不動産取引ガイド

テラスハウスとは?一戸建てに似ているけど違うその実態

住宅を探していると、予算内で希望していた一戸建てよりも、はるかに安い物件を見かけることがあるかもしれません。その物件、事故物件でもなく、借地権の物件でもない。じゃあ、なぜこんなに安いのだろう?と疑問に思うこともあるでしょう。
その答えは、「テラスハウス」かもしれません。一戸建てに見た目が非常に似ているものの、実際は異なる特徴を持つ住宅です。このブログでは、テラスハウスの概要、メリット・デメリット、そして一戸建てとの違いについて掘り下げて解説していきます。また、購入を検討する際に注意すべき点についてもお伝えします。住宅購入を考えている方にとって、テラスハウスがどのような選択肢になるのか、ぜひ参考にしてください。

テラスハウスとは?その基本的な特徴

まず、テラスハウスとは何かを理解しておきましょう。テラスハウスは「連棟式住宅」とも呼ばれ、隣の家と壁を共有している住宅のことを指します。外観は一戸建てに非常に似ており、独立した住戸として見えますが、実際には複数の住宅が連続して並んでいる構造になっています。不動産用語では「長屋住宅」とも呼ばれることがあり、日本の都市部や密集地ではよく見られる形式です。
この構造の最大の特徴は、隣家と壁を共有していることです。一戸建てのように隣家との間に庭や敷地があるわけではなく、壁一枚で仕切られているため、物理的に隣接しています。そのため、一戸建てとは違い、土地を完全に独立して所有するわけではなく、隣家と接することで建物自体のコストを削減することができます。

一戸建てとテラスハウスの違いとは?

テラスハウスと一戸建ての最大の違いは、その構造にあります。一戸建ては一つの敷地に一つの建物が建っており、完全に独立しています。それに対してテラスハウスは、隣家と壁を共有しているため、建物が隣接し連続している形態になります。
もう一つの大きな違いは、建物の出入り方法です。一戸建ては完全に独立した玄関や敷地を持っていますが、テラスハウスは住戸ごとに独立した出入り口を持ちつつも、マンションのような共有エリア(エントランスやエレベーターなど)がありません。この点では、テラスハウスは戸建てのプライバシー感と、マンションの利便性を兼ね備えた住宅タイプといえるかもしれません。
しかし、価格が安いという利点がある反面、隣家との距離が物理的に近いため、音や生活習慣が気になる可能性があります。

テラスハウスのメリット

テラスハウスを選ぶ際の利点は、一戸建てやマンションとは異なる以下の特徴が挙げられます。

1. 価格の安さ

テラスハウスの最大の魅力は、価格の手頃さです。建築コストが低いことから、同じエリアで一戸建てを購入するよりも、はるかに安く購入できるケースが多いです。隣家と壁を共有しているため、外壁の面積が少なく、建設にかかるコストも抑えられるため、結果的に購入価格も低くなるのです。特に初めて住宅を購入する方や、予算を抑えたい方にとっては、テラスハウスは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

2. プライベート感を楽しめる

テラスハウスは、住戸ごとに独立した出入り口を持っているため、マンションのように共有のエントランスやエレベーターを使う必要がありません。これにより、戸建てのようなプライバシー感を保ちながらも、価格を抑えた生活が可能です。特に、子どもがいる家庭や、出入りのプライバシーを重視する方にとっては、大きな利点となるでしょう。

3. 上下階の音が気にならない

テラスハウスは上下階に他の住戸がないため、マンションでよく問題になる「上下階の生活音」に悩まされることが少ないのもメリットです。特に、子どもが走り回ったり、家具を動かしたりする音が気になる方にとって、上下階の騒音問題がない点は大きな安心材料です。

テラスハウスのデメリット

一方で、テラスハウスにはいくつかのデメリットも存在します。購入を検討する際には、以下の点に注意が必要です。

1. 隣家との音問題

隣家との壁を共有しているため、生活音が伝わりやすいというデメリットがあります。特に、防音対策が不十分な物件では、隣人のテレビの音や日常会話が聞こえてくることもあります。最近のテラスハウスでは、防音性を高めるための設計がされているものもありますが、物件ごとにその性能には差がありますので、購入前にしっかり確認しておくことが大切です。

