不動産取引ガイド

マンションの床面積の不思議~壁芯と内法と課税床面積~

マンション購入の際に、購入検討者の方から多くいただく質問のひとつが、床面積の違いについてです。

販売チラシと、不動産登記事項証明書(登記簿謄本)そして固定資産納税通知書それぞれに記載された床面積がバラバラで、どれが正しい数値かわからなくなってしまうことがあります。

なるべく広く見せたい販売チラシ

まずは、集客を目的として不動産会社が作成する販売チラシです。

こちらには、「壁芯」と呼ばれる壁の中心線で囲んだ面積が記載されることが一般的です。

実際の居住面積を記載した登記事項証明書

一方で、登記事項証明書(登記簿謄本)には、内法と言われる壁の内側で囲った面積が記載されます。

おおまかな計算ですが、壁芯と内法では、5~8%の差が生じると言われています。

宅建業者が作成する広告チラシには、この壁芯と内法のどちらで記載しても良いことになっているため、より広く見せることができる壁芯が記載されることが一般的です。

壁芯よりもさらに大きな課税床面積

マンションを購入した翌年の5、6月には、固定資産納税通知書がお手元に届きます。

この通知書に記載された課税床面積を見てさらに驚かれる方も多いのではないでしょうか。

マンションによっては、壁芯60㎡、内法55㎡だったのに、「課税床面積(=現況床面積)が80㎡」になっている、というケースもあります。

実は、固定資産納税通知書の課税床面積(=現況床面積)には、廊下やエントランスなどの共用部の面積も含まれています。

同じマンションなのに書類によって面積が異なるので、とてもわかりにくくなってしまっています。

減税の面積要件には要注意

こうした面積の違いについて、一番大きなポイントになるが、「減税適用の有無」です。

場合によっては数百万円の減税となる住宅ローン減税や、住宅取得資金贈与の特例、その他登録免許税の減税など、多くの減税適用の要件は一番小さい「登記事項証明書」の床面積となります。

ただ、不動産取得税の軽減は一番大きな現況床面積でもOKとなります。

各種減税が使えるか使えないかは、資金計画において大きな違いとなりますので、どの面積が判定に用いられるのか、慎重に判断するようにしましょう。

こうした減税適用についても、信頼できるエージェントと一緒にお住まい探しを進めていただければと思います。

「大規模」か「小規模」か?それも選択ポイントの一つ前のページ

相続不動産(空き家含む)は早く売却した方が良い!何故なら・・・。次のページ

ピックアップ記事

  1. 危険な場所は 地形図で見分ける
  2. 住宅購入と 生涯の資金計画
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  5. 土地価格の相場を知る方法

関連記事

  1. お金・ローン・税金

    住宅ローンを組まれている方は必見。借り換えしない理由がない!!

    民間住宅ローンから融資を受けている方で、2015年11月から2016年…

  2. 不動産取引ガイド

    インスペクションに関するボタンの掛け違い その1

    改正宅建業法による既存住宅状況調査がスタートして半年以上経過します。…

  3. 不動産取引ガイド

    不動産ポータルサイトが利用しやすくなるか?

    不動産情報サイト「アットホーム」を運営するアットホーム株式会社は、AI…

  4. 不動産取引ガイド

    コロナ禍で広がった『移住』 場所選びを間違えると大変です!

    ■公共施設の集約・削減は口減・家余り時代の警鐘?!公民館や町営住宅…

  5. 不動産取引ガイド

    借地にも実は2種類ある!?

    不動産の販売チラシに「地代」の記載がある場合がありますね。どう…

  6. 不動産取引ガイド

    もう少しリアルに人口減少問題を考えてみる

    国立社会保障・人口問題研究所 所長の森田朗氏の記事が面白かったのでご紹…

  1. 不動産取引ガイド

    熊本の地震に学ぶこと!
  2. 不動産取引ガイド

    2023年を振り返る 金利上昇リスクに翻弄された1年でした
  3. リノベーション

    創るを楽しむ家
  4. 欠陥・トラブル

    住まいを購入したら考える「配偶者居住権」という制度
  5. 不動産取引ガイド

    間取りの考え方
PAGE TOP