。