1974年に公布された生産緑地法では、市街化区域内の宅地化を促す目的で大都市圏の一部自治体では農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊の農地はそのほとんどが宅地化されることになりました。
しかし、1992年の同法改正によって一部自治体が指定した土地については、固定資産税は農地なみに軽減され、また相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されています。
生産緑地は、住宅の建築が可能な市街化区域内で面積500㎡以上の土地ですが生産緑地の指定を受けると所有者は建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められます。
その結果として農業を楽しんでいる方もいます。
ちなみに生産緑地制度が提供されたのは東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他の整備法に規定する一部地域などです。
「平成25年都市計画現況調査」(国土交通省)によれば、2013年時点の生産緑地は全国で13,859ヘクタール(約4,192万坪)、東京都に3,388ヘクタール(1,024万坪)、23区内には451ヘクタール(136万坪)、埼玉県には1864.11ヘクタール(563万坪)存在します。
単位が大きすぎるのでイメージがわきませんのが、かなりの面積になります。
2022年で法律施行後30年となり所有者は市区町村の農業委員会に土地の買取りを申し出る事が可能となります。現在は2022年まで、所有者が病気などで農業に従事できなくなった場合や死亡などの場合しか買取申し出は出来ません。生産緑地が解除されると、固定資産税が宅地の1/200分のとして減額されていたものが、軽減が無くなり固定資産税が一気に跳ね上がる為に所有者は維持できず、売却や有効活用を選択してきました。
2020年には上記の理由により、生産緑地の解除により一斉に大量の土地が市場に出る事になり、土地を仕入れるメインプレイヤーは建売住宅ビルダー、立地が良ければマンション分譲業者となるのでしょうが、多くの土地に買い手がつかずに、叩き売りになる事も考えられます。
宅地として所有していたら、大幅に増加した固定資産税も支払えなくなってしまいます。
売れないなら、賃貸住宅を建築する事で固定資産税を1/6に減額しようと考える地主や高齢者が増えるエリアでは高齢者施設の建設となることも増えてくると予想されます。
いずれにせよ、これからの不動産購入時に一番重要視してもらいたいものとして「立地」が挙げられます。
上記のように2022年には大量の宅地が出てくることが予想されますが、資産価値の高い土地とそうでない土地がありますので、住宅購入時には注意が必要です。
これからの日本は人口減少・家余り時代に突入していきますので、不動産購入時にはきちんとした物件を見極める力も必要となります。
法人営業部 犬木 裕
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