9月9日の読売新聞で「金融緩和「静かな出口」探る、賃上げ見極めは「年末」…日銀・植田総裁インタビュー」という記事が出ていました。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230908-OYT1T50393/
このニュースはyahooニュースにも掲載されていて(現在はyahooニュースでは見ることができません)金融緩和の出口を年末という期日を持ってコメントしたことが取り上げられて話題になっています。
物価高に賃上げが追い付いていなくてこの状況で金利まで上がったらどうなるんだ?!と少々飛躍した論調も見られるようになっています。
別の観点だと、最近世間を騒がせている某中古車販売事業者ですが、新たに業界2位の事業者による不祥事も問題になりつつあり、業界全体への不信感が顕著になっています。
こういった業界全体に影響する不祥事が発生すると槍玉に上がるのが不動産業界です。
真面目にやっている事業者の方が多いのですが、小説や漫画などで題材になるほど「行儀の良くない業界」という認識が広がっているため、「本当にこの事業者に任せて大丈夫なのか?」といたずらに不信感を募らせてしまう結果になりがちです。
一つ一つに焦点を当てていけば、リスクを正しく判断し、適切に選択できるのですが、「金利が上がるかもしれない」「物件価格が高騰している」「事業者が不安」「そもそも物件が大丈夫か不安」といったように、不安要素が複数顕在化してしまうと、検討よりも前に「今家を買うべきかどうか?」と判断から逃げてしまう選択をされる方も出てきます。
住宅購入に限ったことではないのですが、問題が顕在化している場合は、問題と正面から向き合うことで冷静な判断ができるようになります。
■不動産会社選びを行いましょう
不動産購入にまつわる不安を解消する最もわかりやすい対策が「不動産会社選び」です。実は不動産購入検討時にはポータルサイトで物件探しを行うことから物件探しを始める人が多く、不動産会社は物件の単なる窓口と認識している方が多いです。
基本的には広告などを出稿している不動産会社以外でも取引は可能です。
言い換えると不動産会社はどの物件でも取り扱いが可能とも言えます。(もちろん例外はあります)
また、不動産購入は単なるショッピングではないので、取引のプロセスで不動産会社に対応をお願いしなければならない場面がたくさん出てきます。
不動産会社は不動産取引のプロです。
また、住宅購入に関係する住宅ローンや中古住宅のインスペクション、リフォームなどの業務の窓口としての機能も求められています。
不動産購入に不安を感じるということは、その不安を払拭する材料を提供する事業者に出会えていないということになります。
冒頭に申し上げたように経済状況が不安定な時期は、様々な不安要素が顕在化します。
こういう時期だからこそ、安心安全な取引を実現するパートナー選びが最も重要と言えます。
不動産会社選びと言っても何を基準に判断すればよいかわからないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
売り出されている物件は基本的にどの不動産事業者でも取り扱いが可能なので、この事業者でなければならないという理由はあまりありません。
窓口として対応している不動産会社のスタッフの言動や、こちらの疑問に対する回答などからこの会社に任せてよいか?というのはおおよそ判断できます。
不動産会社に問い合わせをすると物件を売りつけられるという考えから不動産会社にアクセスすることをためらう人がいらっしゃいますが、これは全く逆の判断で、特に物件探しの初期段階は物件情報以外にも多くの情報が必要となるため、なるべくたくさんの不動産会社にアクセスして、ご自身が感じている不安を不動産会社に投げかけることが大切です。
そうしているうちに親身になって対応してもらえる担当者と出会うことができますので、信頼できるパートナーと一緒に物件探しを行えば良いと思います。
■お金に関する不安は様々な意見があります
金利上昇不安や物件価格高騰問題など、住宅購入にまつわるお金の不安は、答えがありません。
