不動産取引ガイド

古家付き土地物件の解体費用完全ガイド

住宅購入を検討する際、「古家付き土地」という物件に出会うことがあります。
基本的には土地としての取引となりますが、多くの場合、既存建物の解体が必要となります。
また、相続で空き家となった実家の処分や、老朽化した自宅の建て替えを考える際にも、解体費用は避けて通れない重要な検討事項です。
近年、建設資材の高騰や人件費の上昇、処分費用の増加により、解体費用も年々上昇傾向にあります。
2020年以降、特に廃材処分費や重機の燃料費が大きく値上がりしており、従来の相場感では予算を見誤る可能性があります。
今回は、最新の価格動向を踏まえた解体費用の目安と、費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。

■解体費用を決める主な要素

解体費用は、以下の3つの要素によって大きく変動します。

1. 建物の構造

木造住宅、鉄骨造、RC造(鉄筋コンクリート造)など、建物の構造によって解体の難易度と費用が異なります。
一般的に、木造が最も安価で、RC造が最も高額になる傾向があります。構造が頑丈であればあるほど、解体に時間と手間がかかるためです。

2. 坪数(建物の大きさ)

建物の延床面積が大きくなるほど、当然ながら解体費用も増加します。ただし、坪単価は規模が大きくなるほど若干下がる傾向にあります。

3. エリア(都道府県・市区町村)

地域による費用差は想像以上に大きく、同じ「木造2階建て約30坪の住宅」でも、都市部と地方では約1.5倍から2倍近い差が出ることもあります。これは、廃材処分場までの距離、人件費の地域差、重機の搬入条件などが影響しています。

■近年の価格高騰の実態

2020年以降、解体費用を取り巻く環境は大きく変化しています。

1.廃材処分費の高騰について

産業廃棄物の処分費用が全国的に上昇しており、地域によっては5年前と比較して20〜30%も値上がりしているケースがあります。特に建設ラッシュが続く都市部では、処分場の受け入れ能力が逼迫し、費用増加に拍車がかかっています。

2.燃料費・資材費の上昇について

重機に使用する燃料費や、養生シートなどの資材費も上昇傾向にあります。これらは直接的に解体費用に反映されるため、見積もり時期によっても金額が変動する可能性があります。

3.人件費の増加について

労働力不足により、解体作業員の人件費も年々上昇しています。特に職人の高齢化が進む地方では、この傾向が顕著です。

■解体費用の内訳を知る

「解体費用は坪いくらですか?」と単純に考えがちですが、実際の費用は建物本体の解体費だけではありません。以下のような項目が加算されて、最終的な解体費用が算出されます。

・建物本体の解体費:構造や坪数に応じた基本費用
・廃材処分費:解体で発生した廃材の運搬・処分費用
・足場養生費用:近隣への配慮のための防音シート等の設置費用
・地中埋設物撤去費:地下に埋まっているブロックや基礎の撤去
・道路面ブロック撤去費:敷地境界のブロック塀等の撤去
・樹木撤去処分費:庭木や植栽の伐採・処分
・外構撤去費:門扉、カーポート、ゲート等の撤去
・重機回送費:解体重機の搬入・搬出費用
・整地費:解体後の土地の整地作業

隣接建物との距離が近い場合や、敷地への進入路が狭い場合、さらに費用が加算されることもあります。そのため、「その家の状況に応じて、費用は一軒一軒異なる」ということを理解しておくことが重要です。

■建物用途による費用の違い

同じ規模でも、建物の用途によって解体費用は変わります。

1.木造住宅の解体について

一般的な住宅で、標準的な解体費用となります。

2.店舗の解体について

間仕切り壁が少なく、比較的シンプルな構造のため、条件によっては住宅より安価になる場合があります。

3.アパートの解体について

複数の住戸があるため間仕切りが多く、各戸に水廻りやガス設備があるため、解体の手間が増え、費用が高くなる傾向にあります。

■解体費用を抑える3つのポイント

 

1.:相場を把握する

まずは、お住まいの地域における解体費用の相場を把握しましょう。インターネットでの情報収集も有効ですが、最新の価格動向を反映した情報かどうかを確認することが大切です。

2.適切な業者選び

解体費用を抑えたいあまり、安価な業者にすぐ飛びつくのは危険です。特に、これから住む予定の土地での解体では、近隣とのトラブルは絶対に避けたいものです。信頼できる業者を選ぶためのチェックポイントは以下の通りです。

・現地立会い:必ず実際の現場で立ち会い、直接見積もりを依頼すること
・書面での見積書:口頭ではなく、必ず詳細な書面で見積書をもらうこと
・複数社比較:最低でも3社程度から見積もりを取り、内容を比較すること
・直接面談:担当者と直接会って、対応や説明の丁寧さを確認すること
・許認可確認:建設業許可や産業廃棄物収集運搬許可などの有無を確認すること

3.効果的な節約方法

複数社から見積もりを取得した後は、積極的に交渉してみることも一つの方法です。ただし、品質を犠牲にするような極端な値引きは避けるべきです。以下のような方法で、適切な範囲での節約が可能です。

・繁忙期を避ける:年度末や大型連休前などの繁忙期を避けると、費用を抑えられる可能性があります
・自分でできることは自分で:庭木の剪定や不用品の処分など、事前に自分でできることを済ませておく
・補助金制度の活用:自治体によっては、空き家解体に対する補助金制度がある場合があります

まとめ

古家付き土地物件の購入や、空き家の処分を検討する際には、解体費用を正確に把握することが重要です。近年の価格高騰を踏まえ、従来の相場よりも1〜3割程度高めに予算を見積もっておくことをお勧めします。
また、安さだけでなく、信頼できる業者選びと適切な交渉により、納得のいく価格で解体を実現することが可能です。複数の業者から詳細な見積もりを取り、内容をしっかり比較検討することで、予想外の追加費用を防ぐことができます。
住宅購入や建て替えは人生の大きな決断です。解体費用についても十分な情報収集と準備を行い、後悔のない選択をしていただければ幸いです。

法人営業部 犬木 裕

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