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お盆で実家に帰省したらやっておきたいこと(戸建て編)

お盆休みに実家に帰省する方も多いと思います。
離れて暮らしているからこそ気が付くことも多いですし、7月30日にカムチャツカ半島付近のマグニチュード8.7の巨大地震が発生し、日本の広い範囲に津波が押し寄せました。
今後の自然災害時の対策の為、防災面でもしっかり話をしておいた方が良いでしょう。
今回は実家に帰省した際にやっておきたいことについてご説明いたします。
※戸建てとマンションと内容がだいぶ異なりますので、この記事では戸建てを対象とします。

大掃除のお手伝いがお勧めです

帰省してくる子供達を迎えるに当たって大掃除をしている方も多いと思います。
しかし親世代の年齢にも寄りますが、なかなか手が出しにくい箇所があるのも事実です。
そこで普段手入れをしないような箇所を中心に実家のメンテナンスをお手伝いする過程で、実家の簡単な劣化調査を行うことをお勧めします。

ますは外周チェック

前述の通り、屋内は既に掃除済みということが考えられるので、まずは家の外回りを確認しましょう。
細かなところまで雑草を抜くのは大変なので、家の裏手などは手つかずのところがあるかもしれません。
草むしりやゴミ拾いをしながら、下記の点をチェックします。

・外壁や基礎にひび割れがないか
外壁や基礎のひび割れは建物の劣化状況を表す重要なサインです。
もしひび割れが見られたら多めに写真を撮影しておきましょう。
後日業者に修繕を依頼する際に役立ちます。

・軒下やバルコニー下に雨染みがないか
2階部分が張り出している箇所は雨漏れが発生しやすい箇所になります。
この後屋内の点検でも確認しますが、特にバルコニー下は要チェックです。
もし雨染みが見られたら写真を撮影しておきましょう。
家の間取り図を簡単に作成して、雨染みの箇所を記録しておくのもお勧めです。

・玄関までの導線で気になる段差や出っ張りはないか
高齢になるとそれまでは平気だった段差などに躓くことも起こり得ます。
高齢者の転倒事故は思ったよりも深刻なダメージを負うことがあるので、「まだまだ元気だから大丈夫」ではなく、来るべき時に備えて早めに準備するのが大切です。
くるっと家の外周を見回る中で、気になるところがないかをチェックします。

・防犯上の視点でチェック
裏手に人がいても気が付かないとか、勝手口が常に施錠されていない、開口部に容易に侵入できるなど、防犯上の弱点はたくさんあります。
気になる点は全て写真撮影しておき、後でご両親と防犯対策について話をしておくのが良いです。
また、表札やポスト、門の周りにサインを残すというのが訪問販売会社の常套手段なので、変な印が残されていないかも念のため確認しておきましょう。

屋内は素足で確認

掃除の手伝いを頼まれた場合は掃除をしながら、そうでない場合は何か理由を付けて、屋内もひと通り点検します。

・バルコニー下が居室の場合は雨染みがないか確認します
外周部で記載したのと同じ理由です。
バルコニー下は雨漏れが発生しやすいのでよく確認しましょう。

・床がブカブカする箇所がないか確認
見出しで素足と書いたのは床の状態を確かめるためです。
屋内を歩き回って沈み込むような感触がないかを確かめます。
もし気になる箇所があった場合は、位置が特定できるように写真撮影しておきます。

・屋内の導線で気になる段差や出っ張りがないか確認
これも屋外と同様です。
居室入口のドアの下に少し段差があったり、バルコニーへのアクセスが腰壁になっていたり、今は大丈夫でも更に高齢になった時に影響が出そうな箇所をピックアップしておきます。

階段、浴室、トイレの手すりをチェック

階段、浴室、トイレの手すりはいずれ必要になる対策です。特に階段はそこまで歳を取らなくても、昇り降りに支障をきたすケースがあるので、もし手すりがない場合は、早めに設置するようご両親を説得しておく必要があります。

型番をチェック

高齢者を狙った詐欺まがいのリフォーム被害は、給湯器の故障や水のトラブルなど、生活に支障をきたす不具合がきっかけになるケースがあります。
家のトラブルは突然発生するのでどうしても慌ててしまうのですが、困ったことが発生したら自分にすぐに連絡するように伝えておくことが大切です。
遠隔で修理業者とのやり取りを行う必要が出てきますので、故障が発生しやすい住宅設備については、型番を撮影しておくことをお勧めします。
・水栓(台所、洗面、お風呂場など)
・洗浄便器
・コンロ
・給湯器 など

