不動産取引ガイド

親の農地があるから土地代は不要?

家を建てる際には、当然ながら建築するための敷地が必要です。
通常は不動産業者から土地を購入しますが、親が農地を所有している場合、「その土地を使えば土地代がかからないのでは?」と考える方も多いと思います。
実際、私の家にも「将来子どもが住めるように」と農地があります。

しかし、「農地に建てれば安く家が建つ」というほど単純ではありません。
私自身も建て替えの際、道路幅を広げるだけでも都市計画法の開発許可申請や農地転用許可申請、農振除外など、さまざまな手続きを経てようやく農地転用ができました。

■農地に家は建てられる?

土地には、建てられる土地と建てられない土地があり、「地目」という分類が関係します。

■地目とは

土地には23種類の地目があり、登記簿に記載されています。
主なものは以下の通りです。

宅地・田・畑・山林・原野・雑種地・墓地・公園・学校用地・鉄道用地…など23種類。

この中で 住宅が建てられるのは「宅地」だけ です。
山林・原野・雑種地・農地(田・畑)などは、手続きを行えば宅地に変更できますが、とくに農地は簡単には転用できません。

■農地転用とは?

農地転用とは、農地(田・畑)を宅地など別の用途に変更することです。
しかし農地は、自由に宅地へ変更できるわけではなく、農地法という法律で厳しく管理されています。

■農地法とは

農地法は、農地の転用や売買の制限を設け、農業の継続・食料供給を守るための法律です。
そのため農地を宅地にする場合には、農業委員会や都道府県知事の許可が必要です。

親から農地を譲り受けて家を建てたい場合でも、
・許可が下りない
・規制区域に該当して建築が難しい
というケースもあります。

■住宅建築に関わる農地法「4条」と「5条」

●農地法第4条

所有者が自分の農地を宅地にする場合の転用申請です。
例:親の農地に子どもが家を建てる、自分の農地にアパートや駐車場を作る…など。

●農地法第5条

農地を売却し、買主が宅地として利用する場合です。
例:農地を分譲地として販売するケースが代表的です。

不動産業者が分譲している土地で地目が田・畑のままの場合は、業者が許可を取得済みのことが多く、買主側の手続きは不要です。
しかし単独で農地を買う場合、農地転用・造成・上下水道引込の費用を買主が負担するケースもあります。
価格の安さだけで判断せず、条件を必ず確認しましょう。

■農地転用で気を付けるべきポイント

1. 市街化調整区域では建てられないことが多い

市街化調整区域は「建物を建てないことで環境を守る」区域で、原則建築が制限されています。

2. 農業振興地域(農振地域)も転用が難しい

農業振興地域は農業を守るための区域で、原則宅地転用は認められません。
親の土地を使う場合でも、この区域に含まれていないか必ず確認が必要です。

■農地転用でかかる主な費用

「親の農地だから土地代ゼロでラッキー!」と思われがちですが、実際には以下のような費用がかかります。

1. 分筆・農地転用申請費用

一部のみ転用する場合、測量・境界確定・申請費用として
約50万円ほどは見ておく必要があります。

2.造成工事

農地の土は建築に適さないことが多いため、
・土の入れ替え
・盛土・切土
・擁壁工事
・地盤改良
などが必要です。
規模により 数百万円単位 になることもあります。

3.上下水道の引き込み費用(本管取り出し工事)

道路を掘って配管を敷設する必要があり、距離によって数十万円〜数百万円まで変わります。
前面道路に管が無い場合は非常に高額になります。

■まとめ

農地を宅地に転用して家を建てることは可能ですが、
土地を買わなくても、転用・造成・上下水道工事などで多額の費用が発生することが多い
という点は知っておく必要があります。

私自身もハウスメーカーから「宅地として整った状態なら引き受けます」と言われ、
すべての申請を自分で行うことになりました。
手続き・時間・費用・精神的負担は想像以上に大きく、
「本当に家が建てられるのか?」と不安でいっぱいだった経験があります。

お住まいづくりを進める際は、必ず専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

リニュアル仲介 渡辺でした。

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