誰も将来のことを正確に予想することはできませんし、そもそも不動産会社は将来の不確定要素を消費者へのPRなどに利用することが禁止されています。(この物件は将来価格が上がるので買った方が良いですよ!など)
お金に関する不安を解消するには、多くの方の意見を聞くしかないと思います。
ちなみに私個人の意見としては、住宅購入判断はなるべく安全側の判断が良いと考えます。
お金に関する不安は高いものを買わされたというより、将来困った時に売れなくなったらどうしよう、という不安の方が強いと思いますので、なるべく価格が落ちにくい物件を選ぶことをお勧めします。
その物件が将来的に価格が落ちないと断定することはできないのですが、不動産の価値はほとんど立地なので、価格が落ちにくいと判断できる物件選びは可能です。
住宅購入の条件によって判断がだいぶ変わりますので、なるべく価格が落ちにくい物件購入を行いたいという意思を不動産会社に伝えることをお勧めします。
立地を優先するということは、生活の利便性や居住満足度にある程度妥協するという判断になります。
文字にすると簡単なようですが、かなり難しい判断になりますので、信頼できるパートナーとよく相談して判断することをお勧めします。
■なるべく自己責任にならないようにする
住宅購入は結局のところ自己責任です。
特に中古住宅の場合は、「中古であるから悪いところがあって当たり前」が前提の取引となるため、何かあったら困るのは自分だということで、何とも言えない不安を感じてしまいます。
住宅購入はご自身の判断によって行うものなので、責任から逃れることはできず、また、いろいろ考えても自己責任の部分が多いのですが、それでも万が一の場合に、事業者を巻き込む判断もできます。
例えばインスペクションです。建築士に依頼して建物調査を行います。
引き渡し後に何か問題があった場合、インスペクションで見落としがあった可能性について調査を行った建築士を巻き込むことができます。
既存住宅売買瑕疵保険という制度があります。
構造躯体・雨水の侵入に対して最長5年、最大1000万円の保証が付く制度なのですが、瑕疵保険の検査基準に合格しないと加入できない制度でもあります。
つまり、第3者による瑕疵保険の検査が行われること、万が一の場合でも保険で修繕費用が補える可能性があること、何より、瑕疵保険に加入した場合は、瑕疵保険の手続きを行った事業者や瑕疵保険法人も巻き込んでトラブル対処に当たることになります。
何もない状態だと購入者と不動産会社とのやり取りになりますが、万が一の時に相談できる先が増えるという点でも瑕疵保険はお勧めです。
リフォームも同様で、リフォームにも瑕疵保険があります(売買瑕疵保険とセットの商品もあります)ので、単にリフォーム会社に頼むだけでなく、第3者が関与する制度を絡めることで、万が一のトラブルにも対応しやすくなりますし、何より第3者の存在から、リフォーム会社もきちんと業務を行わなければならない立場になります。
戸建て住宅を検討する場合は耐震性も気になります。
耐震性については、国が定めた基準や診断方法が存在するので、国が定めた基準をクリアすればひと先ず安心できます。
もちろん国の基準をクリアすれば絶対に倒壊しないかと言うとそんな保証はどこにもないのですが、だからと言って耐震診断すら行わない状態で購入するよりかは遥かに安全側の判断と言えます。
住宅ローンについても、政府系金融機関である住宅金融支援機構のフラット35は、万が一返済に困った場合の相談窓口や、手続き方法を公開しています。
民間金融機関が全く支援しないという訳ではないのですが、住宅金融支援機構のように公開されているわけではありません。
フラット35は借り入れ時の金利が最後まで続く、毎月の返済額が変わらない安心が特徴の住宅ローンですが、万が一の場合の対策でも、他の金融機関よりも安心な住宅ローンと言えるでしょう。
このように住宅購入にまつわる各種支援制度を絡めることで万が一に備えることができます。
判断材料がないと結局高いか安いかでしか判断できなくなりますが、住宅購入にまつわる不安を不動産会社にぶつけることで、こういった制度の情報も得ることができますので、物件探しの前に信頼できる不動産会社探しを行うことをお勧めいたします。