親の土地に子世帯が戸建住宅を新築する場合、安易に土地を親の所有から子の所有に名義変更することは、危険です。名義変更をすると親から子へ土地の贈与とみなされ、贈与税が課税されます。
そこで、子に名義変更したい場合には、「相続時精算課税」を選択する方法があります。
相続時精算課税を選択すると、相続税評価格が2,500万円までの土地の贈与は非課税となります。ただし、2,500万円を超えた部分については、一律20%贈与税が課されます。
また、相続時には相続財産に加算されるので、他の財産も含めた十分な検討が必要になります。尚、支払った贈与税額は相続税から控除されます。
また、土地の名義を変更するのではなく、親から土地を賃借する方法(「使用貸借」)もあります。
通常の賃貸借の場合には、借主は地主に「地代」を払いますが、親の土地に子供が家を建てる場合、子が親へ地代や権利金を支払う必要は必ずしもありません。このように、地代も権利金も支払うことなく土地を借りることを「土地の使用貸借」と言います。
使用貸借では、土地を使用する権利の価格は、0円として取り扱われるので、親の所有している土地を無償で借りて、子の名義の建物を建設しても贈与税はかかりません。
但し、使用貸借されている土地は、将来、親から子に相続される時に相続税の対象となります。その際の土地の価格は貸宅地ではなく、「更地」として評価されます。すなわち、相続財産の計算では、通常、他人に貸している土地(貸宅地)は評価減となりますが、使用貸借では更地としての評価になるため、高い評価格となってしまいますので注意が必要です。
また、子が親に権利金を払わずに地代だけを支払う場合、親から子に借地権の権利金総額の贈与があったものとみなされ、贈与税がかかります。したがって、親子間の土地の貸借では、地代を支払うよりは使用貸借にしておいた方が良いです。
なお、使用貸借でも土地の固定資産税相当額程度のお支払いであれば、使用貸借の範囲として認められることが多く、土地の固定資産税程度は、子が負担しても贈与税の問題は発生しません。
より詳細な内容をお知りになりたい方は、税理士にご相談下さい。
以上、中田でした。
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