借地権の売却を検討する際、多くの方が直面する最初の疑問は「いくらで売れるのか」という事です。
借地権は通常の不動産とは異なる特殊な権利であり、その売却相場は売却先や様々な条件によって大きく変動します。
その為、本記事内では借地権売却の相場から具体的な計算方法、必要となる費用、そして高値売却のポイントまで、包括的に解説していきます。
■売却先による相場の違い
借地権の売却相場を理解する上で最も重要なのは、誰に売却するかによって価格帯が大きく異なるという点です。
主な売却先は地主と第三者の二つに分けられ、それぞれに特徴があります。
地主に売却する場合、借地人側から売却を持ちかけるケースでは、更地価格の50%程度が一般的な目安となります。
この価格水準が比較的低くなる背景には、地主に買い取り義務がないという法的な事情があります。
地主は借地人からの申し出を断ることができるため、価格交渉において借地人側が不利な立場に立たされやすいのです。
一方で、地主側から買い取りの打診があった場合は状況が異なり、更地価格の60%から70%程度での取引が期待できます。
地主が自ら土地の完全所有を望んでいる場合、より良い条件での売却が可能になるわけです。
第三者への売却では、更地価格の60%から70%程度が相場の目安となります。
ただし、この場合には地主の承諾が必須となり、譲渡承諾料として借地権価格の10%程度を地主に支払う必要があります。
この承諾料は決して小さな金額ではないため、実質的な手取り額を計算する際には必ず考慮しなければなりません。
■売却価格の算出方法について
借地権には明確な市場価格が存在しないため、客観的な基準に基づいて価格を算出する必要があります。
その基本的なプロセスは三段階で構成されています。まず第一段階として、自用地評価額を確認します。
これは土地が更地の状態であった場合の評価額であり、借地権価格算定の基礎となる重要な数値です。
第二段階では、借地権割合を確認します。
この割合は国税庁が公表している路線価図で調べることができ、その土地の権利のうち借地権が占める割合を示しています。
興味深いことに、都心部など利便性の高い地域ほどこの割合が高くなる傾向があります。
そして第三段階で、自用地評価額に借地権割合を乗じることで、借地権評価額を算出します。
この計算式はシンプルですが、実際の売却価格はこの評価額をベースとしながらも、前述した売却先の違いや個別の条件によって調整されることになります。
■売却に伴う費用負担について
借地権の売却には、通常の不動産売却とは異なる特有の費用が発生します。
これらの費用を事前に把握しておくことは、手取り額を正確に見積もる上で欠かせません。最も大きな費用負担となるのが譲渡承諾料です。
第三者への売却時に地主へ支払うこの費用は、借地権の成約価格の10%程度が相場とされています。
例えば3000万円で売却が成立した場合、300万円程度の承諾料が必要になる計算です。
建物が残っている場合で、これを解体して更地として引き渡す必要があるケースでは、解体費用も考慮しなければなりません。
木造住宅の場合、一般的に坪あたり3万円から5万円程度が目安となります。
30坪の建物であれば、90万円から150万円程度の費用が見込まれます。
さらに、売買契約書には印紙税がかかります。
これは売却価格に応じて異なる税額が定められており、例えば売却価格が1000万円超5000万円以下の場合、印紙税は1万円となります。
勿論、WEB契約を行う事で印紙税の負担を無くす事も可能です。
■高値売却を実現するための戦略
借地権をより良い条件で売却するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
何よりも重要なのが、地主との良好な関係を維持することです。借地権の売却には必ず地主の協力が必要となるため、日頃から円滑なコミュニケーションを心がけることが、スムーズな交渉につながります。地代の支払いを滞りなく行い、更新手続きも適切に済ませておくことが基本となります。地代や更新料の設定も、売却価格に影響を与える要素です。相場よりも著しく高い地代が設定されている場合、購入後の負担を懸念して買い手が見つかりにくくなります。適正な水準に設定されていることが、円滑な売却につながります。タイミングの選択も戦略的に考えるべきです。特に、借地権の更新時期が近い場合は要注意です。買主にとって、購入後すぐに更新料の負担が発生することは大きなマイナス要因となります。更新時期を避けて売却することで、買主の負担を軽減し、購入意欲を高めることができます。そして最も実践的なアドバイスとして、借地権の売却に詳しい専門の不動産会社に依頼することが挙げられます。借地権は特殊な権利関係を伴うため、一般的な不動産会社では適切な評価や交渉が難しい場合があります。借地権取引の実績が豊富な専門業者であれば、適正な価格査定はもちろん、地主との交渉や買主探しにおいても的確なサポートが期待できます。
■売却における注意点について
借地権の売却を進める上で、必ず理解しておくべき注意点があります。
最も重要なのは、借地権の売却には地主の承諾が必須であるという点です。
これは法律で定められた要件であり、地主の同意なしに第三者へ売却することはできません。
さらに、地主には借地権を買い取る義務がないため、借地人から売却を申し出た場合、交渉が難航する可能性があります。
地主が買い取りを拒否したり、極端に低い価格を提示したりするケースも少なくありません。
このような事情から、借地権の売却は通常の不動産売却よりも時間がかかることが多く、また希望する価格での売却が困難な場合もあります。十分な時間的余裕を持って計画を立て、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが成功への鍵となります。借地権の売却は複雑なプロセスを伴いますが、適切な知識と準備があれば、満足のいく結果を得ることは十分に可能です。本稿で解説した相場感や実務のポイントを参考に、ご自身の状況に最適な売却戦略を検討していただければ幸いです。
今後の参考にお役立て下さい。
法人営業部 犬木 裕












