全国初の全線新設となる次世代型路面電車(LRT)の建設が宇都宮市で始まったようです。少し前から宇都宮駅前では、PR看板を掲げていましたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。今回の取り組みはマイカーでの移動を前提とした市街地の野放図な拡散に歯止めをかけ、超高齢化社会に対応したコンパクトシティーのけん引役として期待されています。ただ、バスなど既存の公共交通網の再編や自動運転技術への対応など、交通ネットワークの再構築に向けた検討課題は多いようです。先駆けとして2006年、富山市が日本で初めて本格的なLRTを導入しました。調べてみると、各地でこのような構想があるようです。
■ちなみにLRTをご存知でしょうか?
LRTとはライト・レール・トランジェットの略であり、乗降しやすい床の低い車両を採用し、騒音や振動も抑えて快適性を高めた次世代路面電車による交通システムです。欧米で普及し、高齢者や渋滞緩和に対応した定時の移動手段として、また中心市街地に人を呼び戻すインフラとしても有望視され、日本でも各地で導入が検討されています。
■初の全線新設、宇都宮で着工?!
JR宇都宮駅東口から延びる鬼怒通り。6月初旬、中央分離帯の樹木や縁石が除去されたようです。市が栃木県芳賀町と進めるLRTの軌道敷設に向けた作業がスタートしました。2022年3月の開業を目指し、車両基地や橋梁なども含めて順次整備をしていくようです。今回のLRTを導入する事になった理由としては「子供から高齢者まで快適に移動できる街の実現にLRTは必要不可欠」と判断されたようです。先日、富山市の方とお話をする機会があり、少し前に出来たLRTにより、市内の移動が便利になったようです。また人口も沿線沿いは増えているようで、経済効果もあったようです。
宇都宮市内ではLRTの事業構想が20年以上前にあがり、当初は駅東側の工業団地との間のマイカー通勤が招く渋滞緩和を目的としていたようです。その後の環境の変化を受け、市はLRTをきっかけとして公共交通網を再編し、鉄道やバスも含めた沿線に住宅や病院・商業施設を集約しようとしているようです。そのような施設等が出来てくれば、住みやすく、魅力的な不動産になる可能性が高いと思います。今後の、人口減・家余り・高齢化の問題をLRT事業で改善していく事が強く望まれています。さすがに住民を強制移転できない以上、LRT沿線の魅力を高めて穏やかに集約していく事が予想されますので、今後の住宅購入の考え方もLRT構想があるエリアについては、その沿線での住宅購入も視野に入れていく必要があるかもしれません。
■池袋駅とサンシャイン結ぶ「LRT」構想について
池袋駅東口の駅前にある明治通りはつねに自動車であふれかえっているが、現在は明治通りのバイパスを整備中。2019年度の完成後は、駅前の道路を廃止して歩行者広場にする構想を豊島区は持っている。そこにLRTが乗り入れれば、池袋東口のイメージは大きく変わる。豊島区は2035年を想定した池袋駅周辺のまちづくりガイドラインを今年7月に策定。LRTの導入計画はそこにもしっかりと盛り込まれているようです。
いずれにせよ、このようなLRTの事業構想はコンパクトシティー化を目指す政策の一つとして注目されていますので、今後の不動産購入の際の参考にしていただければ幸いです。
法人営業部 犬木 裕