今回から数回に分けて改正宅建業法における建物状況調査についてご説明したいと思います。
まず初めに、多くの方が誤認しているのですが、
“インスペクション(建物状況調査)の実施が義務化された訳ではありません!”
不動産事業者から消費者に対する情報提供が義務となっただけで、実施は任意です。
<義務化されたこと>
・媒介契約時にインスペクション(建物状況調査)のあっせんの有無を表示する。
・インスペクション(建物状況調査)の結果報告書が発行されている場合は、重要事項説明時に内容について買主へ説明する。
・買主、売主双方が確認した劣化事象などを売買契約書に記載する。
改正宅建業法におけるインスペクション(建物状況調査)については、その宅建業者が売主側なのか、買主側なのかで判断が大きく変わります。
弊社はバイヤーズエージェントを標榜しておりますので、買主側の視点でご説明します。
制度の流れを見ると、
媒介契約
↓
必要に応じてインスペクション(建物状況調査)実施
↓
重要事項説明で報告書の説明
↓
売買契約書に記載
と上手く流れるように見えるのですが、そもそも買主側の仲介の場合、媒介契約を締結するタイミングが曖昧で、多くの事業者が不動産売買契約時にもらうことが一般的になっています。
つまり上記の流れを同日に実施することになるので、フローが逆に流れます。
売買契約書に記載しなければならない
(インスペクション(建物状況調査)未実施の場合は、不具合がなしと記載する、とされます)
↓
重要事項説明で報告書がないと記載されている
↓
媒介契約でインスペクション(建物状況調査)について説明を受ける
↓
ここで買主がインスペクション(建物状況調査)を要求すると、売買契約を締結することができなくなります。
さて、今回お伝えしたいことは、売買契約までインスペクション(建物状況調査)について情報提供されないままに取引を進めてしまうと、土壇場で契約が締結できない恐れがあるということです。
どうすればよいのか?
答えは簡単で、なるべく早くインスペクション(建物状況調査)を利用するかどうか、買主の意向を確認しておくことです。
遅くとも買付申込を行う段階で、インスペクション(建物状況調査)の意向を確認しないと、危うい取引進行となってしまいます。
なぜこのようなことを記事にしたかというと、媒介契約であっせんを「なし」にすれば、何もやらなくてよいと考えている仲介会社が多いからです。
詳細な理由は別の記事にしますが、改正宅建業法で、少なくとも「インスペクション(建物状況調査)を実施しなかったという買主の過失」も明確になる、というリスクがあります。
法的なリスクよりも、本質的には中古住宅なので、取引にあたって、第三者による検査で、建物性能について確認をするべきだと思いますし、買主にはインスペクション(建物状況調査)を実施していることのメリットが大きいので、積極的に活用したい制度です。
インスペクション(建物状況調査)について、あまり教えてくれない、やらなくてもいいですよ、なんて案内する仲介会社とは取引を進めない方が良いと思います。
リニュアル仲介の稲瀬でした。
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