耐震診断を行ったことがあるかを確認

実家が平成12年5月以前に建築された建物の場合、建築士による点検を行うことをお勧めします。
1981年6月以降の新耐震と呼ばれる時期の建物でも地震で被害が出る可能性がありますし、建物が劣化していると性能を十分に発揮できないからです。
もし1981年5月以前の旧耐震と呼ばれる時期の建物の場合は、速やかに耐震の対策を講じることをお勧めします。

災害発生時の連絡手段を確認しておく

日本は災害大国です。いつ災害に見舞われてもおかしくありません。
NTTの緊急ダイアルも含め、災害時の連絡手段について改めて確認しておいた方が良いです。
また、実家周辺のハザードマップを確認して、災害時の避難場所についても確認しておいた方が良いです。
歳を重ね体に不自由が生じ始めると、避難行動が億劫になりがちです。
災害時は思った以上に混乱してしまうので、ニュースなどで災害情報を拾って「早く非難しないと」とだけ言うよりも「早く避難所である〇〇へ行きなさい」と具体的に話を出す方が生存確率が上がります。
これは逆のパターンでも起こり得ることで、家族間で緊急時の対応を共有しておくことは非常に大切です。

怪しい事業者の情報はないか

変な電話がかかってきたり、訪問販売の業者が頻繁に来るなどトラブルの兆候がないか確認します。
ポスティングされるチラシや新聞折込のチラシもチェックして、不動産や住宅系の広告を見つけたら、どのような事業者なのかを調べておくこともお勧めです。
特に水のトラブルなどの解決をサービス商品としているチラシを見つけた場合は、トラブルが発生した際に真っ先に問い合わせをしてしまう恐れがあるので、どのような事業者なのかを予め調べておくことが大切です。

ここまでが家でできることです。
本当は実家の終活とも言える、高齢で動けなくなった場合の対処も話をしておきたいところですが、子供の立場ではなかなか口を出しにくい問題でもあります。
ますは現時点で発生している問題はないか?という観点で情報共有しておくことをお勧めします。

自宅周辺を散歩する

ご実家周辺、可能であれば最寄り駅から実家までの道のりをゆっくり散歩することがお勧めです。
その際に下記の点を注意してください。

商業施設が撤退していないか

地域の人口構成や人口減少により、スーパーやコンビニなどの商業施設はあっさりと撤退します。
特に人口減少が進行すると重要な社会インフラである病院も廃業を余儀なくされます。
マーケットのサイズに問題が無くても、商業施設が更新されるのは通常のことなので、周辺を散歩しながら、昔よく行ったあの店がもうない、あの病院は古いけどまだあるといった具合に、街の変化に注目してください。
これらの施設が撤退したまま新規にオープンしない状況は良い兆候とは言えません。
ご両親ともお話しして、「近くのスーパーが廃業したから買い物が大変」「近くにあったコンビニがなくなった」「昔からよく行ってた病院がなくなった」といったような情報が出てきたら、その街は人口減少が進んで資産価値が維持しにくい兆候が出ていると判断されます。

空き家が増えていないか

特に実家周辺で空き家が増えているというのは良くない傾向です。
昔住んでいた人が出て行って、新しい住人が入ってくるなら、世代の入れ替わりが行われるので良い傾向なのですが、空き家が増えるということは新たに入ってくる人がいないということなので、ご実家周辺の資産価値が維持できなくなっている可能性があります。
また、空き家は犯罪の温床にもなります。
ご実家の周辺で空き家が目立つようになっていたら、実家の防犯対策をしっかり検討した方が良いでしょう。
また、ポータルサイトなどでご実家周辺の売り出し情報を調べてみて、おおよその相場を確認しておくことも重要です。
新築偏重時代に家を購入した私たちの親世代は、自宅の評価を高く見積もる傾向があります。
実家がどれくらいの価値があるのかは、親だけでなく子供も把握しておくべき情報なので、時間を取って調べておくことをお勧めします。

避難場所を確認する

地図で見るだけでなく実際に歩いてみないとわからないことが多いです。
例えば洪水で避難するとして、避難場所までの道のりで柵がない水路があったり、川の側を通るルートの方が近道だったり、蓋がされていない側溝があるなど、実際に避難することを想定して見てみると「危ないな」と感じる箇所はたくさんあると思います。
そこで生活している人にとっては当たり前の風景なので気が付かないことが多いので、避難所までの道のりで危なそうな箇所があった場合は、情報共有を行っておきましょう。

他にもいろいろとあるのですが、あまり時間を使うのもどうかと思いますので、今回は比較的時間がかからない対策をご紹介しました。
ご実家から離れて暮らしている方はそんなに頻繁には帰省できないと思いますので、状況を把握することももちろんですが、ご両親とよく話をして、違和感を感じることがないかに注意していただければと思います。

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