不動産取引ガイド

動かせない土地だからこそ重要な「見極め方」

■道路接道を理解する

再建築不可物件を避けるための「接道義務」とは?

接道義務とは、万が一の火災や急病の際に、消防車や救急車といった緊急車両がスムーズに進入できる経路を確保するためのルールです。
これは、あなたやご家族、そして地域全体の安全を守るため、建築基準法で定められた絶対的な条件です。

・接道義務
建築物の敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないと定められています。

この条件を満たさない土地は、たとえ現在建物が建っていてリノベーションが可能であっても、火災や地震で倒壊した場合に『二度と建て替えができない「再建築不可物件」』となります。
その結果、資産価値が限りなくゼロに近づくという重大なリスクを抱えることになります。

中古戸建てを購入する際は、その土地が「建築基準法上の道路に適切に接しているか」を、不動産会社に必ず確認しましょう。

■ 地盤がしっかりしているか

新築住宅では、建築前にスウェーデン式サウンディング試験などの地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良工事を実施するのが一般的です。

一方で中古住宅の場合、土地の成り立ちを自ら確認することが重要になります。

注意したい土地の履歴

・田んぼ・沼地・河川だった土地
水分を多く含む軟弱な粘土層や腐植土が堆積している可能性が高く、地盤が弱い傾向があります。

・盛土造成地
谷や窪地を埋めて造成した土地で、締め固めが不十分な場合、地震時に崩れたり不同沈下を起こすリスクがあります。

これらは、国土地理院の過去の航空写真や、自治体の古地図などで確認できます。
また、「〇〇沼」「△△沢」「□□窪」など、地名に水や地形を表す漢字が含まれている場合も、重要なヒントとなります。

現地で確認すべき地盤リスクのサイン

・近隣の擁壁やブロック塀の亀裂・傾き
・電柱の傾きや道路のうねり
・建物の傾きや基礎のひび割れ

床にビー玉を置いて転がるか、スマートフォンの水平器アプリを使うだけでも、不同沈下の兆候を確認できます。
基礎に『幅0.5mm以上のひび割れ(ヘアークラックを除く)』がある場合は、専門家による調査が必要です。

■ 災害に強い土地を選ぶ

ハザードマップで災害リスクを確認する

ハザードマップとは、自然災害による被害軽減を目的として、被災想定区域や避難施設などを示した地図です。

国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、全国の災害リスクを重ね合わせて確認できます。
最低限、以下の項目は必ず確認しましょう。

・洪水ハザードマップ
・内水ハザードマップ
・土砂災害ハザードマップ
・地震ハザードマップ(揺れやすさ・液状化)

色が塗られているからといって、必ずしも「買ってはいけない土地」というわけではありません。
しかし、そのリスクを理解した上で、
・基礎を高くする
・水災補償を手厚くする

などの対策を講じることが重要です。

■ 崖・擁壁に隣接する土地の注意点

崖や擁壁に隣接する土地は、建築や建て替え時に大きな影響を受けます。

一般的に、高さ2mまたは3mを超え、かつ傾斜30度以上の土地は「がけ」として規制対象になります。

買ってはいけない崖

・目視で明らかに危険と判断できるもの
・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内

買ってはいけない擁壁

・高さ2m以上で、亀裂・変形・膨らみが見られるもの

擁壁が倒れていたり、はらみ出している場合は、やり替えが必要になる可能性が高く、最終判断は建築士が行います。

■ 境界線は必ず明確に

土地の境界が曖昧なまま購入すると、将来的に隣地トラブルへ発展する可能性があります。
境界が確定していない土地は、それだけで避けるべき中古住宅候補と言っても過言ではありません。

■ その他、避けた方がよい土地

・土地の形がいびつ

極端に細い土地や狭小地、道路との高低差が大きい傾斜地は、将来売却時に買い手が付きにくくなります。

・周囲より低い土地

雨水や隣地からの排水が流れ込みやすく、湿気が溜まりやすいため、建物の劣化を早める原因になります。

・抵当権が入っている土地

抵当権抹消前に代金を支払うと、トラブルに発展する可能性があります。
抵当権が確実に消えるまでは、代金を支払わないことが鉄則です。

・心理的瑕疵がある土地

いわゆる事故物件です。
告知義務はありますが、将来売却時に不利になる可能性がある点は理解しておきましょう。

■ 購入前に必ず確認したい「用途地域」

用途地域とは、その土地をどのように利用するかを定めたルールです。
住居系・商業系・工業系の3系統があり、合計13種類に分類されます。

用途地域を知らずに購入すると、「思っていた住環境と違った」という事態になりかねません。次回は『購入の際、土地の用途はどこ?― 用途地域を理解しよう ―』でご説明いたします。

まとめ

土地は動かすことができない資産です。
そのため、建物以上に慎重な判断が求められます。

十分な情報収集を行い、購入時には信頼できる専門家に必ず相談することをおすすめします。

リニュアル仲介
渡辺でした。

 

 

将来に備える“優しい住宅”の主な特徴とポイント前のページ

借地権売却の相場と実務のポイントを徹底解説!次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    和室の効果

    最近の住宅には和室が少なっていると思います。和室がないということは…

  2. 不動産取引ガイド

    中古マンション、駅徒歩何分までなら購入したいですか?

    首都圏ですとマンション購入を検討されている方も多いかと思います。購…

  3. 不動産取引ガイド

    後悔しない内装にするためには⁉

    住宅の内装は、部屋の印象を左右する大切なものです。家具やインテリア…

  4. 不動産取引ガイド

    畳にもサイズ違いがあるのはご存知ですか?

    畳にもサイズ違いがあるのはご存知ですか?同じ畳、1畳で…

  5. 不動産取引ガイド

    東京23区中古マンション価格上昇中!?

    築約10年の中古マンションが2割から3割増しで売れている!?日…

  6. お金

    「住宅ローン控除」を受けるには確定申告が必要!

    家を買って住宅ローン控除を受ける場合、また一定要件に合うリフォームをし…

  1. 不動産取引ガイド

    家の購入の時期はいつ?
  2. 不動産取引ガイド

    熊本地震が遺した教訓(その2)
  3. 不動産取引ガイド

    住宅購入と出産が重なると何かと大変です
  4. 不動産取引ガイド

    ローン特約の「融資承認取得期日」意味と注意点について
  5. 不動産取引ガイド

    土地の利用を制限する地役権
PAGE TOP