耐震診断の義務化対象道路とは?
災害発生時に、被災者の避難や救急活動等を円滑に行うための路線を緊急輸送道路と言います。
その緊急輸送道路のうち、特に重要な緊急輸送道路が「耐震診断の義務化対象道路」として指定され、沿道建築物については、耐震診断の実施が義務となっています。
(この、耐震診断の実施が義務付けられている物件を東京都では「特定緊急輸送道路沿道建築物」と呼んでいます。)災害が起こった時に、建物が崩壊してしまったら道路がふさがれて、車が通れなくなってしまう可能性があります。そういうことにならないようにすることが目的です。
耐震診断の現状
東京都では耐震診断の義務化対象道路沿いの旧耐震マンションが4,837棟。
そのうち、未診断・改修工事未済は下記の通りだそうです。(平成30年6月現在)
未診断(耐震性不明)・・・128棟(約2.6%)
改修工事未済(診断の結果、耐震基準に適合していなかったが、改修工事をしていない)・・・2,772棟(約57%)
参考 東京都都市整備局
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/07/31/05.html
未診断や改修工事未済の旧耐震マンション。住宅ローンは使える?
まず、古いマンション(ここでは昭和56年5月以前の旧耐震マンションとします)は資金調達の面でも難しさがあります。多くの方は住宅購入時に住宅ローンを組まれるはずです。融資を受ける訳ですから、金融機関の審査があります。この審査基準が中々難しいのです。旧耐震基準のマンションの場合は、主に下記のような制限があります。旧耐震基準のマンションを買うときには安全性(耐震性)の観点を持つことは当然のことながら、購入に踏み切る時には、以下の点もよくよく確認をしておく必要があります。
借入可能期間が短くなる
銀行所定の年数から築後経過年数を引いた残りの年数が最長借入可能期間となるというところが多いです。例えば銀行所定の年数が60年、築年数が40年だった場合、住宅ローンを組める最長の期間が20年となります。中には所定の年数が40年に設定されている金融機関もあり、旧耐震の場合には差し引いた年数がひと桁やマイナスになってしまうことから、実態としては融資対象としていないという銀行もあります。
「特定緊急輸送道路」沿いの場合
特定緊急輸送道路に指定されている道路沿いに建っている場合、耐震診断書の提出を求められます。耐震診断を受診していなければ、そもそもダメですし、耐震診断を受診したとしても、耐震診断は現行法との比較になる為、当然耐震性不足という判定になっているはずで、結局のところ融資がおりないケースがあります。
特定緊急輸送道路沿いではないが、耐震診断を受けている場合
耐震診断を受けていなければ融資の際にはその点について不問となるのですが、よかれと思って耐震診断を受けてしまっているマンションの場合、逆に融資が下りなくなる可能性が高くなります。耐震診断をしていて、耐震性を満たしていれば問題ありませんが、前述の通り、基準自体が厳しくなっている訳ですから、耐震性不足との判定になることの方が多いはずです。よって、耐震診断書があるがゆえに融資が受けられなくなるということが起こってしまいます。診断結果を受けて耐震改修を行なっていれば良いのですが、現実的にはそのようなマンションは殆どありません。また1階の足回りだけの簡易改修の場合もありえるので注意が必要です。
以上、不動産エージェントの中田でした!