不動産取引ガイド

「事故物件」価格への影響【実例】

安い物件には、それなりの理由があります。

その理由の一つに、「心理的瑕疵物件(しんりてきかし)」、いわゆる「事故物件」というのがあります。

物件広告の備考欄に「告知事項あり」と記載されていることがあります。

これが事故物件であるサインです。

最近遭遇した事故物件は、前所有者が2017年9月にお風呂場で自殺したというものでした。

価格は2,780万円、広さは約75平米。

同時期に同マンション内で売りに出ていた他の住戸が4,600万円。

4,600万円の物件の方がやや広く、方位は反対方向を向いていました。

条件を揃えるため、事故物件の平米単価を、4,600万円の物件の広さで割戻してみたところ、約3,100万円となりました。

さらに、このマンションの場合、バルコニーの方位によって眺望に差があり、これまでの取引相場にも差がでていたため、その分の補正を行うと、事故物件は3,200~3,300万円相当の値付けをしているという結果がでました。

つまり、事故物件と、そうではない物件とでは、約1,400万円程度の差がついているということになります。

これが事故の影響と言えるでしょう。

確かに安いのですが、先代が自殺となると、これくらいの差がないと、ちょっと売りづらいのではないかと思います。死亡の原因が、病死や孤独死とか、かなり年月が経過しているということであれば、心理的な影響(=価格への影響)は柔らぐと思うのですが...

なお、このような場合、マンション全体が事故物件と言われるわけではなく、

事故があった住戸や、例えば投身自殺で落下途中に接触したとか、他の住戸で刺されたあと少し移動し絶命した先の住戸、上階で死亡者が出て発見が遅れ体液がしみてしまった階下の部屋、といように、直接的に関係がある部屋を事故物件として扱うことが一般的です。

病死などで発見が数日遅れたというような場合には、一応、告知されたうえで取引されますが、事故物件と言われるほどは、価格への影響はありません。

家の価格というのは、「将来自分が売った価格-買った価格」の差で決まります。

自分が将来売却するときに事故物件であるがゆえに安くなってしまったとしても、自分が買った時もそれが理由で安かったのであれば差が小さいということになりますから、資産減少のダメージは無かったということになりますが、「万人が好む=リセールバリューが高い」という基本を考えると、やはり積極的には選ばない方がいいと思います。

以上、リニュアル仲介本部パイロット店 エージェント石川でした。

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