不動産取引ガイド

地震対策で最も手っ取り早く確実な方法とは?

長野県で大きな地震が発生しました。建物の倒壊などの被害も見られるようです。
日本は地震大国です。来るかどうかわからないではなく、いつか必ず大地震が発生することを前提に準備が必要だと思います。

□手っ取り早く地震対策を行うには?

耐震性能の高い住宅へ住み替えるのが最も手っ取り早く確実な方法です。
現状賃貸の方は、ハザードマップをよく確認して安全な物件に住み換えることで、地震リスクを大きく軽減できます。

住み換えればいいと言っても、家を所有してしまっている方にとっては簡単ではありません。
すでに家を所有していると、住み替えのハードル(心理面・コスト面)は非常に高くなります。
そこで耐震改修など性能向上リフォームを考えるのですが、コストの問題でやはり実現が難しい、というのが実情です。
長年住宅の耐震化に携わってきましたが、所有物件の耐震化は本当に難しいと思います。
既に家を所有していると住み替えは簡単ではないのですが、それでも自宅の耐震改修に比べれば住み替えの方が手っ取り早い方法なのは間違いありません。

これから家を買う人は簡単です。耐震性能の高い安全な住宅を選べばよいだけです。

□せっかくのチャンスを無駄にする人が多いです

ただ、これから家を買う方も耐震性を無視した判断をする方が多いです。
購入物件を決めてから耐震化を考えるからです。この方法では所有物件の耐震化と同じ問題に直面してしまいます。

大切なのは物件検討段階から耐震化を意識すること。
なるべく耐震化にコストがかからない物件の選び方をすることが大切です。
ハザードマップを確認し、地震だけでなくほかの災害リスクも考慮して立地を選び、
築年数で改修リスク(=改修コスト)を想定して、余裕を持った資金計画を立てれば、安全な住環境の確保がより現実的になってきます。

※中古購入の場合、改修コストを考慮しない買い方が失敗の原因となります。

□あえて旧耐震を選ぶ理由はありません

昭和56年5月以前の建物を旧耐震と呼びます。
普通の木造戸建ての場合はどんなに古くても耐震改修を行えば性能向上が可能ですが、築年数が古いと改修コストが多くかかってしまいます。
非木造戸建て(鉄骨やRCなど)の場合は旧耐震は要注意です。耐震診断も耐震改修も現実的なコストでは実現できません。
マンションも同じです。旧耐震マンションは地震の倒壊リスクに加え、将来的に耐震改修を実施する場合、耐震改修は長期修繕計画に含まれていない工事なので、改修コストが臨時徴収される恐れもあります。
旧耐震の物件を選択することは、新耐震を選ぶよりも難しい選択で、不動産や金融に精通している人向けの買い方と言えます。
リノベーション済みで綺麗になっているからと言って、素人が初めての物件購入で手を出すには難しい買い物なのです。

□防災に強い不動産屋さんを味方につけましょう

不動産業は地域密着と言われます。地域密着であるが故に、必要なマイナス情報を隠す事業者が多いのが実態です。
例えば千葉県浦安市(東日本大震災で液状化被害のあったエリアです)のハザードマップを見ると、多くのエリアが液状化の可能性があると判定されています。
「液状化の話題に触れると、浦安市では商売ができない」そんな風に考えている事業者が多いのが問題です。
地震だけではありません。洪水、土砂災害など立地選択で考慮すべきことはたくさんあります。
言い換えると、ハザードマップで問題がまったくないエリアの方が少ない(ほとんどない)のが日本という国なのです。
まずは情報を得て、その上でリスクを考慮して適切に判断することが求められます。
防災に強い不動産会社に出会うことができれば、強い味方になるでしょう。
不動産会社に問い合わせる時(特に最初に訪問した時)は、物件情報だけでなく防災リスクについても質問し、適切な回答が得られるかどうかで事業者選びの判断基準とすることをお勧めします。
※ちなみに防災士という資格制度もありますが、不動産屋さんで防災士持っている人はあまりいないのではないかと思います。

 

地震対策は防災グッズを揃えることではありません。
まずは地震が来ても家族に被害が及ばない住環境を確保することが何よりも大切です。

防災にはちょっとうるさいリニュアル仲介の稲瀬でした。(防災士持ってます!)

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