不動産取引ガイド

「100点を目指すと不動産は買えない」— 理想の家探しで押さえておくべき現実

家を買うという人生の大きな決断、誰もができるだけ理想的な物件を手に入れたいと考えますよね。ですが、実際に家探しを始めると、すべての条件を満たす「100点満点」の物件はなかなか見つからないものです。「駅近で、広くて、予算内で、資産価値も高くて…」と条件をどんどん追加していくうちに、いつまでたっても決断できないという状態に陥ってしまうことがあります。
今回は、不動産購入の際に「100点を目指すと買えなくなる」理由と、どのようにして現実的な選択をするべきかについて考えてみましょう。

完璧を求めすぎると、チャンスを逃してしまう

不動産購入を検討する際、誰もが自分の理想を叶えたいと考えるのは当然です。しかし、全ての条件を満たす「完璧な物件」にこだわりすぎると、かえって購入のタイミングを逃してしまうことがあります。例えば、駅からの距離や周辺の環境、家の広さ、予算、資産価値などを考慮して「もう少し良い物件が出てくるかも」と待ってしまうと、他の買い手に先を越されるリスクが高まります。
物件にはそれぞれの特徴があり、完全に同じ条件の物件が再び市場に出るとは限りません。一度チャンスを逃すと、後で「あの時決断していれば…」と後悔することになるかもしれません。

「70点で満足する」心構えを持つことが大切

住宅購入は、人生の大きな決断の一つです。それだけに、慎重になりすぎてしまうことも理解できます。しかし、不動産市場では待ち続けるほど選択肢が増えるわけではありません。むしろ、時間が経つにつれて良い物件は次々と売れていきます。
そのため、すべての条件を完璧に満たす「100点満点」を目指すのではなく、自分の優先順位を考え、70点で納得できる物件を見つけることが成功の鍵です。「この物件、ここは完璧じゃないけど、他の条件は合っている」という視点で考えることで、よりスムーズに物件選びを進めることができます。

良い物件はすぐに売れてしまう

人気エリアや条件の良い物件ほど、短期間で売れてしまうことが多いです。「まだ検討中だから」「もう少し考えたい」と迷っている間に、他の購入希望者が契約してしまうことはよくあります。特に、不動産の購入を真剣に検討している買主は、常に市場の動向をチェックしており、良い物件が出たときには即座に行動します。
「こんなに早く決めていいの?」と思うかもしれませんが、実際にはそのエリアで長期間探していた人たちにとっては、やっと出てきたチャンスなのです。迷っている間に、次のチャンスを逃すことのないように、気になる物件があれば早めにアクションを起こすことが重要です。

過去の物件に引きずられないようにする

「もっと良い物件が出てくるかも」と思って過去に見送った物件が、後々後悔の対象になることもあります。人間は一度見送った物件や選択肢を、次の基準として心に残してしまうものです。「あの時の物件よりも良いものが欲しい」と考えてしまい、それが新しい物件選びの妨げになることもあります。
しかし、実際に購入するタイミングでは、過去の物件と比べるのではなく、その時点で最も適した選択肢に目を向けることが大切です。市場の状況は日々変化しており、過去の物件と全く同じ条件のものが再び出てくる保証はありません。今目の前にある選択肢の中で、最も満足できるものを選ぶことが、後悔を減らす一つの方法です。

エージェントと一緒に悩みを共有しよう

住宅購入は大きな決断ですから、購入に迷うのは当然のことです。重要なのは、ただ迷うだけでなく、信頼できる不動産エージェントに相談することです。経験豊富なエージェントであれば、物件の価値や将来的な資産性、地域の環境などを客観的にアドバイスしてくれます。
「この物件で本当にいいのかな?」と不安に思ったときは、エージェントと一緒に考え、不安を解消していくことで、納得のいく判断ができるようになります。無理に決断する必要はありませんが、「これ以上待っても良い物件が出てこないかも」という感覚を持ったときは、エージェントの意見を参考にしつつ、思い切って決断することも一つの方法です。

まとめ:100点を目指すより、70点で行動を

不動産購入において、すべての条件を満たす完璧な物件を探すのは非常に難しいことです。それよりも、自分の中で「譲れない条件」と「妥協できるポイント」をしっかりと整理し、70点で満足できる物件を見つけることが、理想の住まいを手に入れるための現実的なアプローチです。
迷っているうちに良い物件は次々と売れてしまうこともありますから、焦る必要はないものの、機会を逃さないためにはタイミングを見極めて行動することが大切です。住宅購入は大きな決断だからこそ、後悔のない選択ができるように、信頼できるエージェントと共に進めていきましょう。

その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?前のページ

不動産仲介業者の物件「囲い込み」をご存知ですか?次のページ

ピックアップ記事

  1. 土地価格の相場を知る方法
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    耐震基準適合証明書と住宅ローン減税 【旧耐震の場合】

    建物の状況別の対応シリーズです。築20年以内か、築20年超えか…

  2. 不動産取引ガイド

    住宅性能表示制度とは

    住宅購入は決して安い買い物ではありません。食品を買うとには品質を確認し…

  3. 不動産取引ガイド

    人口が減った自治体ランキング

    東洋経済に面白い記事が掲載されていました。この3年「特に人口が…

  4. 不動産取引ガイド

    住宅購入をする前にライフ・プランニングを!

    突然ではありますが、ライフ・プランニングという言葉をご存知でしょうか?…

  5. 不動産取引ガイド

    熊本地震が遺した教訓(その2)

    8,329戸が全壊という甚大な被害をもたらした熊本地震から本日で3年が…

  6. 不動産取引ガイド

    地震災害をなるべく避ける住宅購入

    本日も宮城県沖で地震がありましたが今年1月に阪神淡路大震災の日を迎えま…

  1. お金・ローン・税金

    親の土地に賢く家を建てる方法
  2. 不動産取引ガイド

    建築基準法上の道路とは??
  3. 不動産取引ガイド

    出来れば、避けたい天井カセット型エアコン・マルチエアコン
  4. 不動産取引ガイド

    不動産取引もIT技術の活用で変わります
  5. 不動産取引ガイド

    出来れば避けたい、ご近所トラブル!!
PAGE TOP