2. 資産価値の低下

テラスハウスは、購入価格が安い一方で、資産価値が低くなる可能性があります。特に、再建築ができない物件や、隣家と切り離しての売却が難しい物件の場合、売却時に不利になることが多いです。また、物件の古さや老朽化が進んだ際に、建て替えが難しいケースもあるため、将来的な資産価値を考える場合は、慎重に検討する必要があります。

3. 住宅ローンのハードル

テラスハウスは、金融機関の住宅ローン審査で不利になることがある点も注意が必要です。特に、再建築不可物件の場合や、資産価値が低いと見なされる物件では、融資を受けるのが難しいケースがあります。金融機関は、担保としての価値が低いと判断することがあるため、購入前にしっかりとローン審査を確認しておくことが大切です。

テラスハウス購入時に注意すべきポイント

テラスハウスを購入する際には、以下の点に注意することで、後悔のない選択ができるでしょう。

1. 再建築の可否を確認

再建築不可の物件は、建物が老朽化した際に建て替えができないリスクがあります。特に、将来的に資産価値を維持したい場合や、リノベーションを考えている場合には、再建築が可能かどうかを必ず確認しましょう。

2. 住宅ローン審査の事前確認

テラスハウスを購入する場合、金融機関のローン審査基準を事前に確認しておくことが重要です。購入予定の物件が融資対象になるかどうか、また、どの程度の融資が受けられるのかを把握しておきましょう。

3. 隣家との距離感や生活音対策

生活音が気になる方は、防音対策がしっかりされているかどうかを確認しましょう。物件の設計や壁の素材など、防音性能に影響を与える要素が多いため、内見時には注意深く確認することが大切です。

まとめ

テラスハウスは、一戸建てに似た外観を持ちながらも、価格が手頃で、生活音やプライバシーに配慮された生活ができる住宅タイプです。しかし、資産価値や住宅ローンの面では慎重な検討が必要であり、隣家との距離感や再建築の可否など、重要なポイントを確認する必要があります。

自分で判断がつかない場合は、専門家である不動産エージェントに確認して進めていきましょう!

 

住宅ローンはこのまま「変動金利」を選択して大丈夫か?前のページ

都市計画法の「景観法」とは?次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 土地価格の相場を知る方法
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    バブル崩壊後、土地に対する意識の変化で「迷子の土地」が増えている!

    このまま放置すれば大変になると言われる「迷子の土地」というものがありま…

  2. お金・ローン・税金

    3種類の『耐震基準適合証明書』

    建築後一定期間を経過した中古住宅を買った場合、住宅ローン控除等が利用で…

  3. お金・ローン・税金

    「借入可能額はご自身でも計算が簡単にできます!!」

    住宅ローンは、年収やローンの種類によって、借りられる限度額が決まってき…

  4. 不動産取引ガイド

    いよいよ鉄道が廃線になる時代に突入!

    広島県三次市と島根県江津市を結ぶJR三江線(108.1キロ)について、…

  5. 不動産取引ガイド

    持ち家を貸す際に気を付けるポイント

    リニュアル仲介では「不動産の資産性」を重視したお住まい探しをお手伝いし…

  6. お金・ローン・税金

    中古住宅のローン控除利用。物件選びの内見時から注意を向けましょう。≪マンション編≫

    築25年(非耐火構造の場合は20年)を超えても、既存住宅瑕疵(かし)保…

  1. 不動産取引ガイド

    相続登記(名義変更)は必要か?
  2. 不動産取引ガイド

    耐震基準がいくつもある!~建築基準法と耐震診断~
  3. 契約関係

    「仮差押」と「差押」の違いとは?
  4. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 1 【全体スケジュール 編 1/2】
  5. 不動産取引ガイド

    インスペクションは意味がないのか?
PAGE TOP