不動産取引ガイド

いま一度IT重説を考える

不動産取引に当たって事前に行われるのが重要事項説明です。
その名の通り取引に置いて重要な内容を事業者が説明し、契約者がその内容を理解することが大切なのですが、馴染みのない用語が多く、その後の契約書の内容確認も必要になるため、さらっと流してしまう人が多いのも実態です。
今回は重要事項説明と消費者にとってもメリットがたくさんあるIT重説についてご説明いたします。

□重要事項説明は売買契約当日に行われるのが慣例となっています

重要事項説明は不動産売買契約に先立って行われるものですが、売買契約の当日でなければならないという決まりはありません。
これまでは宅地建物取引士が直接面前で重要事項説明を行わなければならなかったため、不動産売買契約と別の日に重要事項説明を行う場合、2回スケジュールを調整しなければならないため、売買契約でお会いするタイミングで併せて実施する方が合理的とされていました。
お仕事で法務関係に明るい方は、売買契約までに重要事項説明書や売買契約書を事前にチェックして、疑問点を解消してから契約日を迎えるのですが、一般の方は契約日に重要事項説明書や契約書の内容を初めて見るというケースも少なくありません。

□重要事項説明書の事前チェックを行いたいのですが…

重要事項説明は大切なプロセスなので、できれば事前に重要事項説明書を確認したいところなのですが、実際の取引では、買付申込後の交渉がまとまったら、速やかに売買契約を締結する場合が多く、売買契約まであまりスケジュールに余裕がない場合が多いです。
売買契約を締結するまではその物件の購入が確定できるわけではないので、速やかに売買契約を行うことは買主様にとっても重要なことです。
不動産仲介会社の担当者は契約が決まったら重要事項説明書を作成するために各種調査を実施します。
単純に書類を作成するだけではなく、役所へ行って必要書類を取得したり、場合によっては物件に調査に行かなければならないこともあります。
つまり事前に重要事項説明書を確認したいと思っても、重要事項説明書が完成するのが売買契約予定日ギリギリになることも少なくありません。

□IT重説とは

IT重説とは宅地建物取引士が直接面前で重要事項説明を行うのではなく、テレビ会議システムなどを用いてオンラインで重要事項説明を行うものです。
2020年に不動産売買においてもIT重説のテスト運用が開始され、昨今の新型コロナの影響もあってそのまま本格運用が始まりました。
IT重説は時間と場所を選ばないのが最大の特徴です。オンラインであれば売買契約日よりも前にIT重説を行うことはそれほど難しくありません。
従来の重要事項説明では、説明内容の記録が難しく、結果的に説明に使用した重要事項説明書しか残されないケースがほとんどなのですが、IT重説の場合は、多くのテレビ会議システムに録画機能が付いているため、書類だけでなく、説明の様子も簡単に記録することができます。
※IT重説を行う場合は事業者は音声・映像などの記録を残さなくてはならないのですが、事業者が記録したデータを契約者に提供するかどうかは事業者の判断になります。
はじめに記載したように、重要事項説明書・不動産売買契約書と普段あまり触れない書類を正確に把握することは容易ではありません。
書類以外で記録することができればそれだけ安心材料が増えることになります。
※録画することが前提になっていれば、宅建士も注意して重要事項説明を行うので、そういった意味でも安心と言えます。

□売買契約もオンラインで行えます

売主様の了解が必要になりますが、売買契約もオンラインで締結することが可能です。
従来の捺印に変わるシステムが確立されていて、オンライン契約のサービスを利用することで実現できます。
オンライン契約を行うと捺印が不要なので収入印紙が不要となります。
不動産売買契約は金額が大きな取引なので印紙税が節約できるのは買主様・売主様双方にメリットがあるのですが、現在の取引では売主様が高齢であるケースが多く、また、仲介会社もオンライン契約に不慣れなため、いま一つ売主様の信用を得ることができず、オンライン契約が実施できないケースも多いです。
IT重説もオンライン契約も不動産会社に行かなければならない(しかも売主様の都合も考慮して時間が決められる)という無駄を省くだけでなく、メリットも多いので、買付申込の際にはIT重説・オンライン契約を行いたいという希望を担当者にお伝えください。

相続不動産(空き家含む)は早く売却した方が良い!何故なら・・・。前のページ

家の日当たりが良い向きは?次のページ

ピックアップ記事

  1. 危険な場所は 地形図で見分ける
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    国内の土地の価格には、4種類あるのをご存知ですか?

    不動産を売買する際に気になるのが売買価格です。 国内の土地の価格には、…

  2. 不動産取引ガイド

    中古住宅のキッチンは住み始めてからのカスタマイズがおすすめです

    家を選ぶときに重要な検討項目になるのがキッチンです。最新式のシステ…

  3. 不動産取引ガイド

    2020 年10月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2020…

  4. 不動産取引ガイド

    高齢となった親の住居を考える?!老人ホームの入居と税金について

    年末年始を実家過ごす方も多いかと思います。その際に実感される方も多いか…

  5. 不動産取引ガイド

    中古木造戸建てを購入する時はインスペクションが欠かせません

    住宅購入=新築が当たり前だったのは過去の話で、人口減少から家が余る時代…

  6. 不動産取引ガイド

    水災害に強い街づくり―主体的な避難の推進―

    気候変動による降雨量増加や海面水位上昇等により、水災害は頻発・激甚化し…

  1. 不動産取引ガイド

    住宅購入後はグランピングで楽しむ?!
  2. 不動産取引ガイド

    住宅性能表示制度とは
  3. 不動産取引ガイド

    マイホーム(マンションと一戸建て)
  4. 不動産取引ガイド

    地震保険の加入率35% 火災保険+αの備えについて
  5. 不動産取引ガイド

    自己資金の割合が大きいほど金利優遇?
PAGE TOP