晩秋から初冬にかけては、海水の温度差がまだ高いため、上空に強い寒気が流れ込むと、その温度差によって積乱雲が発達し、竜巻などの激しい突風が発生することがあります。
2006年11月7日に北海道佐呂間町で発生した竜巻は、過去最大に人的被害をもたらしました。竜巻の強さを指標したのは、日本の気象学者である藤田哲也博士です。今年4月、博士の出身地である福岡県北九州市にリニューアルオープンした児童分科学館「スペースLABO(北九州市科学館)」に、国内最大の大型竜巻発生装置や、博士の功績を称える展示コーナーが設置されました。
竜巻にも指標(スケール)があるのはご存知ですか?
FスケールにはF0~F5までに段階があり、被害が大きいほどFの値が大きく、風速が大きかったことを示しております。
この指標は世界で用いられていますが、アメリカで考案されたため、日本の建築物などの被害に対応していないこと、また評定に用いられる被害の指標が9種類(自動車や住家、アンテナなど)に限られているなどの課題がありました。
このため、気象庁では、より精度の高い評定ができるように「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」を制定し、2016年4月1日より突風調査に使用しています。
JEFスケールでは、評定に用いられる被害の指標に、日本でよくみられる自動販売機や墓石などを加えたり、自動車や住家についてもそれぞれ種類別に分けたりして、その数を30種類に増やしました。
例えば、自動車は軽自動車・普通自動車・大型自動車に、住家は、木造の住宅・鉄骨系プレハブ住宅・鉄筋コンクリート造の集合住宅に分類され、より分かりやすくなりました。
JEF0~JEF5までの段階がありますが、過去統計との比較や統計値の継続性を考慮して、評価結果はFスケールとできる限り同じになるように決められています。
竜巻が発生する前兆とは…
竜巻は直径が数十メートルから数百メートルほどで、非常に速い速度で移動します。
過去に発生した竜巻の中には、秒速25メートルで移動したものもあります。短時間で狭い範囲に甚大な被害をもたらすため、竜巻から身を守るには、竜巻が発生する前兆を知ることが重要です。
次のような現象が見られたら、竜巻が発生するような発達した積乱雲が近づいている可能性があります。
・真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
・雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする
・冷たい風が吹いてくる
・大粒の雨や雹(ひょう)が降り出す
竜巻は季節や地域を問わず発生しますが、1991年から2017年までに確認した竜巻の月別発生確認数をみると、7月~11月にかけて多く発生していて、この5ヶ月で全体の約70%を占めています。
上記の現象が見られたら、天気が急変するサインです。空の状況を確認し、屋外にいる場合は頑丈な建物に避難するようにしましょう。屋内では、窓や壁から離れた部屋に避難し、頑丈な机の下に入って頭を守るなど、身を守る行動をとってください。
また、住宅に関していうと、竜巻が発生し住宅や家財に被害を受けた時の為に、火災保険(竜巻被害に対する補償)に加入する事をおすすめします。
一般的に補償対象となる事故例をご紹介しておきます。
【建物の事故例】
・台風、竜巻等による強風で屋根瓦が破損した。
・台風、竜巻等による強風で飛んできたものが家を直撃して、壁が破損した。
【家財の事故例】
・台風、竜巻により、窓ガラスが割れて、雨風が入り、電化製品が壊れてしまった。(窓を閉め忘れたことにより家財に損害が生じた場合は、補償の対象外です。)
竜巻だけでなく想定できる事項に対しての保険には可能な限り加入されておいた方が、購入後の住宅に対して安心して住む事が出来るのではないでしょうか。
火災に対しては火災保険、住宅に対しては瑕疵保険と保険はさまざまな種類があります。
加入していなかった事により事故後に後悔する事のないよう、住宅購入時には保険の加入をご検討いただけたらと思います。